基金の活動

活力と魅力ある建設産業の実現へ

若手職員が聞くこれからの基金に向けて

INTERVIEW|CI-NETの特性を活かし 業界へのさらなる支援を

語り手:㈱CIラボ 代表取締役 山下 純一 氏
聞き手:建設産業情報化推進センター 部長(取材当時) 小林 安行

 一般財団法人建設業振興基金は1975(昭和50)年に設立され、本年7月16日に創立40周年を迎えます。当基金と関係の深い16名の有識者の方にインタビュー形式でこれまでの基金、これからの基金について貴重なご意見を賜りました。ご多忙を極める中、快くお引き受けいただきましたことに心から感謝申し上げます。40周年の先にある新しいステージを目指して、役職員一同、従前にもまして業務に励んで参ります。今後とも関係各位の一層のご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

基金との関わり


山下 純一 氏

小林 山下さんと当基金は、CI-NETで長いお付き合いをさせていただいております。
山下 情報化評議会(CI-NET)が設立されたのが1992年です。基金とのお付き合いは、それ以前からの関わりなので、1988年に「建設産業情報ネットワーク研究会」を立ち上げたころからですから、四半世紀以上になりますね。
小林 現在、CI-NETは大手を始めゼネコンでは26社、傘下の協力企業では約10,000社に利用いただいております。建設産業の取引業務に関する標準化を進めるのに大変なご苦労があったと思います。
山下 そのころは、たしかCI-NET標準ビジネスプロトコルを策定していましたね。各社が個別の仕組みを作り運用してしまっては、とてもじゃないが協力企業にまで広がらない。「業界として電子商取引の手続きを標準化していく必要がある」と、情報化評議会の中で少しずつ共通の認識になっていきました。必ずしも道は平坦ではなかったですね。

 

取引を簡便化できる仕組みが CI-NETを普及させる


小林 安行

小林 当時、インターネットは利用可能でしたが、あまり普及していなかった時代ですね。
山下 ええ、そうではありましたが、先を見据えてインターネットでの電子商取引化を進めました。本来CI-NETは、建設産業全体の生産性向上を図るために、建設生産に関わるさまざまな企業間の取引情報を、ネットワークを利用して交換するための仕組みです。
 現在インターネットという情報ネットワークは社会に浸透してはいますが、中小企業や地方では、まだまだCI-NETの普及・浸透が進んでいない状況もあるようです。
小林 その中で、どう進めていく必要があるでしょうか。
山下 例えば、韓国ではスマートフォンを使いその場で契約ができるよう簡便化しています。日本でも、もっとインターネットの特性を活かし、その場で、例えば現場で利用できるような仕組みになれば、爆発的に広がっていくのではないでしょうか。
 建設業は、製造業などとは違い、社内で完結する割合が少なく、外部と仕事をすることが多い業界です。ゼネコンもインターネットで協力企業を探すことも多くなりました。いかにインターネットを活用できるかが、生産性を大きく左右するポイントだと思います。

 

何をしている組織なのか しっかりと伝えていくべき

小林 基金でも若手の採用を進め、組織の活性化に取り組んでいます。これからの基金には何が必要とお考えですか。
山下 若い人たちが「建設業振興基金」という名称を聞いたときに、この組織がどんな機能を持っているのか想像し難く、外から基金を見る人たちにとっても、いったい何をしている組織なのかが見えづらい。特に新卒の場合は、その会社を理解して就職しているかが、その後の成長に大きく左右していくでしょう。この点はもっとPRが必要だと思います。
小林 若い職員にアドバイスをお願いします。
山下 一番大切なのは具体的な目標を持つこと。そして、その目標に向かって一歩一歩前進すること。それが伸びる人材の条件です。そのためにも、若手の方々に対して「何をしている会社なのか」、「この職場にどんなやりがいがあるのか」をもっと明示すべきですね。

 

業界のネットワークを確立し 細部にまで支援の手を

小林 基金は今後どのような組織になるべきとお考えですか。
山下 建設業界にはさまざまな分野、業種があり、関連するさまざまな組織、団体があります。事務所を構えていない小規模な団体や協議会も少なくはありません。しかし、なかなか発言権が得られず声に出せないでいるようです。基金には、そういった方々の声を吸い上げ、支援してあげられるような組織になってほしいですね。
 CI-NETは、業界内の複雑化したやりとりをシンプルにし、効率的な運営をサポートしてくれる仕組みです。これを駆使することで業界のネットワークを確立し活用していくことができれば、業界細部への支援も十分可能だと思います。その特性を十分に活かし、CI-NETの早期普及、浸透にも努めていただきたい。
小林 分かりました。本日は貴重なご意見、ありがとうございました。

 
CI-NET利用の企業識別コード登録企業数の推移
 
 
㈱CIラボ 代表取締役 山下 純一


略歴:CI-NET政策委員会委員、旧C-CADEC運営委員会委員長、㈱CIラボ代表取締役、(一社)IAI日本代表理事。長年3D建物モデルの情報共有標準(IFC)策定に携わる。また、国連欧州経済委員会 UN/CEFACT TBG6副議長として電子入札国際標準を策定。

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