人材確保・育成

FOCUS

人材確保・育成の取り組み|平成28年度 地域連携ネットワーク選定先の決定&27年度報告会 有識者の声

建設産業担い手確保・育成コンソーシアム/地域連携ネットワーク構築支援

平成26年10月に設置されました「 建設産業担い手確保・育成コンソーシアム 」の活動も1年半以上経過し、研修カリキュラムや研修用テキストの策定等、いくつか成果があがっています。また、コンソーシアムの主たる事業である「 地域連携ネットワーク構築支援 」につきましても、平成27年度は25の団体が活動しておりましたが、平成28年度に新たな選定先が決まり、更に多くの地域での活動が予定されています。本稿では、28年度の選定先と27年度に実施しました報告会での有識者の声をご紹介致します。


 
 地域連携ネットワーク構築支援事業とは

コンソーシアムが行う支援策

1.地域連携ネットワークとは
 地域連携ネットワークとは、地域の総合工事業団体、専門工事業団体のほか教育機関、職業訓練施設、行政等が連携し、これまでに培ってきた知見を踏まえて、生徒・学生に対する職業教育や入職後の一貫した教育訓練について様々な施設や機会、手法を活用しながら、建設産業の担い手を確保・育成するための教育訓練体系の構築を目指す活動です。

2.支援の目的
 建設産業担い手確保・育成コンソーシアムは、各地域において組成された担い手確保・育成に係る連携ネットワークが行う教育訓練体系の構築を目指した取り組み(計画の作成、試行・評価等)について支援し、立ち上げに繋げます。また、これに加えて、教育訓練プログラム・教材等の整備、戦略的な広報及び連携が可能な職業訓練校間の情報交換、相互協力等を通じて地域連携ネットワークの取り組みを支援していきます。

地域連携ネットワーク構築支援事業ホームページ

 平成28年度 地域連携ネットワーク選定先

 平成28年3月30日に開催した、第6回 建設産業担い手確保・育成コンソーシアム 企画運営会議幹事会におきまして、平成28年度の地域連携ネットワーク構築支援先が決定されましたので、ご紹介致します。予備調査が10団体、実施事業を開始するのが15団体となっています。

1.予備調査選定団体
 
2.実施事業選定団体
 
 平成27年度下期報告会 アドバイザーの声

 地域連携ネットワーク構築支援事業に係る事業管理者を支援するため、専門的知識・見識を有する方を「地域連携ネットワーク構築支援アドバイザー」として登録しており、現在登録されているアドバイザーは次のとおりです。

 本年1月~2月にかけて全国主要都市5箇所(仙台・東京・名古屋・岡山・福岡)で開催致しました、地域連携ネットワーク報告会では25の団体(予備調査14団体・実施事業11団体)から報告いただき、参加されたアドバイザーからも講評を頂きました。本稿では参加いただいたアドバイザーの中から3名の方のコメント(抜粋)をご紹介します。

■ 仙台会場 参加 宮城県石巻工業高等学校 校長  佐藤 明嘉
 

 
  高校教育を担う立場からも「離職の問題」は大きな課題です。建設産業の担い手の確保・育成を考えた場合、2つの観点から考えていく必要性があると思います。一つは高校生(高校側)の基礎・基本の定着の問題です。もう一つは、建設産業特に専門工事業の仕事の難しさと人財育成が関係しているように思います。   この2つの観点(視点)の必要十分条件として、工業高校の存在があります。

  その工業高校も人口減少の影響により、所謂中学生の減少から学校の統廃合による学校の存続が本県はじめ、東北の各県も同様の課題を抱えています。その一つの改善策として、工業高校の「魅力づくり」が急務となっています。魅力づくりの一環として、協力・連携さらには協働という発想が必要だと考えています。そのようなことより、地域の核となるものづくりを担う人財を育てていく工業高校をもっと理解し、活用して欲しいのです。
  本校の所在地、石巻地域では、地域の子供達は地域で育てるをテーマに教育活動を展開しています。地元の企業の魅力づくりとその人財づくりについて商工会議所と連携を図っています。ぜひ工業高校に足を運んでいただき、工業高校との連携の窓口を作ってほしいと願うところです。
  私たちも、工業高校の今後については危機感を抱いています。ぜひ、このような機会を利用して協力・連携の道筋を期待するところです。どうぞ、工業高校の1日見学会等を企画して頂いて、子どもたちのものづくりの現場を確かな目で見ていただければと思っています。よろしくお願いいたします。
 
 
■ 仙台・岡山会場 参加 芝浦工業大学工学部 教授  蟹澤 宏剛
 

 
  コンソーシアムが何故つくられたか、この産業にいる方々に危機感を持って欲しいという意味であり、この産業の存続を考えるうえで、最後の機会だということで立ち上げられたものだと認識している。
  どのくらいの危機意識かは皆さん重々承知なのだと思うが、数値目標というものがある。これからどのくらいの技能者がいなくなってしまうのか。色々な機関が予想しているが、どう計算してもこれから10年間で、300数十万人の職人が、最低でも100万人はいなくなる。3分の1を穴埋めすることは、非常に難しく、このギャップを少しでも埋めるための方策を考えていくことは急務である。
  人材確保・育成と並んで国土交通省も重要な施策として取り上げているのが「生産性向上」であるが、技能者・技術者の教育をキチンとすることが、生産性向上に最終的には繋がることになる。
 
 
■ 東京・名古屋・福岡会場 参加 京都大学大学院工学研究科 教授  古阪 秀三
 

 
  国交省が設計労務単価4年連続で上げており、全体で3~4割上がっているが、市場単価は殆ど上がっていない。恐ろしいギャップがある。ゼネコンとサブコンは、どのくらい単価がおかしくなっているのか調べて、棚卸しして欲しい。利益がどちらにも入っていない、建設産業のとんでもない状態をどう変えていくかというのが、この連携でやって欲しいことだ。それを解決しない限り、入職促進は難しい。賃金が安ければ、いくら頑張っても入ってこない。
  鳶・鉄筋等の現場を見た若者が面白いという、その素直さをどう維持できるかが課題。我々がこの業界をどう健全に育てるかが重要である。
  それぞれの立ち位置から"ものづくりの流れ"を具体的に比較して、どこに無駄があり、どこに有効なものがあるのかを研究して欲しい。
  今後続けて欲しいのは、"連携"と"共有"である。成功の共有も勿論だが、失敗の共有が重要だ。最近、特にゼネコンで失敗の共有がなくなってきているように思う。失敗の共有をして、なおしていかねばならない。地域によって事情は違うが、それを共有した上で、何か違う展開があるかもしれない。
 

ページトップ

最新記事

最新記事一覧へ