経済

建設経済の動向

積算基準の見直し|生産性向上を狙い新基準を制定

日経コンストラクション編集長 野中 賢

国土交通省は土木工事の積算基準の新設や改定を実施し、この4月から適用する。
「i-Construction」の推進やメンテナンス産業の育成、品確法改正を踏まえたものだ。
ICT建機の普及を見据えた基準の新設や、維持管理関連の基準見直しなどで、
積算と実施工の乖離を是正するのに加え、現場の生産性向上を大きな狙いとしている。

 

図 国土交通省が新設・改定した主な積算基準


国土交通省の資料をもとに作成

 国土交通省は3月14日、今年4月から適用する積算基準について発表した。基準の新設や見直しは10項目以上に及ぶ。
 これまでも国土交通省は、積算と実施工の乖離を是正するために、適宜、積算基準を見直してきた。しかし今回の見直しは、「i-Construction(建設生産性革命)の推進に向けた積算基準の見直しについて」という発表資料の表題からもうかがえるように、より強い意志が感じられる。
 目玉となるのが、i-Construction の実現に向けた基準の新設。具体的には、ICT(情報通信技術)を取り入れた建設機械を用いる土工事向けの積算基準だ。
 新たな積算基準では、ICT建機のリースに要する費用のうち、従来の建機からの増分を上乗せするほか、初めてICT建機を使用するオペレーターの訓練にかかる費用や、機器の初期設定に要する経費についても追加する。対象は掘削や路体(築堤)盛り土、路床盛り土などの土工と法面整形工だ。
 ICT建機を使うことで労務費などの削減が見込める一方、高価な情報通信機器を搭載した機材の導入には相応の初期費用がかかる。1万5,000㎥の盛り土工事の場合、従来工法に比べてコストが1割増しになるという。国土交通省は導入に伴う施工者の負担を軽減し、ICT建機の普及を促すことで価格を引き下げていく考えだ。
 国土交通省はi-Constructionの推進に向けて、直轄の大規模土工事では原則としてICTを全面的に活用する方針を掲げている。新設する積算基準は、こうした工事に適用する予定だ。

2億円規模の橋梁保全工事は予定価格1割増

 今後の増加が見込まれる維持補修工事に関連した基準の新設・見直しも行った。その一つが、土木工事積算基準の工種区分での「橋梁保全工事」の新設だ。
 これまで橋梁の修繕などは、「道路維持工事」、「河川・道路構造物工事」、「鋼橋架設工事」のいずれかの区分で発注しており、間接工事費が実態と乖離していた。道路維持工事として発注していた2億円規模の工事の場合、橋梁保全工事として発注すると、従来に比べて予定価格は10%ほど増加する。
 橋梁保全工事に含まれるのは、鋼橋以外の橋梁の修繕や橋台・橋脚補強工事のほか、床版打ち替え工、沓座拡幅工、落橋防止工(RC構造)、コンクリート橋の支承など。対象額に応じて、共通仮設費率は6.79~27.32%、現場管理費率は29.6~63.1%とする。
 一方、道路などの維持工事の積算方法も見直した。年度をまたいだ発注の場合、従来は全体額に対して間接工事費を算出していたが、単年度ごとの積算額を足し合わせる方法に改める。対象額が小さいほど間接工事費の率は高まるので、単年度ごとに分けて間接工事費を積算する方が全体の額は大きくなりやすい。

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