人材確保・育成

FOCUS

FOCUS | 除雪作業を地域の方に理解してもらうために 新潟県/長野県

(社)新潟県建設業協会
(一社)長野県建設業協会
千葉県立東総工業高等学校

地域の除雪作業の現状

 除雪作業は、県や市から地元建設会社が受託し、行っているケースが多く、主に深夜から早朝の交通量の少ない時間帯に行われますが、費用面や人材確保の面からも除雪体制を維持するのが困難な現状もあります。これらの実態はあまり知られておらず、理解度も低いために「家の前に雪の塊があった」「除雪車で渋滞になった」など、除雪道路に隣接した住民や道路の利用者からの苦情も少なくありません。

除雪作業を地域の方に理解してもらうために

 こうした状況を多くの人たちに知ってもらい、除雪作業への理解を広めるために、新潟県建設業協会と長野県建設業協会では「除雪作業のPRビデオ、CM」を製作しています。

▶地域のために頑張っている姿を伝えたい

(社)新潟県建設業協会

 大雪の降った翌朝、幹線道路などでは、除雪されて通行可能になっています。こうした状況が当たり前と思っている方も多いかもしれません。
 新潟県建設業協会では、冬季の地域住民の皆さんの生活や産業活動を確保するため、いつ降雪があっても対応できるように除雪体制を組み、一定の積雪となれば夜間から早朝に除雪を行っています。地域の暮らしや安全・安心をつくり、守り続けていることを多くの皆様に知っていただくために、地域のために頑張っている建設業の姿を、テレビCMとして平成22年から3年間放映しました。テレビCMはホームページでもご覧いただけます。

(社)新潟県建設業協会ホームページ



 

▶縁の下の力持ちという建設業の本質を伝えたい

(一社)長野県建設業協会

 冬季、長野県建設業協会では地域の主な道路の除雪作業を行っています。しかし、地域の方々の認知度は低く、協会が独自にアピールする必要性がありました。より正確に伝えるためには映像が最適であり、動画で見せることで、視聴者に対するインパクトも強くなります。そこで協会がスポンサーとなり、人々の暮らしを守る使命に満ちた、建設会社のベテラン社員が除雪作業に尽力するドキュメンタリー番組を制作しました。
 もう一つのビデオは長野県北部地域(小谷村・栄村)で豪雪災害発令が出された時、協会員がボランティア活動で民家、公共施設、水道施設等の除雪を行った記録と地域の人たちの声をまとめたものです。長野県の中信地区・東信地区・北信地区の協会員が力を合わせ当日百数十名の参加を頂き実施した記録です。
 地震・台風・豪雪等の自然災害発生時、誰よりも早く現地に駆け付けるのは建設業に携わる地元企業の皆さんであることを、もっと多くの人々に知っていただく努力を今後も続けてゆくつもりです。
 「縁の下の力持ち」という建設業の本質をきちんと伝えるべく、現在、当協会のホームページではテレビCMを放映しております。

(一社)長野県建設業協会ホームページ



グループディスカッション

 編集部では、千葉県立東総工業高等学校にご協力いただき、建設科の生徒に「除雪作業のPRビデオ」を観てもらい、どうしたら地域の皆さんに除雪作業を理解してもらえるか、グループディスカッションを実施しました。


千葉県立東総工業高等学校 生徒の皆さん

 

初めて知る、除雪の現状

「除雪作業のPRビデオ」鑑賞

「除雪作業のPRビデオ」鑑賞

石井:てっきり除雪作業って役所の方がやっているんだと思っていて。震災のときだってテレビに映るのは自衛隊の姿ばかりだったから、まさか建設業界の人が真っ先に現場へ向かったなんて誰も知らないと思う。結局は除雪も震災の対応も、どちらもこの業界のアピール不足が原因じゃないかな。
宇野:僕も除雪作業員の方がこんなに朝早くから作業しているなんて知らなかった。
石毛:それに、除雪にかかる費用もかなりのものらしい。機材購入の経費もそうだし、ほとんど毎日動いているみたいだから人件費もかかりそう。このまま除雪をしてくれる人がいなくなったらどうなるんだろう。
多部田:そうなったら雪国の人は困るんじゃないかな。除雪なしに安全な生活は成り立たないわけだから、その存在は大きい。どうしたらいいんだろう。

 

どうすれば除雪を知ってもらえるのだろう

ディスカッションでアイデアを出し合う

ディスカッションでアイデアを出し合う

石井:まずは業界内の人に除雪を浸透させれば、いずれは社会全体にも除雪が広まっていくんじゃないかな。
及川:学校の授業でやるのはどうだろう。除雪作業員の方に来てもらって、実際にお話を聞いてみればイメージもしやすいだろうし。工業高校なら実現できそうな気がする。除雪の大変さとか、除雪機の種類を紹介すれば興味もわくと思う。僕は除雪機が道路用と歩道用で分かれているなんて今日初めて知って驚いたし、教科書にも載せたらいい。
多部田:そうだね。最初はそうやって学校や業界内で除雪を広めて、次の段階で社会に知ってもらうためにフェスティバルみたいな話題性のあるものをやったらいいと思う。ニュースや新聞で取り上げられれば人目にもつくだろうから。
宇野:やっぱりテレビの影響って大きいからね。
石毛:それをツイッターでも流せばさらに広まるかも。
石井:うん、まずはみんなの興味をひくことが大事だと思う。だから、最初は人が楽しめるようなことを沢山やってみたらいい。厳しい仕事については、その後でいい。
及川:たしかに「除雪しました!」ってただニュースで放送しても、ここみたいにあんまり雪の降らない場所では興味を持たれないだろうね。イベントとかでまずは業界に興味を持ってもらってから「裏ではこういう仕事もやってるんです」って伝えるのはいい方法かもしれない。
石井:たとえばテレビ欄に「除雪特集」って書いてあったとしても、たぶん見ないし、興味もわかないと思う。今流行りの芸能人が出演する特集なら見る人も多いと思うから、試しにやってもらいたい。
及川:そうだね。実際に芸能人にもやってもらって、その感想を流せばどれだけ大変なのか伝わると思う。武井壮のようなアスリート系の人がいい。武井壮VS学生で対決。突然学校に2mの雪が降ったと想定して、それを除雪する対決なんかはどうかな。僕らは学校で学んだ知識を使って、武井壮みたいに体力では勝ち目のなさそうな人に勝つことができたら、みんな「建設業界の人すごいな」ってなると思う。雪がなければ土を代用してもいい。実際、雪の災害が土砂になることだってあるわけだから。ニュースでも見たけど、雪の重みで倉庫がつぶれてその下敷きで亡くなった方もいる。雪って放っておいたら危険なものだし、大事なことだから知ってもらった方がいい。
田村先生:担任の田村です。最近は「ものをつくる」ってことばかりにクローズアップすることが多く、他のことにテーマを設けて授業をする機会が少なくなった。今回のビデオを観たことで、もし、学校の校庭に大雪が降ったときに、全職員と生徒が「じゃぁ、とにかく雪をどかそう」となり、皆がスコップを持って来るはず。「あっ!うちの学校に重機があるじゃん!」「じゃあ、重機は一体だれが運転できんの?」「あぁ、建設科だよ!」と、今日学んだことが建設業につながっていくと思う。本当にいい機会になりました。

 

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