人材確保・育成

FOCUS

FOCUS | 人に焦点を当て、若者に建設業の魅力をアピール

東北建設業青年会
会長 大山 圭介 氏

 平成24年4月、東北建設業青年会では、現場の一線で活躍している技術者に焦点を当てた冊子『技術者物語』を創刊しました。この冊子は建設系学科で学ぶ学生・生徒を対象に、建設業への入職促進を図る目的で、「地元の建設業に親しみを持ってもらうこと」をコンセプトにしたものです。本年4月には、その続編にあたる『技術者物語VOL.2』を建設業振興基金の協力により刊行しましたのでご紹介します。

もっと建設業を身近な存在に感じてほしい

会長 大山 圭介 氏 現在、建設業では、人手不足が大きな問題となっています。特に東日本大震災を経験した東北地方の建設企業にとって、将来の担い手となる若者を確保し、育成していくことは、今後も「地域の安全・安心」を守るという建設業の社会的使命を果たしていく上で、非常に切実な課題であると考えます。
 地域の建設業は、インフラの整備や災害時の緊急対応など地域の人々の生活に欠かすことができない役割を担っています。『技術者物語』創刊のきっかけは、若者に対し、こうした建設業の役割を分かりやすく伝え、身近な存在として関心を持ってもらうには、建設業で働く「人」に焦点を当て、親しみを感じてもらうことが有効であると考えたからです。

技術者一人ひとりの「物語」をありのままに紹介

技術者物語 東北建設業青年会は、東北6県の建設業協会会員企業の若手経営者によって構成されていますので、各県から一人ずつ技術者を紹介する構成にしています。内容は、▽入社の動機やいきさつ、▽入社後の仕事内容・現場経歴、▽現場代理人として携わった仕事、▽印象に残る現場やエピソード、▽仕事のやりがい・魅力、▽東日本大震災の被災地として復興に寄せる思い、▽建設業への就職を志す若者へのメッセージなどで、これを「物語風」に紹介しています。
 我々の会員企業は、地元に根差した中小の建設企業です。スカイツリーが注目を浴びたように、多くの人が知っているような大きな建物やその現場に携わった技術者を紹介することも若者に関心を持ってもらうのに有効だと思いますが、たとえ決して大きくはない現場であっても、そこで働く一人ひとりにそれぞれの「思い」と「物語」があります。変に飾ることなく等身大の姿を紹介する方が、本当の意味で親近感を抱いてもらえるでしょう。また、進路選択においても参考になると考え作成した訳ですが、刊行後、配布先の工業高校の先生から「建設技術者を身近に感じられる良い冊子なので是非継続して作成してほしい」という声を頂戴することができ、『技術者物語』のコンセプトは間違っていなかったと確信しました。

VOL.2発刊で内容をさらに充実

紙面では各県から1人ずつ技術者を紹介
紙面の詳細表示はこちら

 VOL.2の編集に際して、分かりやすさ・親しみやすさの向上という観点から内容の充実を図りました。駆け出しの若手技術者からベテラン技術者までバラエティーに富んだ人選をし、創刊号以上に写真やイラストを充実させ、当人のプライベートや若い頃の写真も掲載しました。また「上司・先輩から一言」のコーナーを作ることで、入社から徐々に成長していく課程を自然にイメージしやすい内容になったと思います。
 我々が普段当たり前に使っている資機材や技術などに関する用語も学生・生徒にとっては、全くの専門用語です。そこで、「教えて!建設用語」のコーナーでは、写真付きで用語の意味を分かりやすく紹介しています。学校の授業で習っていることとの関連性や実際の現場での意味合いが理解され、より授業や建設業に関心を高めてもらえるのではと期待しています。

VOL.3に向けて

 昨年度から、工業高校などの学校に出向いて、建設業の仕事を紹介する出前授業に取り組んでいます。『技術者物語』は建設業への入職促進ツールとして工業高校に配布するほか、各建設業協会における様々な入職促進活動で活用されています。今後は、実際の読み手である学生・生徒や先生へのアンケートを実施して、より内容の改善を図っていきたいと考えています。また、人数は少ないですが、学生・生徒さんの中には、建設業に興味のある女の子もいますので、彼女たちの目標となるような女性技術者も取り上げてみたいと考えています。

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