歴史資料

琉球の思いを掲げて 守礼門

 

 

 琉球王国尚清王在位中十六世紀半ば頃に創建された「守礼門」。首里城の玄関口に当たる建造物であり、二千円紙幣の図柄としても有名である。牌楼と呼ばれる中国の伝統的建築様式の門を基本に、屋根は赤瓦の入母屋造りという、沖縄の風土に合った独自の建築手法を用いている。
 戦乱に荒れた沖縄では、廃墟と化した文化遺産が数多くあった。守礼門もその一つである。これら文化遺産を復元することは首里の住民にとって大きな願いであり、住民たちは生活苦であっても首里の復興に力を注いだという。特に守礼門の復元には、住民などからの浄財が集まり、着工から二カ年余りの昭和三十三(一九五八)年、戦後復興の最初のシンボルとして復元を果たした。
 沖縄という雨風が厳しい気候では、文化遺産への負担も大きく、平成に入ってからも補修が行われている。高齢化も進む中、歴史的建造物の保存修理を行う技術の継承者が少なく、その養成はいま、琉球建築の喫緊の課題となっている。
 門に掲げられた扁額の「守禮之邦」とは、「琉球は平和と礼節を重んずる国である」という意味であり、争いを避けたいという琉球人の平和への思いが込められている。四百年以上たった現在でも変わることはない。




写真:賑わう守礼門、昭和12年頃

 

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