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建築・建材展2013

年間を通じて一定温度の地下水の性質を活用し環境負荷の少ない社会の実現へ|建築・建材展2013

応募事業名:水の温もりプロジェクト
事業分野: 環境
連携体団体:水の温もりプロジェクト(山梨県)[フジ運輸㈱、小林建設㈱]

第19回「建築・建材展2013」が、3月5日から8日まで、東京ビッグサイト(東京・江東区)で開催されました。住宅・店舗・ビル用の各種建材をはじめ、設備機器やソフトウエア、工事・施工法、関連サービスなどを幅広く紹介する国内有数の建材関連総合展示会であり、「フロンティア事業」に採択された9つの連携体も出展しました。

 

 日本は世界でも有数の水資源に恵まれた国だ。この“豊かな水資源”を熱エネルギーとして活用し、環境負荷の少ない社会を実現しようというのが、山梨県中央市で発足した「水の温もりプロジェクト」である。ちなみに中央市は、山梨県および甲府盆地の中央に位置することから「中央市」と命名され、四方を南アルプスの山々に囲まれた豊かな自然を有している。ここに降った雪や雨が年月をかけて伏流水、地下水となり、同市内には多数の自墳井(地下水が自然と地上に噴出する井戸)が今も点在し、市民に清らかな水の恵みを提供している。
 地下水の特性として、地中10メートルよりも深い層は年間を通じて地上の年間平均気温と同じ10~15℃と一定であり、地下水も同様に年間を通じて一定温度。外気温度に比べて冬温かく夏冷たいため、これを冬季の採熱源、夏季の放熱源として利用することができれば、年間を通して非常に効率が良い熱エネルギーになる。これによって環境負荷の少ない社会の実現を目指そうというのが本プロジェクトであり、その一つの方策が、地下水利用ヒートポンプシステムである。
 CO2やフロンなどの冷媒を圧縮・膨張させて加温・冷却する装置が、通常のヒートポンプだ。エアコンやエコキュート(給湯機)などに使用され、通常空気を熱源としている。一方、地下水利用のヒートポンプシステムでは、冷媒と地下水の間で熱交換することで冷房や暖房を行う。同プロジェクト事務局の上田和男氏に、地下水利用ヒートポンプシステムを利用するメリットをお聞きした。
 「地下水は純国産のエンドレスな自然エネルギーです。エアコンとして使用すると、従来の空冷式エアコンと比較して、夏場の冷房で電力費を65%以上カット、冬場の暖房で電力費を30%以上カットすることができます。自墳井を利用した場合、ボーリング工事が不要となり、経済的です。その上、夏場、地中熱ヒートポンプは熱を地中に逃がしますので、エアコンの排熱によるヒートアイランド現象の予防効果もあります。さらに給湯に利用すると、安価な夜間電力を利用するため経済的メリットも少なくありません」
 環境省の実証事業として、中央市の民間企業の事務所に地下鉄利用ヒートポンプシステムエアコンを設置したところ、従来の空冷式エアコンと比べて61%の電力削減となったそうだ。

水の温もりプロジェクト
http://mizu-no-nukumori.com/



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NPO法人 地中熱使用促進協会パンフレットより

 

 

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