「基幹技能者制度推進協議会」第12回協議会が、2月27日(月)に東海大学校友会館にて開催されました。
同協議会は、基幹技能者資格を整備・運営する資格制度運営団体が主体となり、情報および意見の交換並びに協議することを通じて、基幹技能者制度の適正な運営を図るとともに、基幹技能者の一層の周知・活用を推進することを目的として、平成18年7月に設立・運営されています。協議会には資格制度運営団体の他に、オブザーバーとして(社)日本建設業連合会、(社)全国建設業協会、学識経験者、国土交通省、(一財)建設業振興基金並びに資格立ち上げ準備団体が参加しています。
第12回目を迎えた本協議会では、平成24年度における協議会活動を主題とした議論が展開されました。
向井会長挨拶
現在28職種、32,612名の登録基幹技能者が資格を取得し、本制度が建設業界に着実に定着しつつある。本制度の活用も平成17年の北海道開発局による本格実施をはじめ、本年5月からは全ての地方整備局が取組を開始し、東京都や長崎県といった地方自治体やUR都市機構においても入札制度での活用実績がある。また、大手元請会社数社で優良職長手当制度の取組が開始され、特に戸田建設と大林組では登録基幹技能者の資格保有が支給要件の対象となっている。
建設業界を取り巻く環境は依然として厳しく、2011年度の建設投資見通しは前年度5.1%増の43兆2千億円の見込みであるが、震災による復旧事業相当額2兆4千億を除くと前年並みの低水準で利益確保が難しい状況の中、技能労働者の賃金低下が常態化し、現場の第一線でものづくりを支えている労働者が将来の夢や希望が持てず、有能な技能者が失望して業界を後にしている現状は、誠に憂慮すべき事態。行き過ぎた価格競争を見直し、人を大切にする産業として再生し、将来に希望を持てる産業づくりに邁進し、若者たちが進んで入職してくるような産業にしなければならない。そのためには、基幹技能者が技術と技能の狭間を埋める施工管理に携わり、高い評価を受け、更に能力の向上を目指し、賃金や処遇の改善に結び付けた上で、一般技能労働者の目標やシンボルとして実のある地位の確立を図ることが必要である。」
協議会における登録基幹技能者制度普及へ向けた3つの課題
本協議会では、登録基幹技能者制度の普及に対し以下の3点を主課題として掲げております。
課題1 登録基幹技能者不足、地域偏在性の解消
課題2 登録基幹技能者の能力担保
課題3 登録基幹技能者制度の認知度と評価の向上
平成24年度における取組
「課題1 登録基幹技能者不足、地域偏在性の解消」に向けた活動
【23年度の取組】登録講習の計画的な実施、登録基幹技能者データベースの活用
平成23年6月末時点で27職種29,251名の有資格者実績報告に対し、本年度も地域偏在性の解消に向け各登録団体による計画的な講習の実施や講習終了後「登録基幹技能者データベース」に反映させることで、有資格者情報を的確に管理することが確認されました。
また、資格準備団体も含めた制度普及状況として、建設業法上における職種の展開現状についても報告が行われました。
「課題2 登録基幹技能者の能力担保」に向けた活動
【23年度取組】登録基幹技能者共通テキストの抜本的な見直し、資格の更新方法の検討
登録基幹技能者共通テキストは平成22年度に改訂が行われましたが、3年後の改訂に向け、有識者を中心とした「テキストWG」を設置し、登録基幹技能者に必要な現場での管理能力等を主眼に、テキストの抜本的な改訂に今年度から着手する。
また、制度発足から資格の有効期限である5年目を迎える平成25年を見据え、資格の更新について分科会を基軸とした検討を行い、本年度中に協議会における統一見解を出すことが確認されました。
【テキストWG委員名簿(敬称略)】
(主 査) 遠藤 和義 工学院大学 教授(建築学部建築学科)
保坂 成司 日本大学 准教授(生産工学部環境安全工学科)
木本 健二 芝浦工業大学 教授(建築工学科)
高木 元也 (独)労働安全衛生総合研究所 上席研究員
岩松 準 (財)建築コスト管理システム研究所 主席研究員