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平成27年度「作文コンクール」受賞作品が決定|建設産業人材確保・育成推進協議会

建設産業人材確保・育成推進協議会

濱本 謙二郎さん(北陸地建㈱・石川県)
菅野 勇也さん(㈱小野良組・宮城県)
国土交通大臣賞を受賞した4名の作品は、10月9日メルパルクホール(東京都港区)で開催された「優秀施工者国土交通大臣顕彰(建設マスター)式典」で朗読された

建設産業人材確保・育成推進協議会は、全国の工業高校の建築学科、土木科等の在校生を対象とした「 高校生の作文コンクール 」と、建設業に従事する労働者を対象とした作文コンクール「 私たちの主張―未来を創造する建設業― 」の作品を募集し、優秀作品を表彰しています。審査の結果、今年度の優秀作品が決定し、10月9日に国土交通省にて国土交通大臣賞受賞者への授与式が執り行われました。
本稿では、応募総数1,713作品(高校生の作文コンクール1,314作品、私たちの主張399作品)の中から、「高校生の作文コンクール」で国土交通大臣賞を受賞した松尾麗さん(長崎県立鹿町工業高等学校土木技術科1年)の「夢」と、中川智樹さん(長崎県立鹿町工業高等学校土木技術科3年)の「土木の魅力とこれからの日本」の2作品をご紹介します。

 
 高校生の作文コンクール


 今回で3回目を迎えるこのコンクールは、建設業への入職に関心を抱いてもらうために、工業高校の建築・土木、環境、デザイン学科などで学ぶ在校生を対象として、建設業で将来活躍する自分の姿、自分で造りたい建物などに対する「夢」や「憧れ」について、作文を募集するものです。今年度は応募総数1,314作品の中から、審査の結果、下記の優秀作品が決定しました。

 

 
(左から)中川 智樹さん、石井啓一国土交通大臣、松尾 麗さん

国土交通大臣賞
 松尾 麗  長崎県立鹿町工業高等学校1年「夢」
 中川 智樹 長崎県立鹿町工業高等学校3年「土木の魅力とこれからの日本」

土地・建設産業局長賞
 渡部 詩乃 福島県立喜多方桐桜高等学校2年「一ミリに変えられた自分」
 波多 海人 島根県立松江工業高等学校2年「ふるさとの島のために」
 柴戸 清哉 長崎県立鹿町工業高等学校3年「将来の舗装工事」

 
 私たちの主張 ―未来を創造する建設業―


 8回目を迎えたこのコンクールは、建設業の仕事に従事している方を対象として、建設業がもたらす「夢」や「憧れ」、建設業の仕事を選んだ動機、仕事のやりがいや自分の目標、これから就職しようとする若者や後輩へのアドバイスなどについて、作文を募集するものです。今年度は最年少18歳、最高齢71歳からの応募がありました。審査の結果、応募総数399作品の中から下記の優秀作品が決定しました。

 

 
(左から)菅野 勇也さん、石井啓一国土交通大臣、濱本 謙二郎さん

国土交通大臣賞
 菅野 勇也 ㈱小野良組(宮城県)「先輩の言葉・そして誇りに思える仕事」
 濱本 謙二郎 北陸地建㈱(石川県)「道」

土地・建設産業局長賞
 平野 惠麻 平岩建設㈱(埼玉県)「現場監督の仕事」
 関口 美幸 ㈱中越建設(新潟県)「私はドボジョ」
 水島 千瑛 ㈱竹延(大阪府) 「母親として現場で働くという事」

 

 「建築士の免許を取ろうと思う。」
 私が中学生の時、母が突然言いだしました。  それまで専業主婦である母の姿しか見たことがなかった私は、すぐに諦めるだろうと半信半疑でしかなかったのですが、私の予想に反し、母は家事が終わると毎晩遅くまで勉強を続け、ついには本当に免許を取り、建築士として働くことになりました。
 家事や育児をしながら働くのは大変です。しかも、母の仕事は工業系の男社会。毎日疲れていたに違いありません。しかし、母はとてもいきいきとして楽しそうに働いていました。私は母の変化に驚きつつ、「そんなにやりがいのある仕事なんだろうか。」と工業系の仕事に興味をもっていきました。
 元々、ものづくりが好きで中学校の技術の授業が得意教科だったのもあり、母の姿にあこがれの気持ちを抱いていたので、鹿町工業高校に進学し、工業の勉強をしたいと思うようになりました。
 そして合格後、無事に土木技術科に進学したのですが、学級に女子が一人という環境にとても不安を感じ、卒業までやっていけるのだろうかと自信をなくしてしまいそうでした。
 そこで、母に土木の仕事について色々尋ねることにしました。
 やはり、女性の社員がとても少なく、力仕事も男性と同じようにしなければならない大変なものだそうです。
 しかし、その苦労以上にやりがいがあると話してくれました。物を作る仕事は、完成すると形になり、結果が目に見える。何よりも利用者の方々から感謝されると、この仕事をしていて良かったと思えるそうです。
 これらの仕事をするには、国家資格が必要になります。そのため私の通う高校では、入学してすぐに第二種電気工事士の補習が朝と放課後に始まりました。初めの方は、とても辛くて、どうして土木技術科なのに電気に関する勉強をしないといけないんだろうと思うこともありましたが、二ヶ月間頑張ってきた成果が出て、結果、合格することができました。このことは、涙が出るくらい嬉しかったです。これから先、測量士補や二級土木施工管理技術検定などの資格試験があります。これらの試験も一生懸命努力して必ず合格したいです。
 私は今まで、建設に携わる職業は、力仕事で女性には向かないというイメージでした。
 確かに、私は女性だから男性に力は劣るかもしれません。しかし、仕事の効率や見た目の綺麗さ、正確さなど女性だからこそできることがこの職業にもあると思います。
 私は十年後立派な技術者になり、女性である私にしか創ることのできない自然環境に配慮した、人々が豊かに生活できる土木構造物・建築物に出会っていきたいです。

 

 現在、日本では東京オリンピックの準備や東日本大震災の復興工事のため、公共工事が増加しています。また、寿命を迎えたビルや建物、橋、道路といった土木構造物のメンテナンスなど、土木を学び、土木の仕事を志している私達にとって、このように必要とされ活躍できる時代は今後おとずれることはないといっても過言ではないと思います。
 私が学校の実習やインターンシップなどを通して感じた土木の魅力は二つあります。一つめはものづくりを通し、仲間の大切さを知ることができるということです。足場や小屋組みを立てる時、安全確認のため周りへの気配りはもちろん、皆で一つのものを作るために協力し合わなければなりません。そこからお互いに信頼関係が生まれ、仲間としての絆が深くなると考えます。私は剣道部に所属しているのですが、いつも心に留めている言葉があります。それは「仲間がいるからくじけずに最後までやり通すことができる。」という言葉です。どんなに辛い練習や、苦しくて辞めたいと思った時でも、仲間の存在が自分を支えてくれました。土木の仕事はこれ以上に苦しくて大変だと思います。しかし、自分は一人じゃない、支えあえる仲間がいることで、やり通す力が沸いてくると思います。
 二つめは、土木には見えない格好良さがあるという点です。東日本大震災の時、テレビでは自衛隊の方々が懸命に人命救助される姿などが連日放送されていました。もちろんその自衛隊の方々が救助に行くための道は、土木技術者によって整備されたものです。瓦礫だらけの危険な道を、復旧のため、誰よりも早く動いたのです。しかし、このことはニュースでは全く触れられていませんでした。この震災当時、私は中学生で、高校は鹿町工業高等学校土木技術科に進学しようと考えていたのですが、このように目立たない危険な場所で瓦礫や泥水の中を作業しなければならない土木の仕事に対して「辛くてきつい仕事」というイメージを持っていました。そして迷いながらこの高校に入学したのです。しかし、この二年間、沢山の実習の授業を通して人々の生活の基盤を支えるこの「土木」の役割を学ぶことで、考え方も変化していきました。今はあの災害時、復興への第一歩をいち早く踏み出した土木技術者を尊敬しています。たとえ人には見えなくとも、「人のため、世のため」になるこの仕事に誇りを持っています。
 これからの数年、復興やオリンピックにむけ、大きく日本が変化する時です。私もこの貴重な機会に土木技術者としてこれからの日本の役に立ちたいと考えています。まだまだ技術も知識も人間としての力も足りませんが、これから積極的に沢山のことを学んでいき、経験し、いつか自分が造るもので、日本の土木技術がすばらしいものだと世界中の人々を驚かし、感動させたい。これが私の夢です。





ご受賞作品はホームページでご覧いただけます  ▶『建設のしごと』

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