人材確保・育成

Kaleidoscope/万華鏡

技能レベルを証明する「CSCSカード」

1995年にイギリスの建設産業に導入

技能者イラスト

   CSCSカードをご存じですか? CSCSカードとは、技能者の技能レベルを証明するカードのこと。建設技能者それぞれが保有する技能と現場で安全に働くのに必要な知識を持っていることの証明証であり、イギリスの多くの建設現場では、入場する全ての人にCSCSカードの提示が求められるそうです。

カード

カードの種類は、赤、青、緑、ゴールド、プラチナ、黄、白と色で分かれ、技能者の職種に対応している

 以前のイギリスでは、各民間団体がそれぞれに職業資格を付与していたために、資格は複雑多岐にわたっていました。こうした状況では、雇用者も求職者も、何が最適な資格であるか判断できず、混乱を招いていました。そこで政府が立ち上がり、創設したのが、NVQ(National Vocational Qualifications)と呼ばれる職業能力評価制度です。NVQ制度では、職業資格を難易度などの基準によって5段階レベルで分類し、取得レベルはその人の技能レベルを表わします。そして、この制度と連動して、取得した資格情報や安全衛生に関する知識レベル、就労履歴などを登録し、管理するものとして1995年に建設産業に導入されたのが、CSCSカードなのです。

 

さまざまな利点を持つCSCSカード

公式サイト

CSCSカードの公式サイト

  取得は必須ではありませんが、建設現場の多くで、このカードの所持が義務付けられるため、結果としてイギリスで働く技能者の大半がこのカードを取得しています。雇用時に取得レベルを提示することによって、技能者はよりよい処遇を得ることができますし、現場で作業している人間の技能レベルを把握できるなど、その利点は少なくありません。
 例えば、カードの取得には安全衛生知識に関する試験の合格が必須であり、受験に当たってはパスポートや運転免許証による本人確認が行われるため、不法就労者などが受験することはできず、その排除にも役立っています。
取材協力:芝浦工業大学工学部建築工学科 教授 蟹澤 宏剛氏

〈イギリスの技能者像〉

イギリスの技能者像

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