経済

建設経済の動向

建設企業の技術経営

建設経済研究所

はじめに

 (一財)建設経済研究所では、平成24年6月から8月にかけて建設企業を対象に技術経営への取り組み状況に関するアンケート調査を実施し、企業規模別の傾向の把握も含めた整理・分析を行っている。

 

1.研究開発の実施状況と今後における技術開発の方向性

 研究開発の実施状況(図表1)は、全体で4割弱、中小で3割強、中堅で5割弱、大手で8割強の企業が研究開発を実施していたが、売上高の増減と研究開発の実施に明確な関係は認められなかった。今後における技術開発の方向性(図表1)は、全体で6割強、中小で6割弱、中堅で7割強、大手で9割強の企業が、今後において技術開発を進めるとしている。研究開発を行っている企業数293社の約1.7倍であり、今後の経営において技術開発を重視する傾向が表れている。

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2.技術開発として今後重点を置く分野

 今後技術開発を進めるとした企業486社に対し、重点を置く技術開発分野を質問(複数回答)したところ、大手の半数以上が「耐震補強・液状化対策」「工法」関係が3割~4割を挙げ、「従来の建設分野以外」も3割強の企業が重点を置くとしている。中堅および中小では、「施工管理」を挙げる企業が約4割と最も多く、「工法」関係は概ね2割強であった。「工法」に関しては、建築、土木とも新設より維持補修の割合が若干高く、特に土木構造物の中堅及び中小にその傾向が顕著に見られる。凡例中の平均回答数(大手企業3.61、中堅企業2.28、中小企業2.25)より、規模の大きい企業になるほど、複数の分野での技術開発を進めていると言える(図表2)。

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 さらに、「従来の建設分野以外」を回答した企業86社を対象に具体的な技術開発分野を質問(複数回答)した結果、大手では、11社中5社が「放射性廃棄物の処理」「土壌浄化」を挙げ、4社が「風力発電」を挙げており、環境分野やエネルギー分野に重点が置かれている。一方、中堅・中小企業では約半数の企業が「太陽光発電」を挙げていることが特徴的である。さらに、中堅企業では「水質浄化」「土壌浄化」、中小企業では「農林水産分野」に重点を置く企業の割合が比較的多かった(図表3)。

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3.技術経営の今後の展開技術経営の今後の展開

 今後の経営においては、技術開発を重視する建設企業の増加が予想される。資本規模に限らず、施工管理や各種工法の開発に重点を置く企業は多く、工法開発においては新設より維持補修分野への関心が高まる傾向があり、従来の建設分野以外では5割程度の企業が太陽光発電に重点を置くとしている。
 阪神・淡路大震災の発生を機にクローズアップされてきた耐震補強や液状化対策、東日本大震災の発生以降急速に運用までが求められつつある自然エネルギー分野や放射性廃棄物の処理、京都議定書より発せられた温暖化対策など様々な環境分野、以上のような分野について、他社との差別化を意識しつつ新たな技術開発に取組む先進的な技術経営が建設企業に展開されるであろう。

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