企業経営改善

振興基金 中期経営方針のねらい

振興基金 中期経営方針のねらい

一般財団法人 建設業振興基金
理事長 内田 俊一

わが国の建設産業界を取り巻く環境は、今後とも厳しい状況が続くことが予想されます。このような状況にあって、当基金では、今後の社会経済情勢の変化に的確に対応するとともに、建設産業の振興を図るための中核的組織として、「お役に立てる」「専門家集団」を目指し、これを実現することを目的に「中期経営方針」を策定しました。この経営方針は、今後5年間の当基金の業務執行や組織運営の方向を明示するものであり、これに基づいて、一般財団法人移行後の基礎固めに取り組んでいく計画です。中期経営方針の狙いについて、内田理事長にお聞きしました。

 

 
[喫緊の課題への対応(具体策)]

 地域建設業の再生・活性化


(1)建設産業団体等への支援
 ①建設業振興緊急支援助成の見直し・検討
 (厳しい建設産業界の状況を踏まえ、平成24年度までの時限措置で実施している当該助成の今後のあり方等を検討)

 ②建設業構造改善助成金の見直し・拡充
 (緊急支援助成との施策の連携を図り、助成方法や助成内容等を見直しのうえ、構造改善に意欲のある取組に対し
  積極的に支援)
 ③新分野等に取り組む建設産業団体や事業協同組合に対する債務保証・金利助成の検討
 (建設産業団体等が取組む新しい事業分野における資金ニーズ等を調査し、当該事業に係る債務保証や金利助成の
  スキームを検討・構築)

(2)建設企業に対する経営基盤の強化支援
 <金融支援>
 ④災害時の復旧・復興ニーズに係る債務保証の検討
 (東日本大震災の復興支援を含めた激甚災害時における復旧・復興に係る資金ニーズ等を調査し、
  当該事業に係る債務保証等のスキームを検討・構築)

 ⑤地域建設業経営強化融資制度の普及・活用の促進
 (市町村への普及促進や業界における風評被害の解消など、制度の普及や利活用推進のためのPR強化)

 ⑥下請債権保全支援事業の普及・活用の促進
 (元請企業への理解促進を図るための活動やファクタリング会社を通じた利活用の促進)

 <経営改善支援>
 ⑦中小建設業経営者向け研修の充実と経営者ネットワークの構築
 (従前の経営者研修の見直しを行い、顧客ニーズに沿った研修の実施、研修後の情報交換等を
  行うためのネットワークの構築)

 ⑧出前講座(企画・講師派遣)の実施
 (建設産業団体と連携した各種講習会(例:税財務講習会等)の企画及び講師派遣)

 ⑨生産性向上のためのCI-NET利用策の促進
 (中堅・地場の建設企業の利用促進を図るため、導入及び運用コストが安価な方法を提供、
  導入済みの企業には、対象業種、業務の拡大や下請企業への展開モデル及び手法を整備)
 

 人材の確保・育成


(1)建設業経理を軸とした人材確保・育成支援
 ⑩工業高校生等を対象とした建設業経理事務士特別研修の実施
 (全国工業高等学校協会の資格取得推進委員会等と連携のうえ、全国の工業高校において
  同研修を実施することにより入職促進活動の実施)

 ⑪建設業経理士合格者を対象とした継続教育制度(登録建設業経理士制度)の拡充
 (登録者限定webサイトの構築、登録者への質の高い有用な情報提供の実施、
  研修後の情報交換等を行うためのネットワークの構築)

 ⑫建設業経理検定試験・特別研修に係る受験者等の利便性向上
 (受験者の利便性向上を図るため、携帯電話(スマートフォン)対応の申込システムの構築)

(2)建設技術者の施工技術の向上等育成支援
 ⑬技術検定試験に係る受験者の利便性向上
 (技術検定試験の再受験者に対するインターネット申込の周知・活用による利便性向上、
  書面申込の簡素化、過去試験問題のHP公表、
  受験者負担の軽減策としての受検資格見直し等について国土交通省と協議)

 ⑭監理技術者講習に代わる新制度への対応
 (国土交通省の検討動向を踏まえながら、現行の監理技術者講習に代わる
  新しい制度について適切に対応)

 ⑮建築施工管理分野におけるCPD制度の構築
 (建築施工管理分野におけるCPD(継続教育)制度の構築に向けた調査・検討)

 ⑯インターネット等を活用した技術動向等の情報提供の拡充
 (インターネット活用による建設技術者に対する最新の技術動向等の提供)

(3)建設技能者の確保・育成方策
 ⑰キャリアレッスンの推進
 (建設産業人材確保・育成推進協議会の事務局として、関係行政機関等と連携し、
  各種助成金等を活用して、業界団体等がキャリアレッスンを積極的に利用できる環境や仕組みを整備)

 ⑱登録基幹技能者の処遇改善の推進
 (登録基幹技能者制度推進協議会の事務局支援として、登録基幹技能者の位置づけの明確化、
  公共工事の発注者や元請企業に対しての利活用促進)

 ⑲海外建設技能者受入事業の推進
 (送り出し機関や受入企業等のニーズを踏まえ、教育訓練カリキュラム等を
  改善・充実し事業を効果的に推進、ゼネコン各社の海外への事業展開に
  必要な人材育成という視点からも検討)

 ⑳富士教育訓練センターの利活用の促進
 (広域的な教育訓練施設である富士教育訓練センターを活用した
  技術者・技能者の教育訓練を促進するための協議会設置、ハード・ソフト両面からの利活用促進)
 

 建設産業からの情報発信等


 ㉑建設産業と国民をつなぐ広報の推進
 (当財団の事業に係る積極的な情報提供、国民の建設産業に対する関心度・理解度を高め、
  建設産業と暮らしとの多様な関わりについての情報や建設産業についての的確な
  情報発信による建設産業と国民とをつなぐ広報事業の展開)

 ㉒行政施策への協力
 (「建設産業の再生と発展のための方策2011」に基づく各種施策の効果的な実施のために、
  当該施策に係る業界分析や建設企業経営者などとの意見交換等により問題意識や意見を行政施策に反映)
 


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