社会保険未加入の現状と対策｜社会保険等加入及び法定福利費を内訳明示した見積書に関する実態調査

2015.04.17

　日々の暮らしの中では、さまざまなリスクが存在し、避けがたい状況もあります。そういった時に支えになる仕組みが雇用・医療・年金の各公的保険制度です。社会保険への加入は法律上の義務であり、建設労働者の権利でもあります。しかし、本業界では未加入問題がたびたび指摘され、国土交通省ではその加入状況等に関する実態調査を行いました。今回は、調査結果の概要と、国の加入促進対策の現状、社会保険未加入対策推進協議会出席団体による取り組みをご紹介します。

　（2）法定福利費を内訳明示した見積書の提出状況について

　法定福利費を内訳明示した見積書について、注文者からみた下請企業の提出状況は、現場別調査で34.9％が全て又は一部の下請企業から提出を受けているとの結果であった。また、企業別調査では、23.7％が提出をかなり又はおおむね受けているとの結果であった。
　一方で、現場別調査では65.0％が提出を受けておらず、企業別調査では59.8％がほとんど又はまったく提出を受けていないとの結果であった【図4】。
　また、下請企業からみた注文者への提出状況は、現場別調査で30.6％が提出、企業別調査で32.6％がほとんど又はおおむね提出しているとの結果であった。
　一方で、現場別調査で69.4％が提出せず、企業別調査で48.3％がほとんど又はまったく提出していないとの結果であった【図5】。

【図４】注文者からみた下請企業からの法定福利費を内訳明示した見積書の提出状況について

【図５】下請企業からみた注文者に対する法定福利費を内訳明示した見積書の提出状況について

　（3）法定福利費を内訳明示した見積書を提出しなかった理由

　下請企業が注文者に対して法定福利費を内訳明示した見積書を提出しなかった理由としては、現場別調査・企業別調査ともに、「注文者から提出するよう指示がなかった」という回答が圧倒的に多い（現場別調査44.9％、企業別調査56.2％）【図6】。

【図６】下請企業が注文者に対して法定福利費を内訳明示した見積書を提出しなかった理由

　（4）法定福利費を内訳明示した見積書を提出した結果

　　法定福利費を内訳明示した見積書を提出した結果について、サンプル調査を行った民間建築工事における調査結果をみると、注文者からみた提出を受けた場合の対応としては「内訳明示された法定福利費を含む見積金額全額を支払う契約とした」（54.1％）が最も多く、次いで「見積総額は減額したが、法定福利費は減額しないとした」（31.1％）が多いことがわかる【図7】。
　また、下請企業からみた法定福利費を内訳明示した見積書を提出した場合の注文者の対応については、現場別調査・企業別調査ともに最も多いのが「内訳明示した法定福利費を含む見積金額全額が支払われる契約となった」という回答である（現場別調査58.2％、企業別調査36.3％）【図8】。

【図７】注文者からみた法定福利費を内訳明示した見積書の提出を受けた場合の対応

【図８】下請企業からみた法定福利費を内訳明示した見積書を提出した場合の注文者の対応

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