協会団体、中小企業の担い手確保・育成に「知ってトクする助成金制度」
助成金には行政以外に、都道府県、市区町村で行っているものなど多種多様です。中でも建設業の人材確保・育成に関する助成金は、他業種よりも種類が多いといわれており、中には建設会社(事業者)が独自で活用できる助成金も少なくありません。ぜひ、各窓口に問い合わせをして活用できる助成金を探してみてはいかがでしょうか。
本頁では数多くの助成金の中から、厚生労働省の『建設労働者確保育成助成金』を紹介します。
そもそも助成金制度とは?
「助成金」とは、国や地方公共団体などから支給されるお金のことです。財源は公的な資金から出されるものですので、所定の様式に従って申請を行い、要件を満たした事業者には原則給付されるものが多いです。
これに対して「補助金」というものは、採択件数や金額があらかじめ決まっているものが多く、期間内に所定の書類をそろえ申請するものですが、採択件数に対して応募件数が上回り、妥当性や必要性をアピールできないと採択には至りません。企画提案力と提出書類の内容が極めて重要となります。
おのおのの制度の内容をよく理解した上で、活用するようにしてください。
技能の向上
認定訓練や技能実習の実施・受講
雇用管理制度の導入
評価・処遇制度、研修体系制度、健康づくり制度、メンター制度など雇用管理改善につながる制度の導入
啓発活動
建設産業の役割や魅力を伝えるための活動やイベント、学生や親御さん向けの現場見学会の開催
入職、定着の改善
若年者および女性の入職や定着に向けた評価や処遇制度、時短や休暇制度の普及、出産や育児制度などの導入に関する講習会や優良な技術者・技能者に対する表彰制度
研修・セミナー・説明会
新入社員研修や技能の向上を図るためのキャリアアップ研修、および社内研修等の開催
現場実習・インターンシップ等
若年者の入職促進のための体験実習の開催
建設事業者が活用できる厚生労働省 平成27年度『建設労働者確保育成助成金』
『建設労働者確保育成助成金』は、建設労働者の雇用の改善、技能の向上を目指す中小建設事業主を支援する制度です。
雇用保険を支払っている建設事業者の皆さんは、「自分たちのための助成金」と意識してこの助成金をご活用なさってはいかがでしょうか。
こんな建設事業主にお勧めします!
❶建設労働者の入職、定着を目指して社内の制度を整備したい...評価・処遇制度、研修体系制度、メンター制度の導入など
❷建設労働者に対して研修を実施したり、講習を受けさせたい...認定訓練や技能実習の実施・受講など
❸若年者や女性に魅力のある職場をつくりたい...現場見学会の実施、雇用管理責任者の育成、表彰制度の導入など
どんな建設事業主が受給できるの?
次の❶と❷を満たす建設事業主(対象を中小建設事業主に限定していない助成メニューの場合は❶のみ)
❶建設労働者を雇用して建設事業を行う、雇用保険の適用事業主であること(「1 人親方」や「同居の親族のみを使用して建設事業を行っている事業主」は建設事業主に当たらない)
❷資本金の額もしくは出資の総額が3億円以下、または常用労働者数300人以下の建設事業主であること
※実際には、この他にそれぞれの助成を受けるための要件がありますので、各都道府県の労働局またはハローワークへお問い合わせください。
※別途、建設事業主団体に対する助成金もあります。
建設労働者確保育成助成金|建設事業主向け
厚生労働省
「建設労働者確保育成助成金」は、建設労働者の雇用の改善、技能の向上のための職業訓練などを実施する中小建設事業主や中小建設事業主団体に対して、経費や賃金の一部を助成する制度として、各都道府県の労働局、ハローワークで申請手続きをすることができます。下記では、建設労働者確保育成助成金のコースとその概要、助成額について解説します。
建設事業主向け助成コース・助成額一覧(平成27年度)
コース |
概要 |
助成額 |
●認定訓練
職業能力開発促進法に規定する「認定職業訓練」または「指導員訓練」のうち、建設関連の訓練を実施した場合に助成を受けることができます。 |
経費助成 |
中小建設事業主が職業能力開発促進法による認定訓練を行った場合、経費の一部を助成(都道府県から補助金等の交付を受けている認定訓練であることが必要) |
広域団体認定訓練助成金の支給又は認定訓練助成事業費補助金の交付を受けて都道府県が行う助成により助成対象経費とされた額の1/6 |
賃金助成 |
中小建設事業主が雇用する建設労働者に有給で認定訓練を受講させた場合、賃金の一部を助成(キャリア形成促進助成金またはキャリアアップ助成金の支給を受けていることが必要) |
対象の建設労働者1人1日当たり5,000円 |
●技能実習
若年労働者の育成と、熟練技能の維持・向上を図るための、キャリアに応じた技能実習を実施した場合に助成を受けることができます。
【例えば】
◎安衛法に基づく教育や教習、技能講習 ◎能開法に規定する技能検定試験のための事前講習 ◎建設業法施行規則に規定する登録基幹技能者講習 ◎施工管理に関する技術検定の講習など |
経費助成 |
中小建設事業主が雇用する建設労働者に技能実習を行う場合や、登録教習機関等で行う技能実習を受講させた場合、経費の一部を助成 |
技能実習の実施に要した実費相当額の9割(委託費は8割)
(※)ただし1つの技能実習について、1人当たり20万円を上限 |
賃金助成 |
中小建設事業主が雇用する建設労働者に有給で技能実習を受講させた場合、賃金の一部を助成 |
1つの技能実習について1人1日当たり8,000円かつ20日分を上限 |
●雇用管理制度
若年労働者の入職や定着を図るため、就業規則や労働協約を変更することにより雇用管理改善につながる制度を導入し、実際に実施した場合に助成を受けることができます。
【例えば】
◎評価・処遇制度...職務や技能等に応じた評価・処遇制度、昇進・昇格基準、賃金体系制度の導入など ◎研修体系制度...教育訓練・研修制度の導入など ◎健康づくり制度...メンタルヘルス相談の導入など ◎メンター制度...指導・相談役となる先輩(メンター)が若年者(メンティ)をサポートする制度の導入 |
整備助成 |
【制度導入助成】
建設事業主が雇用管理制度を導入・実施した場合に助成 |
導入・実施した雇用管理制度の区分に応じてそれぞれ10万円 |
【目標達成助成】
制度導入助成の支給を受けた建設事業主が計画期間終了から1年経過後に離職率及び入職率を一定以上改善した場合に助成 |
離職状況のみ改善 60万円
離職状況、入職状況ともに改善120万円 |
●若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業
若年者及び女性労働者の入職や定着を図るため、「若年者及び女性労働者に魅力ある職場づくり」につながる取組を実施した場合に助成を受けることができます。
【例えば】
◎現場見学会や体験実習、インターンシップ等の建設業の魅力を若者に伝える取組など ◎建労法に基づき雇用管理を行う雇用管理責任者の知識の取得及び向上への取組など ◎優良な女性技能者に対する表彰制度など |
経費助成 |
建設事業主が若年及び女性労働者の入職や定着を図ることを目的とした事業を行った場合、経費の一部を助成 |
実施経費の2/3かつ200万円を上限(中小建設事業主以外は1/2) |
●新分野教育訓練
雇用の創出・確保、経営基盤の強化を図るため、建設業以外で、現に営んでいない分野の事業を新たに開始しようとする場合に助成を受けることができます。
【例えば】
◎農林水産関連分野 ◎環境・リサイクル関連分野 ◎自然エネルギー関連分野 ◎福祉・介護関連分野 ◎健康関連分野、飲食・加工食品関連分野 ◎レジャー・観光関連分野 ◎地域コミュニティ・生活関連分野など |
経費助成 |
中小建設事業主が建設労働者を継続して雇用しつつ建設業以外の新分野事業に従事させるために必要な教育訓練を行う場合、経費の一部を助成 |
実施経費の1/3
新分野進出後さらに1/3
(新分野教育訓練終了後および新分野事業進出後それぞれ、1人当たり20万円かつ1対象教育訓練当たり200万円を上限) |
賃金助成 |
中小建設事業主が雇用する建設労働者に有給で建設業以外の新分野事業に従事させるために必要な教育訓練を受講させた場合、賃金の一部を助成 |
訓練終了後、新分野進出後それぞれ、1人1日当たり3,500円かつ40日分を上限 |
●作業員宿舎等設置
被災三県における作業員宿舎等の確保に対して助成を受けることができます。 |
経費助成 |
中小建設事業主が被災三県に所在する作業員宿舎、作業員施設、賃貸住宅を貸借した場合、経費の一部を助成 |
実施経費の2/3(ただし、賃貸住宅は、1人最大1年間かつ月額3万円まで)かつ1事業年度当たり200万円を上限 |
●建設事業主 : 建設労働者を雇用して建設事業を行う者をいいます。建設労働者を雇用しないで自ら建設業を行ういわゆる「一人親方」および「同居の親族のみを使用して建設事業を行っている事業主」は、 建設事業主には当たりません。
●中小建設事業主(中小企業): 資本金の額もしくは出資の総額が3億円以下、または常用労働者数300人以下の建設事業主をいいます。
※被災三県(岩手県、宮城県、福島県)については、技能実習(経費助成)コースの助成率は10割。