企業経営改善

2. ICT土工を中心にi-Conが急拡大

建設ITジャーナリスト 家入 龍太

 
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 ICT土工を中心にi-Conが急拡大

 
 
国交省が約970件のICT土工を発注

 従来の労働集約型工事とは大きく異なるi-Con工事だが、国土交通省の強力な推進体制により、発注数は当初の予想を大幅に上回るペースで拡大している。
 2016年10月時点の入札公告済みベースでは、i-Conの主力工事であるICT土工の発注件数が2016年度末までに約970件となっており、年間では約1,080件に達する見込みだ。さらに新潟県、石川県、静岡県などの地方自治体でも、ICT土工の導入が始まっている。
 国交省は「i-Construction」のコーナーをウェブサイトに設け、i-Conに関する最新情報を発信している。その中には「ICT土工事例集」として、国交省の直轄工事や地方自治体で発注された20数件の事例を掲載し、取り込みの概要や現場の声をまとめている。
 例えば、全国で初めて発注されたICT土工工事の1つである道央圏連絡道路 泉郷改良工事(施工場所:北海道千歳市、施工者:砂子組)では、ドローンによる施工前の測量やICTブルドーザーによる敷きならしなどを行った。
 現場からはドローンの使用によって「起工測量の日数が約1週間から3日に短縮できた」「多数のデータを取得できるため土量算出などの精度が向上した」「ICT建機の活用で経験の浅いオペレーターでも高精度に仕上げることができた」「丁張が不要になった」といった声が聞かれた。
 平成27-28年度桑野川右岸黒津地堤防工事(その2)(施工場所:徳島県阿南市、施工者:藤本建設)では、未熟練の女性技術者が、わずか数日間の練習で、ICT建機を使って、曲線部の法面整形を行えるようになった事例が紹介されている。
 バックホーの運転席内に設置されたモニターで、設計法面の位置に対するバケット位置などを確認しながら作業することで、手直しもほとんど必要なかったという。熟練オペレーター不足に悩む建設業にとって、ICT建機は救世主とも言えそうだ。
 また、秋田県建設業協会、東北測量設計協会、秋田河川国道事務所が組織したICT活用土工実証検討会は、秋田県内のICT土工現場でICT土工のPR活動を行ったところ、地元高校生や建設業関係者など約150人が参加した。
 参加した高校生は「ICT導入のメリットが分かった。現場の作業は大変だと思っていたが、工事技術の進化を感じた」と語ったという。i-Conによる新しい現場の魅力を若者に知ってもらうことは、将来の人材確保にも大きな力となることは間違いなさそうだ。

ドローンによる起工測量(上)とICTブルドーザーによる敷きならし(下)(写真:国土交通省の事例集より)
わずか数日間の練習で法面整形を行った女性技術者(上)と現場(下)(写真:国土交通省の事例集より)
ドローンで空撮した公開現場(上)。3次元設計データの説明を聞く高校生ら(下)(写真:国土交通省の事例集より)
 
 

 

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