「けんちく体操」って知っていますか?
「けんちく体操」とは、建物の気持ちになりきり、建物の形を身体で表現する体操のこと。始まりは2002年、当時江戸東京たてもの園の研究員だった米山勇さんと学芸員の高橋英久さんが子どもを対象としたワークショップとして始めました。やり方は簡単。まず、プロジェクターなどに大きく映し出された建物の写真をじっくりと観察します。そして自分の身体でその建物の形の真似をする、というものです(真似をするのは建物全体でも、一部分だけでもOK )。身体の形ができあがると皆、建物になりきってじっとします。ワークショップでは、合図があるまでじっとしているのがルールのようです。
「それがどうした?」と思うことなかれ! ワークショップに参加したある子どもは、お台場を通りかかった時「あの建物は、この前やった建物だ!」と指を指して叫んだそうです。今まで"まじまじ"と建物を観察する機会がなかった人たちが、ワークショップに参加することである種のスイッチが入り、ただの背景にすぎなかった建物に対する見方が変わったということなのです。いまだかつて、一般の人々を楽しみながら建築へと誘う、こんなにも魅力的なコンテンツが他にあったでしょうか。
広がる「けんちく体操」
2010年に「チームけんちく体操」が結成されると、「けんちく体操」は徐々にTVや雑誌などのメディアに取り上げられ、書籍の出版やDVDも発行されました。その成果もあり、「2010年度JIAゴールデンキューブ賞特別賞」、「2013年日本建築学会教育賞(教育貢献)」の受賞などアカデミックな評価も受けています。
また、さまざまな教育現場でも注目されており、2011年には栃木県真岡工業高校が授業の一環として取り入れたことを皮切りに、三重県亀山西小学校の3年生が、文化祭の出し物として「けんちく体操」を集団演技、東京の月島第一小学校では、通級指導学級(情緒障害など)で行ったワークショップがきっかけとなり授業の中で取り入れています。
さらには2013年、ドイツやスウェーデンでもワークショップが開催されるなど、シンプルで分かりやすい体操は言葉の壁も国境も越え、世界中に広がっています。そして今年8月に南アフリカでのワークショップを実現すべく、「チームけんちく体操」は日々奮闘中!
(支援募集中:https://readyfor.jp/projects/kenchikutaiso)
職場でも「けんちく体操」を取り入れれば、健康促進、社内コミュニケーションの向上などいいことずくめ! まずは、初級編の「東京タワー」にトライ。
① 足を大きく広げ力強く踏ん張り、
② 手を天高く突き上げる。
③ その姿勢で30秒!
1 身体以外は使わない!
(飛び道具を使わない・衣服で表現しない)
2 自分の好きなようにやる!
(体操マンたちや人の真似をしない)
3 体操が完成してもすぐにやめない!
(建物になりきることが大事です)