人材確保・育成

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来春の供用開始へ工事大詰め 富士教育訓練センター共用棟・宿泊棟建替工事

職業訓練法人全国建設産業教育訓練協会 富士教育訓練センター

 
 はじめに

 職業訓練法人全国建設産業教育訓練協会(才賀清二郎会長)は、富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)の施設老朽化に対応するとともに機能を向上させるため、建替事業を計画し、昨年9月から共用棟・宿泊棟の建替工事に着手しました。会員はじめ、多くの関係機関のご支援、ご協力により順調に工事は進み、平成29年1月から供用を開始する予定です。工事の進捗状況などをご紹介させていただきます。

 
 進捗率は10月末に90%へ

 共用棟、宿泊棟を合わせ、進捗率は8月末で69.9%、10月末で90%を予定しています。現場で働く人たちは7~8月にかけて80~100人で、このおよそ半数は設備関係となっています。つまり、工事はいよいよ仕上げの段階を迎えているということです。
 以下に共用棟、宿泊棟別に8月末の工事の状況と、今後の進め方を説明します。

 
 5トンの非常用設備を搬入 ― 共用棟

 共用棟は、食堂、浴室、機械室で構成します。鉄骨造2階建て延べ2028.37㎡で、一度に約400人分の調理機能を持った厨房調理規模とし、食堂は一度に約170人を収容できるようにします。南側はガラスカーテンウオールを採用したことで、展望テラスとの一体感も感じられ、富士山を眺め、あるいは周囲の自然の季節の移ろいを楽しみながら食事ができるようになります。
 8月末現在の工事の状況は、建物外部では、屋根の軒先の納め、軒天へのLGS(ライトゲージスチール)の設置、塗装を進めています。また、内部では、既に展望テラスのガラスもはまり、エレベータの据え付け、天井内の設備工事などを行っています。食堂の天井については、LGSを設置してボードを貼りますが、建物の屋根勾配に合わせた勾配天井とし、空間を広く見せるようにしています。
 今後は、9月下旬に外部の足場を解体撤去し、外構工事に入ります。建物内部では仕上げ工事が続く中、9月20日から前面道路を3日間全面通行止めにし、70~100トンのレッカーを使って重さ5トンの非常用発電機などを搬入します。

 
 4棟すべてが着々と ― 宿泊棟
勾配が美しい共用棟の屋根越しに宿泊棟を望む

 宿泊棟は、壁式鉄筋コンクリート造3階建て延べ3894.00㎡。宿泊棟収容人数は、男子寮が283人、女子寮が43人(女性講師9人含む)、講師寮が30人の合計356人ですから、現在のおよそ1.5倍となります。
 8月末現在では、先行した西・北棟については建物外部がほぼ完了し、内部は室内の塗装工事、設備器具の取り付けを行っています。続く南棟は外部の塗装工事が始まりました。内部は設備配管・配線工事がメーンとなっています。工事用通路としていたことから最後に残された東棟については、8月末でPCの建て方が完了し、続いて屋上階のスラブのコンクリートを打設します。西・北棟は9月中に吊り戸棚を取り付けた後、床仕上げ工事(タイルカーペット)、衛生器具取り付け工事となります。南・東棟は、西・北棟を追い掛けて工事が進められます。

 
 供用後も実技訓練で整備予定

 その他、年内に共用棟に厨房機器を設置します。また、供用開始後、研修生の実技訓練として、今のところ、宿泊棟の中庭、駐車場のアスファルト舗装やタイル張りなどを行う予定でいます。

 
 「同業者の目に身が引き締まる」

 施工を担当した木内建設㈱(静岡市駿河区)の河村毅作業所長は、「安全の取り組みは、何が当たり前なのかというと分かりません。だから、当たり前のレベルを上げていくよう努めています」と話し、さまざまな取り組みを実践しています。月ごとの安全目標の設定、朝礼で全員による目標の唱和、「焦らず考動 作業前後の安全確認」の現場スローガンの下での施工。また、休憩後の災害防止に向けた昼礼の実施などです。
 一方、施工に際して、できる限り少ない人数で、つまり同じ人間が順序良く仕事を流していけるように工程を組むことで、品質の均一化を図っています。建設地が寒冷地のため、結露が生じやすいことから、断熱工事ではわずかな施工で現れる思わぬ隙間=ウイークポイントを作らないよう細心の注意を払っています。ある協力業者は「ミリ以下の単位で精度を求められて驚きました」と言います。
 施工場所は富士山の麓だけに、掘削時の岩、転石に悩まされ、あるいは不順な天候、寒冷期といった障害がありました。それ以上に当センターの来所者や講師が建築のプロであることから、河村所長は「同業者の目が気になりました。施工中だけではなく、竣工後も気になります。身の引き締まる思いです」と話しています。

 
 広報紙やホームページで工事を紹介

 当協会では、建替工事の状況について広く情報発信する目的で、今年から発行を始めた広報紙『朝霧高原の風』(タブロイド判、季刊)に毎号1ページを使って紹介しています。ここでは、工事の進捗説明に加え、協力業者のみなさんを「建替工事を支えるみなさん」のタイトルで、インタビュー記事を掲載しています。
 広報紙は、2000部を印刷し、会員、出えん団体、関係省庁などに無料で配布しています。10月発行の秋号(第4号)からは印刷部数を増やし、工業高校などにも送ることにしています。
 遅ればせながら、建築資料研究社(東京都豊島区)の協力により9月からホームページ上でアップデートの施工状況や工種別の作業の動画を掲載するようにしました。掲載する画像はほんの一部のため、再編集して教材として活用することも考えています。

 
 新本館教室棟も計画

 今年5月の当協会の総会で、新本館教室棟の建替計画が承認されたことから、木内建設㈱に実施設計を委託しています。今のところ、平成29年1月上旬に着工し、平成30年4月の供用開始を目指しています。
 当初の建替計画の達成、宿泊棟の収容人数に対応した教室数、実習場の確保、消費増税による経費増の回避といったことから、新たな建替計画の実施に踏み切りました。
 新本館教室棟の規模は、鉄骨造2階建てで、1階が1962.38 ㎡、2階が1992.44㎡の延べ3954.82㎡を想定。現在の本館を利用しながら工事を行うため、本館北側(現食堂・1号寮)から東側の現6号寮にかけて建物を配置する計画です。
 教室は、現行の10室から18室(講堂、大会議室を含む。また150人教室を間仕切りして2室として使用)に増やす予定で、宿泊棟の収容人数の増加に対応できるようにします。
 建設費については、共用棟・宿泊棟建替工事の当初事業費と発注価格との差額、厚生労働省の助成金、自己資金を充てることとし、計約13億5000万円を見込んでいます。詳細な建築計画の検討を踏まえるとともに、今後の収支状況等も勘案し、具体的な検討を進めていきます。

 
 ものづくりは人づくりから

 少子高齢化によって担い手育成・確保は、建設産業だけでなく、全産業の直面する課題となっています。そうした中で、教育訓練の果たす役割は、人材の確保と定着、生産性の向上に直結するものとしてますます重要になってきています。
 新施設の完成によって、開校当初からの「優れたものづくりはまず『人づくり』から」の信念をあらためて強固にし、建設産業のさらなる発展を支える施設としてお役に立てるよう努めてまいります。
 どうか、今後とも当協会、富士教育訓練センターに対しましてご理解、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。





 

富士教育訓練センター
〒418-0101 静岡県富士宮市根原492-8 TEL:0544-52-0968
URL:http://www.fuji-kkc.ac.jp/

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