現下のわが国建設産業界においては、将来を担う若手技術者・技能者の入職と早期育成が喫緊の課題となっていますが、これに対する具体的な施策として、建設業法に定める2級施工管理技術検定学科試験（以下、「2級学科試験」、という。）は平成28年度に実施される試験より受検資格が緩和され、年度末において満17歳以上の者の受検ができるよう法改正がなされました。

　建築や土木など、建設業関連の学科を設置する各工業高等学校においては、従前より2級学科試験の実施に協力いただいておりますが、建設産業の振興を組織の第一の目的とする本財団としては、建設系学科に入学された生徒さん達が2級学科試験を在学中に合格されたのち、将来的に建設業界に就職いただき、学校で学んだことを実社会で活かすことを通じ、「仕事のやりがい」と「ものづくりの幸せ」を感じていただくことが非常に意義深いことであると考えています。

　このことから、本財団では平成28年3月、公益財団法人全国工業高等学校長協会、全国高等学校建築教育連絡協議会及び全国高等学校土木教育研究会のご協力のもと、建設系学科を設置する工業高等学校に対して、建設業への就職支援をはじめ、在学中における資格取得支援についてのアンケート調査を行うとともに、特に2級学科試験の資格取得教育に力を入れている10校の工業高校の先生方へのヒアリング調査を実施し、事例集として取りまとめを行いました。

　本事例集では、工業高等学校における就職支援の状況や卒業生の進路の状況をはじめとして、資格取得教育の現状と課題、建設業界に望むことなど、幅広い内容を収録しています。なお、事例集は本財団のホームページ内「 文書データベース 」で「工業高等学校　事例集」と検索することで閲覧が可能です。