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建設産業の電子商取引

建設企業の実践的広報

広報とは宣伝(ポスター、チラシ、CMなどの広告)と異なり、さまざまな企業活動をPRする活動のこと。基本的に、お金をかけずに、広く世の中に訴えかけていきます。例えば、昨年の東日本大震災では、建設関連企業が各地で復興支援に取り組みましたが、目立ったのは自衛隊の活動ばかりで、建設各社が話題になることが希少でした。「建設業界の広報はどうなっているのか?」という指摘も仕方がないでしょう。そこで今号の特集は、これからの建設企業の広報のあり方を考える「建設企業の実践的広報」を取り上げます。巻頭では、日経BP社建設局長の宮嵜清志氏に、建設業の広報における課題と実践的手法、考え方のヒントなどを伺いました。

 

建設企業・都道府県の広報事例


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“地域密着”への思いを具現化するユニークな広報戦略

(株)小坂田建設(本社岡山市、小坂田英明社長)


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 岡山県の山間の小さな町に位置する小坂田建設。4年ほど前には周辺地域の過疎化の進行に伴って業績が落ち込み、真剣に廃業を考えたこともあったという。しかし、「地域社会に建設業は絶対に必要なもの」という強い信念で再建を決意。その際に考えたのが、「地域の人たちに自分たちのこと、会社がやっている仕事のことをもっと知ってもらおう」という「広報活動の強化」だった。以降、自らを「笑顔提供カンパニー」「建設サービス業」と称し、そのシンボルマークが右の「笑顔のイラスト」だ。

 具体的な活動としては、社員の似顔絵と名前の入ったチラシを作成し、見積と一緒にお客様に渡し、仕事の際に社員一人一人の名前と顔を覚えて頂く様に努めている。会社単位では、直近の仕事ぶりやその時の話題などを伝えるチラシ『笑顔通信』の地域内への配布と、地域の交流の場としての「お仕事発表イベント」の開催。イベントでは展示・販売コーナーや食べ物コーナー、子供たちへサービスとして「お子様コーナー」(スーパーボールすくいや綿菓子の提供など)もある。その狙いについて小坂田英明社長はこう語る。
 「イベント告知のチラシは新聞折込以外に、社員役員一同で住民の家を一軒ずつ訪問して手渡しでも行っています。せっかく来たからと困り事を相談されることもありますよ。1209_01_tokusyu_23.jpg庭の草取りとか、蜂の巣をとってくれとか(笑い)。 でも、そういった小さなお手伝いの積み重ねで信頼関係を築いていくのが当社のスタイル。地道な草の根の広報活動ですが、最近は徐々に実を結びつつあります」





 

 

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県が新技術の活用を支援する制度「しまね・ハツ・建設ブランド」登録制度

島根県土木部 技術管理課

 公共事業を取り巻く環境が変化する中、建設事業者にとっては、品質の確保、コスト縮減、環境負荷の軽減などに加えて、優れた新技術・新工法の採用による事業の効率化が一層求められている。しかし、現実問題として公共事業への活用に関しては施工実績や確実性が求められ、新技術の採用が見送られるケースが少なくない。そこで、島根県において、こうした状況を打破すべく2004年に誕生したのが、新技術活用支援「しまね・ハツ・建設ブランド」登録制度である。
 具体的には、島根県内の建設業者ならびに建設関連企業等が開発した新技術を「しまね・ハツ・建設ブランド」として登録することにより、県内の公共事業における利活用の促進及び市場競争力のある新技術を全国市場へ展開する契機とし、県内の建設関連産業の活性化と雇用の確保及び開発企業の技術力の向上を目的とする。この仕組みは、「応募」→「審査」→「採用」→「登録技術」を認定(登録期間は3年、更新手続きにより6年間)する。さらに、「県外実績が多く、活用効果の評価が特に高い」技術を「推奨技術」として認定し、登録期間をさらに4年間延長し(最大10年間)支援する。また、「登録技術」の内、さらなる審査を経て「特別支援モデル事業対象技術(2008年創設、支援期間2年)」に認定し、県が発注する公共工事で積極的に利用するなどの支援について、期間を限定し集中的に実施する支援メニューもある。現在の「しまね・ハツ・建設ブランド」対象技術は、推奨技術1、登録技術28、実証フィールド工事対象技術(現場での実績確認を要する技術)19である。島根県土木部の担当者に、「しまね・ハツ・建設ブランド」登録制度の狙いをお聞きした。
 「これに登録されることで、一番のメリットは、ブランド名称が付与され、県のお墨付きがもらえることだと思います。また、本制度の支援内容としては、県のホームページへの情報掲載や説明会の開催があります。説明会では、工事発注者、施工者等に直接PRする場を提供しています。また、販路拡大を目的とした展示会への出展、新聞・雑誌広告への掲載など、宣伝に必要な費用の一部を補助する制度もあります。このように県が直接的、間接的に「しまね・ハツ・建設ブランド」の広報を行い、建設事業の活性化をバックアップしているのです。」

 

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