「自動車工場で自動車を製造するように、工場で木造住宅を生産ができないものか」「オモチャのブロックを積み上げるように簡単に家が作れないものか」――。株式会社北誠商事（長野県飯山市）の高柳博社長は、長年にわたってその難問に挑戦し、試行錯誤を繰り返したという。そして、「オモチャのブロック」というヒントから誕生したのが、ネクサスブロック（NEXUS BLOCK）だった。
　「木製のパネルブロックを使い、簡単に木造建築を建てることが可能になれば、工期が短縮される分コストが安くなります。大工などの職人が不要なら、その分コストに反映されるでしょう？　この実現にはパネルブロックの形状が鍵を握っていました。当初は長方形や立方体が頭に浮かびましたが、壁の横揺れの力には耐えられません。それなら菱形に近い形状ならどうだろう？
　いろいろと試作するうちに『これだ！』という形状に行き着いた。それがネクサスブロックであり、これを使って家を建てる工法が、SWT工法（スーパーウッドテクノ工法）です」
　開発当初、特定のブロックを建築の構造材として利用するには建築基準法という厚い壁が立ちはだかったそうだ。従来の工法は、主に日本建築（在来工法・軸組工法）、欧米の２×４工法、カナダのログハウスの３種類で、そのほかはこの３工法の細部をアレンジして認定を取得していた現状だった。SWT工法は建築木造構造工法としては初めて日本建築センターから認められた新工法であり、木造3階建てまで構造計算書なしに建てることができるのだ。
　「ネクサスブロックは、木製の骨組みの両面を木製合板で挟んでできています。骨組み内部にできるブロック状の空間には厚み120ｍｍのうち、厚み50ｍｍの断熱材を埋めてあり、断熱材の片面に70ｍｍの空気層がサンドウィッチ状になっています。このため、優れた断熱性を発揮するわけです。一般的な住宅で火災があった場合、壁の中から天井まで火が昇りやすいのに対し、ネクサスブロックの壁は各ブロック内に細かく仕切られているため、天井裏への火の流れを抑える働きもするのです」（高柳社長）
　また、ネクサスブロックは自由に取り外しができ、再利用が簡単というメリットも見逃せない。今後はSWT工法の販売促進と周知の徹底を目指し、広報・宣伝・販売の各活動に特に力を入れていく計画である。

株式会社北誠商事
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