経済

日本経済の動向

「チャイナ・プラス・ワン」戦略の難しさ|日本経済への中国の影響は引き続き大きい

みずほ総合研究所 チーフエコノミスト 高田 創

世界経済は中国の景気動向に影響を受けやすい構造となっており、日本もその例外ではない。
一方、日本企業の海外展開において、東南アジア諸国への投資拡大などから、中国以外の国々への進出も含めた「チャイナ・プラス・ワン」戦略が語られている。
今回は改めて、日本経済にとっての中国の位置付けなどについて解説する。

 
図1 中国の対内直接投資の推移

(資料)中国商務部よりみずほ総合研究所作成
図2 中国の名目GDP(ドル建て)の推移

(資料)IMFよりみずほ総合研究所作成
図3 世界各国の名目GDP(2015年、ドル建て)

(資料)IMF「World Economic Outlook Database October 2016」よりみずほ総合研究所作成
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減少続く日本の対中国直接投資

 中国の対内直接投資の推移を見ると、2012年にトップの座にあった日本の投資は、日本と中国の政治的緊張関係が高まったことなどから急速に減少し、2015年には第3位にまで低下した(図1)。
 日本企業は引き続き海外直接投資をビジネスモデルに掲げているが、中国以外の国々への進出も含めた「チャイナ・プラス・ワン」戦略が指摘されることも多い。中国に代わる新たな進出候補地としては、アジア諸国、なかでも東南アジアの重要性が指摘されてきた。この「チャイナ・プラス・ワン」議論の背景には、日本人の中国に対する不信感があり、さらに中国の代替となる存在を重視したい願望的意識も色濃くあるように思われる。しかし、中国を好む好まざるにかかわらず、「チャイナ・プラス・ワン」戦略はそう容易ではなく、少なくとも中国を市場としてとらえた場合に無視することはできない。

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巨額の成長を続ける中国経済

 2016年には中国経済の調整が生じたものの、中国の名目GDPの推移を見ると、2010年から2015年までの6年間で、年平均1兆ドルの増加が生じている(図2)。この増加ペースは脅威的であり、東南アジアで最も大きな経済規模を持つインドネシア1国分の名目GDPをも上回り、2010年以降、毎年、東南アジア最大国以上の規模の経済活動が、中国の中で新たに生じていると考えられる(図3)。そして、調整が生じた2016年でも、ベトナム1国分が生まれたに等しい経済規模の拡大がみられた。
 こうした規模感を認識すれば、中国を代替する「チャイナ・プラス・ワン」戦略、ましてや中国を抜きにする「チャイナフリー」は現実的でないことが分かる。
 もちろん、サプライチェーンを含め中国一辺倒からの代替策を考える必要はある。従って、東南アジア地域への進出の重要性に変わりはないが、中国を抜きにしたビジネスが成り立ちにくい現実も改めて認識する必要がある。今後どう中国と向き合うかは、日本にとって永遠の課題である。

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