4月18日、第1回「JM職人甲子園」が東京都練馬区の光が丘ドームで開催されました。主催は、全国展開する店舗などの保守・メンテナンス業務を手掛ける㈱JM。今回は、同イベントを取材し、開催の目的や狙いなどをお聞きしました。
多能工16名が出場し、応援を含め約250人が集結
2007年に前田建設工業㈱リテール事業部から独立・設立されたのが、㈱JMです。同社は創業以来、全国展開する某コンビニエンスストア1万7千店舗の保守・メンテナンス業務(維持修繕管理、設備保守)を請け負うなど、店舗等のメンテナンスの世界では知られた存在です。事業の一番の特徴は、新たに建築物を建てるのではなく、既存の建物等の維持・修繕に対する社会的ニーズに応えることにより、ストックの長寿命化を図っていこうとしている点と、この担い手として、地元企業とフランチャイズ契約することにより、サテライトを全国60カ所以上に配置することにより、現場で作業する多能工等(同社では「クラフトマン」と呼ぶ)がメンテナンス事業に参入しやすくしている点です。
今回の「JM職人甲子園」は、そんな全国各地で活動する多能工の中から"腕に自信がある"16名が出場し、彼らを応援する関係者を含めると約250人が集結しました。競技は、午前(予選)と午後(決勝)に分かれ、午前中は、日々の業務に関わる課題を中心に構成。木箱を作り、その中に配管をしたり、JMPad(ビジネスモデル用にカスタマイズしたiPad)を使って報告書を作成したりといった基本的な技術の完成度を競い合い、その他JMに関するクイズ、牛丼の早食い競争などを実施。その結果、成績上位の3名が午後の決勝戦に進みました。
決勝戦の課題は、「お客様の店舗(コンビニ)の店先に車が突っ込んだ非常事態が発生。40分間という限られた時間の中で、どう復旧させることができるか?」。作業のスピードと仕上がりの美しさという2点が問われる中で、各選手ともに孤軍奮闘。手順やアプローチの仕方には三者三様、若干の違いはありましたが、皆さん全力を出して課題に立ち向かいました。そして厳正な審査の結果、栄えある第1回の優勝に輝いたのが、東京サービスセンターの八王子サテライトに所属する澤田(さわだ)一代(かずしろ)氏。メダルやトロフィーの他副賞として100万円を手にしました。また、惜しくも準優勝になった大久保秀和氏、第3位の山本徹氏にもメダルとそれぞれ副賞20万円、10万円が贈られました。
大会の模様。時間との勝負で手に汗握るバトルが展開された
真剣な表情の選手たち
優勝者を表彰する大竹社長
入賞した3選手
今まで支えてくれた方々に感謝
決勝戦は緊張しました。あんなに多くの観衆の前で作業することはないですからね。惜しくも優勝は逃しましたが、皆さんの応援のお蔭で上位入賞を果たすことができました。会社は「何でもやってみろ!」を大事にしていて、先輩から多くを学びました。今まで支えてくれた方々に感謝したいです。
ライバル選手を参考にしたい!
競技中は他の人の作業を見る余裕はほとんどなかったのですが、「あぁ、この作業から先にやるやり方もあるんだ」と気付かされたこともありました。大会の模様を録画してもらったので、後ほど映像を観て、他の選手の仕事も参考にしたい。できれば来年も出場して2連覇を狙いたいですね。
全力を出し切ったので満足です
結果的に3位でしたが、全力を出し切ったので満足しています。私は内装の大工を10年ほどやってからこの世界に入ったので、大工の素養はありましたが、電気や水道の知識・技術を覚えるのは大変でした。でも、この仕事は感謝してくれる人たちが身近にいて、やりがいは大きいです。
事務局に聞く
全国各地の多能工が交流し、刺激し合う機会に
㈱JMの企画室の上田康浩氏は、開催目的と狙いを次のように語ります。
「私たちの事業特性はフランチャイズを基軸とした店舗の保守・メンテナンスです。その最前線で活動している多能工の皆さんの技能向上の一環として開催しました。普段、多能工の皆さんは全国各地で仕事をしているため、なかなか一堂に会するチャンスがありません。こういった場を設けることで彼らの交流の場になり、自分たちがJMの仲間であることを再認識してもらえ、そして"心・技・体"を育成する場になればと、そんな願いを込めています。
また、もう一つの狙いとして、多能工の皆さんは公の場で技能を競い合う機会がほとんどないため、このイベントを通じて、他の多能工の技能を見て、知って、学ぶことができたのではと思っています。決勝に進んだ3人は素晴らしい技能の持ち主であり、それを間近で見学できたわけですから、他の多能工の皆さんにとっても『すごいな!』『次は自分がやってやる!』といった発奮材料になったはずです。今回初めての取り組みでしたが、当初の予想を上回る盛り上がりを見せました。準備も企画室の石川絵理をリーダーとして、JMグループでほとんど行ったので大変でしたが、ぜひ来年、再来年と続けていきたいです」
これに出場して優勝することが職人としての最高の栄誉になる。同時に全国から応援に来られたJMグループの方々にとっても、職人の皆さんの技能の素晴らしさ、カッコよさを再認識できる有意義な機会になったのではないでしょうか。