2014.03.27
建造物を後世に渡す|渡月橋
写真:戦前の渡月橋
京都嵐山を代表する渡月橋。その歴史は古く、奈良・平安時代からあるとされており、鎌倉時代に亀山天皇が、橋の上を月が渡っているさまを詠ったことがその名の由来とされる。
昭和初期までは木造であった橋も、一九三四(昭和九)年に、コンクリート杭、鋼桁に改修されている。桁隠しや高欄は木造の様式を使い、景観に調和するような工夫が多く施されているのだ。
二〇一三(平成二十五)年、台風十八号による豪雨被害を受けたのは記憶に新しい。渡月橋の周囲も冠水し、橋を飲み込むほどの濁流が押し寄せた。建造から八十年経過するが、橋の一部が流失したものの本体に支障はなかったという。渡月橋はこれまで多くの水災に耐えてきたが、鉄筋コンクリート製の橋脚は、十メートルという短い間隔で橋を支えており、これまでも鋼板を巻き付けるなど、強度を高める改修が行われてきた。また、橋の上流側の川底にはコンクリート製の太い杭「流木止め」が七本あり流木や岩をせき止め、橋への衝撃を和らげる。
先人の知恵と技術に支えられてきた渡月橋。現在も修復が進められており、また美しい姿が見られるという。
所在地/京都府京都市右京区 桂川
設計・施工/京都市土木局・横河橋梁製作所
構造/橋脚と橋桁:鉄筋コンクリート、欄干:木造
竣工/1934(昭和9)年
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