歴史資料

温故知新 職人が繋ぐ伝統建築|出雲大社

 現在の出雲大社本殿は、延享元年(一七四四)に御遷宮御造営され、創建から二十五回の造替があったと記録されている。以降、三度に渡る遷宮が行われ、「平成の大遷宮」は二十九回の遷宮と位置づけ、神社建築の様式を今に伝えている。
 大社展のために北島国造家の調査が行われ、延享元年に現在の本殿を造営した際の「延享本殿棟礼」が発見された。
 造営を請け負った野尻庄兵衛の名を筆頭に、当時の造営に関わった六十人を超える名前と職人の構成が墨書されている。地元の松江、今市、杵築だけではなく、江戸や大阪からも最高の腕を誇った職人たちが集められたことが分かる。
 昭和二十八年(一九五三)の遷宮から六十年あまり経つが、長い檜皮が用いられた大屋根には雨漏りひとつ無く、先人の技術の高さが伺える。
 先人たちが培ってきた技術継承のためにも、今後の建設業のさらなる繁栄を期待したい。

延享棟札_表

延享棟札_裏

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