広報

建設産業の電子商取引

建設企業の実践的広報

日経BP社建設局長 宮嵜 清志
作家・土木史研究家 高崎 哲郎
仕事が取れる名刺の専門家 名刺協会理事 福田 剛大
株式会社KeyPro Creative 高橋和也

広報とは宣伝(ポスター、チラシ、CMなどの広告)と異なり、さまざまな企業活動をPRする活動のこと。基本的に、お金をかけずに、広く世の中に訴えかけていきます。例えば、昨年の東日本大震災では、建設関連企業が各地で復興支援に取り組みましたが、目立ったのは自衛隊の活動ばかりで、建設各社が話題になることが希少でした。「建設業界の広報はどうなっているのか?」という指摘も仕方がないでしょう。そこで今号の特集は、これからの建設企業の広報のあり方を考える「建設企業の実践的広報」を取り上げます。巻頭では、日経BP社建設局長の宮嵜清志氏に、建設業の広報における課題と実践的手法、考え方のヒントなどを伺いました。

手軽で誰でもできる広報活動最強の戦力になる「名刺」の作り方

仕事が取れる名刺の専門家
名刺協会理事 福田 剛大 氏
1968年、岩手県遠野市生まれ。日本大学法学部新聞学科卒。
電通ワンダーマンで売れるデザイン・コピーを担当し、5年前に独立。現在に至る。


「電話帳名刺」ではもったいない!

1209_01_tokusyu_8.jpg  建設業界に従事される方は、工事現場や客先、営業先など、さまざまな場所で名刺を渡す機会があると思います。初対面の人と接して、技術者としての自分を売り込む“千載一遇”のチャンスが到来したのに、名刺が、名前と会社名、肩書き、住所、電話番号、メールアドレスだけの、いわゆる「電話帳名刺」ではもったいないと思いませんか?私は、1枚の名刺に、以下7つの役割を持たせるべきと考えています。

7つの役割

①顔と名前を覚えてもらう
②自分と仕事に対して興味を持ってもらう
③自分と仕事を理解してもらう
④連絡先を伝える
⑤会話を成立させる
⑥実績、趣味・嗜好を伝える
⑦次のステップにつなげる

 このうち、特に重要なのが②と③です。名刺を渡す際、自分の会社や自分自身のことを話したい気持ちは分かりますが、相手の状況や都合もあって現実的ではないし、シャイな方も多いはずです。
 そんな時、名刺に
●なぜ、今の仕事に就いているのか(仕事に対する思い、目指したきっかけなど)
●自分と仕事をしたらどんなメリットがあるのか(相手の悩みを解消できるポイント)
 これらのことが簡潔に書かれていたらどうでしょう?相手の方はあなたに興味を持ってくれるはずです。会話のきっかけになる可能性も高まります。

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「仕事に対する思い」を名刺に書くためのポイント

でも、その「文章」をうまく書けそうにない……そんな人も多いと思います。そこで今回は、いくつかのヒントを紹介しましょう。まず、こちらの質問に答えてください。

質問1 なぜ、この会社に就職したのですか?
質問2 今まで仕事をやってきて辛かったこと、苦労したことは何ですか?
質問3 それをどうやって克服しましたか?
質問4 その経験を活かして、どうなっていきたいですか?

 質問の答えを200〜400字程度の文章にまとめます。ポイントは、「あなたのこの仕事に対する思い、情熱、夢など」です。例えば、「カンナで木を削り、家を建てる仕事に憧れて○○社に入社しました。でも、来る日も来る日も親方に叱られて、逃げ出したい気持ちになったこともあります。先日初めて親方に褒められて感激しました!まだまだ発展途上の私ですが、いつの日か日本一のカンナ職人になれるように一生懸命頑張るので、どうぞ暖かい目で見守ってください!!」……こんな感じです。
 また、相手に顔を覚えてもらうためにも「顔写真、または似顔絵イラスト入り」をおすすめします。そのほか渡す相手にアピールする工夫(使命のキャッチフレーズ、肩書き、会社のキャッチフレーズ、自分のプロフィールなど)を考えてみてください。心理学的にも、自分のことをオープンにすることによって相手も心を許してくれる傾向があります。「この人、こんな人なんだ!」「あ、私と趣味が同じだ!」……。上の例を参考に、ぜひ自分なりの名刺を作ってみてはいかがでしょうか。

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