歴史資料

温故知新 新しい時代の建築へ|東京中央郵便局

東京中央郵便局

 昭和六年(一九三一年)、東京駅赤レンガ駅舎真正面に東京中央郵便局が竣工した。白いタイル張りのシンプルな外観と、充実した設備と規模を誇る大郵便局は、モダニズム建築の傑作と讃えられ、関東大震災後の復興建築のシンボルでもあった。昭和五十三年までは、東京駅との間を約二〇〇メートルの地下通路で結び、鉄道郵便物のトロッコ輸送が行われ、物流の効率化を図っていた。
 設計は逓信省(郵便や電信電話業務を管轄する官庁)の吉田鉄郎。西欧の影響を受けた装飾的な建築物が多かったこの時代に、柱と梁で構成された日本の伝統的建築に、最新の材料であるコンクリートを用いた構造は近代建築の先駆けであった。そして、建設から八十二年が経った今年三月、局舎の柱など一部を 保存・再生し、商業施設「KITTE(キッテ)」として生まれ変わった。
 コンセプトは「Feel JAPAN」。日本の過去と未来をつなぐ新スポットとして期待したい。

正式名称/東京中央郵便局
所在地/東京都千代田区丸の内二丁目7番
設計/吉田鉄郎(逓信省営繕課)
施工/銭高組、大倉土木(現・大成建設)
構造/鉄骨鉄筋コンクリート造
竣工/1931年(昭和6年)

 

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