基金の活動

FOCUS

FOCUS | ロボット企業インタビュー ROBOCOが行く! Vol.1 ロボット技術が建設現場を変える!

アクティブリンク株式会社 商材開発室 室長
小西 真 氏

建設業しんこうROBOCO×アクティブリンク
 
ROBOCO(ロボコ)

生まれたばかりのロボットの妖精。頭のヘルメットには秘密が隠されている。今後、建設業に関わる「ロボット技術」について取材を通じ勉強していく予定。今回はその第1回目。
 
商材開発室 室長 小西 真 氏

1964年大阪生まれ。外資系のマッサージチェア会社に長年勤務し、藤本社長とは業界の情報を交換する旧知の仲。会社が日本から撤退するのを機に、2011年末にアクティブリンクに転職し現在に至る。
 
 


 今やロボット技術は、掃除機や自動車、携帯電話など私たちの身の回りの製品に欠かせない技術となっています。建設業でもロボット技術の導入に積極的に取り組んでおり、昨年末には国土交通省が次世代社会インフラ用ロボットの現場検証を開始しました。建設業におけるロボット技術の可能性を探る「ROBOCO(ロボコ)が行く!」の記念すべき第1回は、今年パワーアシストスーツ「AWN(あうん)-02」の量産化に踏み切るアクティブリンク㈱の小西氏にROBOCOがお話を伺いました。

 

Q. アクティブリンクが考える「ロボット」とはどんなものですか?

 弊社では、「センサーとモーターがあり、その二つをつなぐコンピューターがある」、そういうものをロボットあるいはロボット技術だと考えています。ロボットといえば人型を想像されるかもしれませんが、最終的にはお客様の問題を解決する機械であればよいので、それぞれに合った形でいい。わりとなんでもアリなんですよ。
 さらに言えば、弊社のロボットにはスイッチやレバーはありません。センサーとモーターの間にコンピューターを挟むことで、スイッチのオンオフというひと手間なく、直感的に操作できるようにしたところがポイントです。

 

Q. 「アシストスーツAWN‐02」について教えてください。

「アシストスーツAWN-02」

 AWNはリュックサックのように背負う形のロボット。物を持って体を起こす時に腰を曲げ伸ばしする力をアシストします。想定している使用者は、建設業、農業などさまざま。過去の日本人の体型データを基に大体8~9割の人に当てはまるように作っています。
 ちなみに"AWN"という名称は、アクティブリンクのAと腰(ウエスト)のWでもありますが、スイッチがなく作業者の意志で動くということで、"阿吽(あうん)の呼吸"からきているんですよ。

 

Q. 開発時にはどんな苦労があったんですか?

 やはり大きさと重量が一番の課題でした。人が身に着けて作業するものですから、大きくて重いと邪魔になります。単に軽くするならパワーを少なくしたり電池容量を小さくすればよいのですが、それでは力の強さや電池の保ちが犠牲になります。犠牲を最小にしてより軽く小さくするにはどうすればよいか、そこが苦労するところであり、面白いところです。新しい電池を開発するのも一つの手ですが、それには億単位のお金がかかってしまうので、我々は今ある技術と工夫で解決していきたいと思っています。
 さらにもう一つ言うなら、いかに体にフィットするか。フィット感が満足でないと、モーターの力が同じでもアシストする力が体に適切に伝わらないので、使用者に楽に感じてもらえません。改善をくり返し、ようやく許容範囲まで来たところです。

 

Q. 今後パワーアシストスーツを広めていくための課題は何ですか?

 先ほども説明したように、AWNがサポートするのは腰の動きだけ。建設業などで日頃から腰で物を持ち上げている人がAWNを使うと「これは楽だね!」と喜んでいただけます。しかし、普段から重い物を持たない方は腕だけで物を持つ癖がついているので「あまり効かない」とおっしゃる。腕で持ち上げる力はサポートしないということを含め、使い方を説明する講習会などが必要だと感じています。
 また、これらのロボットが普及して使用範囲が広がれば、より上手に使いこなせる人が求められるようになるでしょう。我々エンジニアとしては、なるべく誰でも使いやすく、技能によって効果の差が出ないよう開発していますが、ユーザーはこちらの思惑を越えてより上手い使い方を編み出すことがあります。今後は重機などのように、免許や資格試験が必要になるかもしれません。
 そして、ロボットには継続的なメンテナンスが必要です。設計側で設定したメンテナンスのスパンはあるのですが、実際に現場で使われた時に当てはまるかどうか分かりません。今後、使用頻度や連続使用時間、使用環境などをチェックしていきたいと思っています。

 

Q. 御社のモットーは何ですか?

アクティブリンク株式会社

アクティブリンク株式会社

 弊社はパナソニックグループの一員ですので、松下幸之助の"産業報国の精神"という考えが深く根付いています。これは仕事でもって国に報いるという意味で、そこを目指すのが会社の目標ですし、エンジニアとして、自分たちの技術で人の役に立つ物を作っていきたいと思っています。
 お客様の抱えている問題を解決するために、我々がこれまで培ってきたロボット技術が使えるならそれでよいですが、弊社だけで解決できない時はそれぞれの先端分野で研究している大学や企業などに協力を求めます。他の方法が必要なら、協力してもらえるところと積極的につながっていく。社名の"アクティブリンク"はそれを言い表した名でもあるのです。

 

Q. 最後に、ロボットがある社会ってどんなものだと思いますか?

 我々が目指すのは、ロボットがあることがあまり意識されない社会です。当たり前に存在し、利用される状態。早ければ数年後にはそうなっていると思います。建設業でも、ロボットが広く普及すれば、より多くの方に楽に働いていただけるようになりますし、労働寿命も延びるでしょう。
 また、取り扱いが簡単になって安価になれば、家庭もターゲットに入ってきます。今後ますます高齢化社会になりますから、各家庭や社会全体のバリアフリー化は当然必要です。ロボットはその要望にももちろん対応できる。しかしそれとは別に、高齢になっても旅行に行きたい、山登りをしたいといった、誰にでもある希望、そういう"人の生き方"そのものを何らかの形でアシスト・サポートするロボットが望まれる時が来ると信じています。

(2014年12月1日、アクティブリンク本社にてインタビュー)

 

取材を終えて...
 今回の取材で感じたのは、「ロボットが身近にいる生活」というのが本当にすぐそこまで来ているということ。取材の中で小西氏が「うちはロボット企業としては異端」と楽しそうに話す姿が印象的でした。これまで、どれだけの革新が"異端と呼ばれた者"から生み出されてきたでしょうか。今後のロボット技術を背負って立つアクティブリンクに要注目です!
 

ページトップ

最新記事

最新記事一覧へ