歴史資料

温故知新 伝統と最先端の融合|歌舞伎座

歌舞伎座

 明治四十四年(一九一一年)、初代(第一期)歌舞伎座は施設の老朽化と帝国劇場の開設を機に、改築工事が行われた。この頃、ヨーロッパの近代的な演劇を確立しようとする運動が起こるなど、旧派(歌舞伎)に対する新派が人気を博していたことも影響し、外観が純洋風の帝国劇場に対抗して初代の土台や骨組みを残した純和風の宮殿造りになったようだ。
 第二期歌舞伎座は、正面車寄せを唐破風造りとし、正面の大玄関は格の鏡天井、客席には総檜造りの高欄など、あまりの豪華さに神殿と間違え、お賽銭を上げた人もいたと伝えられている。惜しくも大正十年、漏電により焼失し、大正十三年には現在の建物の原型である第三期の大殿堂が完成する。昭和二十五年には近代的な設備を整えた第四期が再建され、今年四月、高層オフィスビルが併設された第五期歌舞伎座が、いよいよ開場となる。
 一世紀以上にわたり日本演劇史にその名を残してきた歌舞伎座は、これからも人々を楽しませてくれるだろう。

正式名称 / 歌舞伎座(第二期)
所在地 / 東京都中央区銀座四丁目12番15号
設計・施工 / 志水正太郎
構造 / 木造
竣工 / 1911年(明治44年)

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