人材確保・育成

担い手確保に向けた 技術検定の取り組み

担い手確保に向けた 技術検定の取り組み

国土交通省 土地・建設産業局 建設業課 建設業技術企画官 伊藤 高

 担い手確保に向けて若者が入職しやすい環境整備を進めるべく、建設業法に関わる技術者制度の改革が進められています。技術検定の受検資格要件の緩和もその一環です。国土交通省が進める「検定制度の緩和策」と、技術検定支援の取り組みについて紹介します。



将来の担い手確保を支援する技術検定制度




技術検定の概要

技術検定種目と各指定試験機関一覧

種目 試験機関
 建築、電気工事  一般財団法人 建設業振興基金
 土木、管工事、造園  一般財団法人 全国建設研修センター
 建設機械施工  一般社団法人 日本建設機械施工協会

 「技術検定」とは、建設業法(昭和24年法律第100号)第27条に基づき、施工技術の向上を図るため、建設業者の施工する建設工事に従事し又はしようとする者について実施している試験になります。技術検定は、建築施工管理、電気工事施工管理等の6種目(右表)について1級・2級の別に、学科試験及び実地試験によって行われています。技術検定に合格した者は、1級建築施工管理技士、1級電気工事施工管理技士等を名乗ることができ、工事現場で施工の技術上の管理を行う監理技術者、主任技術者となることができます。
 近年、若手入職者の減少、技術者の高齢化が進んできており、建設産業の将来の担い手となる若手技術者の確保が急務となっています(下図)。
 こういった状況を踏まえ、優秀な若手技術者を確保する観点から、技術検定試験制度の見直しを行っております。本稿では、近年の主な技術検定制度の見直しと今後の検討項目についてご紹介します。

若手入職者の減少と技術者の高齢化

 

 見直し内容 ▶ ▶ ▶
 

1級技術検定試験の受検資格の見直し

 平成26年度の技術検定試験より、建設企業が若手技術者に対して監理技術者に必要な技術力や指導力を早期に習得させる取組みを評価し、高等学校指定学科卒業者で実務経験のみで受検する者について、専任の監理技術者の配置が必要な工事に配置され、監理技術者の指導を受けた2年以上の実務経験を含む場合に、1級技術検定の受検にあたり必要な実務経験年数を2年短縮し、全体で8年の実務経験で受検できるようになりました。


2級施工管理技術検定試験の試験地区の拡大

 平成27年度の技術検定試験より、工業高校生等の若手受験者の利便性が向上し、受検機会の拡大につなげるため、2級施工管理技術検定試験(学科のみ受検)の試験地区の拡大を行いました。具体的には、建築施工管理・電気工事施工管理は6地区、管工事施工管理・造園施工管理は1地区を追加しております。


実務経験年数算定基準の緩和

 平成27年度の技術検定試験より、技術検定の受検に必要な実務経験について、従来は受験申込時で計算しておりましたが、学科試験の前日までで計算することができるようになりました。さらに、2級合格者が1級を受検する際は、必要な実務経験について、従来は合格証明書交付日より計算しておりましたが、合格発表日より計算できることとなりました(下図)。これらの変更により実務経験を有する者は半年以上の早期受検が可能となります。

実務経験年数算定基準の緩和(平成27年度建築施工管理)

※詳細については、各試験の受験の手引きや、試験を実施している試験機関のホームページ等でご確認ください。



2級技術検定(学科試験)の早期受検

 平成28年度の技術検定試験より、2級のすべての種目に関して、高等学校指定学科卒業者、高等学校指定学科外卒業者の別に関わらず、実務経験なしで学科試験の受検が可能となるように検討しております。この見直しにより、若手受験者の早期受検が可能となることによる建設業界への就職支援と、若手技術者の早期離職の防止を図ろうと考えております。本件は政令で位置づけられているため、秋頃の政令改正に向けて調整しております(下図)。

2級技術検定(学科試験)の早期受検


 

 今後、試験会場数の拡大やその他支援策等の試験方法の改善を検討し、建設産業の将来の担い手確保に向けた取組みを行って参ります。

 
担い手確保に向けて

 5月19日、国土交通省(中央合同庁舎3号館)4階幹部会議室で、第10回 建設産業活性化会議が開催され、平成27年度 官民による重点的な取組事項である「建設業における担い手の確保・育成と生産性向上」について意見交換が行われた。若者の早期活躍の促進、教育訓練の充実強化として、「技術検定の受験要件を大幅に緩和」についても議題となった。
 

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