建設業のほか、土木コンサルタントとして土木測量・調査・設計を主に手掛けている株式会社藤井基礎設計事務所(島根県松江市)。そのグループ会社として1987 年に誕生したのが、今回ご紹介する「有限会社シンク・フジイ」だ。同社は、建築現場や土木工事の現場で発生するさまざまな“危険”や“困ったこと”を解決するためのアイデア満載の道具を製品化し、世の中に提供している。その製品の多くは「しまね・ハツ・建設ブランド」で実証フィールド工事技術に登録されている。今回は、登録技術である、重機向け安全管理補助器具「ばか騒ぎ」、地盤監視警報システム「DCのび太安全管理システム」、標準貫入試験自動記録装置「勘太(かんた)」を紹介したい。
なお、この制度は、県内の建設業者及び建設関連業者が開発、施工または製造する新技術を募集し、「公共工事に活用できる技術であるか」について評価を行った上で、「しまね・ハツ・建設ブランド」として登録を行い、県が発注する公共工事などにおいて、活用機会の拡大が図られるよう、積極的に技術の情報提供を行うものだ。
■会社概要 |
会社名 |
有限会社シンク・フジイ |
所在地 |
〒259-1304
〒690-0011 島根県松江市東津田町 1349
株式会社藤井基礎設計事務所 内
TEL:0852-23-8454 |
TEL |
0463-26-6550 |
創 立 |
昭和62年6月 |
騒音振動遠隔監視システム「雲太(うんた)」
工事環境の保全を確保するシステム。
離れた場所でも騒音・振動のリアルタイム確認が可能で、管理基準値を超えた場合の警報も自動化。
http://www.yoi-kensetsu.com/match/jirei/035-01.html
技術の概要
インターネット回線を通じて土木工事現場における騒音・振動のデータを蓄積するとともに、現場の管理者やオペレーターなど、工事関係者にリアルタイムで提供するシステムである。現場近くにある住宅地などに設置した騒音計、振動レベル計、パソコンなどからなる「観測BOX」で常時現場の状況を観測し、そのデータをサーバーに送信、さらに工事関係者のパソコン、携帯電話などに配信されるという仕組みとなっている。工事現場から離れた場所であってもつねに状況がモニタリングでき、管理基準値を超える観測値が生じた場合は自動的に警報を発する機能も備わり、騒音・振動の環境基準遵守・維持のための対応がスムーズに行なえる。
受信端末としてパソコン・携帯電話が使用できるほか、重機オペレーター向けに携帯タイプ、腕時計タイプの「お知らせ装置」が用意されている。前者はフラッシュライトと音もしくは振動で、後者は音もしくは振動で基準値超えの警報を発するもので、オペレーターの“勘”を養うのにも役立つ。
「DCのび太」安全管理警報システム
危険な場所に設置したセンサーが地盤変位などのデータを無線で送信、土砂災害の予兆があれば自動で即時に警報を発するシステム。
http://www.yoi-kensetsu.com/match/jirei/036-01.html
技術の概要
地すべりやがけ崩れの予兆をとらえるには、それが起こりそうな場所に伸縮計や雨量計、歪計などの計測器を設置して地盤の状態を監視し続ける必要がある。従来は観測者が定期的に計測器の設置現場に記録を見に行く必要があった。災害が予想される現場に行くために、当然のことながら大きな危険を伴い、また、複数の現場に何度も足を運べば人件費もバカにならない……。
そこで同社は、危険な場所に設置された計測器のデータを無線で安全な場所まで送り、そこでデータを収集し、必要な警報を発令する システムを考えた。それが、地盤監視警報システム「DCのび太安全管理システム」だ。同システムは、地すべりやがけ崩れなど土砂災害のおそれのある場所の地盤計測データを、無線やインターネットを介して安全な場所にあるパソコンや携帯電話でモニタリングし、作業現場や関係者に警報を発令するシステム。その観測データは、複数の観測地点のデータを離れた場所で安全に、しかも低コストで分析することができる。
重機向け安全補助器具「ばか騒ぎ」
現場作業者が持つリモコンと重機に取り付けた警報装置で、お互いの接近を確認、重機と周辺作業者との接触事故を防ぐシステム。
http://www.yoi-kensetsu.com/match/jirei/036-02.html
技術の概要
工事現場では各種重機が稼働しているが、「オペレーターと作業員の意思疎通が図りにくい状況が災いして」重機と作業員の接触事故が後を絶たない。そこで、同社が考えたのは、作業員が携帯したリモコンを押すと重機内でサイレンが鳴り、これに気づいたオペレーターがサイレンを止め、重機に取り付けたパトランプが点灯するという仕組みで、作業員・オペレーター相互の意思疎通の確認が徹底される安全管理補助器具。大きなサイレンの音で危険を知らせることから「ばか騒ぎ」と命名した。
さらに、この「ばか騒ぎ」に会話機能や自動検知機能を追加した上位機種として、「ばか騒ぎ-TR」を開発。作業員が持つ子機と、重機内に設置された親機との間で双方向の通信が可能で、グループ会話を交わしたり、緊急時に一斉警報を発したりもできる。
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