お役立ち・支援

金融支援事業の利用事例

 金融支援事業のメニューである「下請セーフティネット債務保証事業」「地域建設業経営強化融資制度」などは、それぞれに利用メリット等の特徴があります。
 本頁では、制度をご利用いただいている企業および団体に制度利用の背景などについてお話を伺いました。

 

 
 
  活用事例 4
 福島県建設業協同組合〈福島県福島市〉
 

 
 転貸融資で除染業務に従事する組合企業の資金調達を支援するため
 本財団の債務保証を活用
 

 
住宅除染作業
放射線量の測定・検査機器
鳥居専務理事、浅井総務部長

----東日本大震災は福島県内にも甚大なる被害を及ぼし、建設業界は、その復旧のために、日夜ご尽力をいただいておられますが、当時の状況をお聞かせください。
 組合員を含めた県内建設業者は、人命救助や行方不明者捜索活動をはじめ、ガレキ撤去、応急復旧等初期活動に取り組み、また当組合は、県建設業協会と連携し、仮設住宅建設資材の共同購買を実施するなど、被災者の迅速な生活支援に努めました。

----福島第一原発の事故は、"放射性物質汚染"という想定外の災害をもたらすことになり、平成24年1月に全面施行された放射性物質汚染対処特措法に基づき、本格的な除染作業が始まりましたが、その時の状況をお聞かせください。
 組合は、放射線量の測定・検査機器をはじめ、汚染物質を保管する土のうや容器等の共同購買も始めました。
 一方、組合員企業にとっては、除染業務の受託は、契約額が大きく、現金払いの労務費が原価の大半を占めることから、通常の銀行借入枠等を超える資金繰りが必要となり、施工期間に要する円滑な資金調達が喫緊の課題となっていました。

----その課題解決のため、本財団の債務保証に目を向けられたのですが、利用の経緯をお教えください。
 組合は、従前から建設業振興基金の「下請セーフティネット債務保証」および「地域建設業経営強化融資制度」等を通じて利便性の高い債務保証を活用しておりましたので、喫緊の除染業務受託の転貸融資スキームの構築にあたっては、迷わず建設業振興基金の債務保証の活用を選択いたしました。
 債務保証を受けるに当たっては、当組合、建設業振興基金双方にクリアーすべき課題がありましたが、建設業振興基金が迅速に対応してくださり、さらに、保証料率の優遇、利用企業の費用軽減のための助成スキームの構築をしていただいたことにより利用促進につながりました。

----除染作業に係る転貸融資を多くの組合員企業の方々にご利用いただいておりますが、現状をどのようにお考えですか。
 おかげさまで、除染作業は順調に推移しております。もし、建設業振興基金の債務保証が得られなかったら、銀行の借入限度枠の確保、貸出金利等、時宜を得た転貸融資スキームは困難だと思われます。地域実情に呼応した債務保証スキームの構築を今後も続けてください。

 
  活用事例 5
 埼玉県建設産業団体連合会〈埼玉県さいたま市〉
 

 
 債務保証が研修センター改修工事の資金調達をバックアップ!
 

 
貸会議室の改修では、省エネと防音効果を狙い、壁に断熱材を入れ、窓ガラスやドアなどを交換。照明もLEDにした
新井常務理事、八鍬主任、塩島主任

----埼玉建産連研修センターについて。
 私どもが運営管理する建産連会館は業界団体が入居するオフィス棟と貸会議室の研修センターの2棟からなっていて、昭和56年の竣工から約35年が経過しました。貸会議室については、利用者制限を設けず会員以外の一般の方へも貸し出しを行い、資格試験の会場、地域の催し物、珍しいものではドラマ撮影など多種多様な用途でご利用いただいています。当研修センター周辺に、類似の公共施設の数が少ないことや、民間施設でありながら比較的安価ということもあり、利用者は年々増加しています。

----研修センターの利用率向上の取り組みなどをお聞かせください。
 平成20年頃より一般貸し出しの拡大による利用率向上を目指し、ホームページの作成やパンフレット配布、機関誌での紹介などのPRを開始いたしました。平成27年には、ホームページ内に会議室予約システムを導入し、当会館に直接電話で問い合わせをしなくてもWebから空き状況の確認から予約まで可能となりました。その他、利用手続きの簡素化や土・日、祝祭日の貸し出し、使用備品・人数等の当日変更にも対応しております。一度ご利用いただくと使い勝手の良さを感じていただけるのか、リピーターも多くなっております。また、会場設営や後片付けなどはすべて当研修センターで行いますので、それも利用者に大変喜ばれています。このような取り組みにより一般の利用が飛躍的に増加しました。現在は会議室貸付の約7割が一般利用者によるものとなるなど、幅広く地域に貢献しています。

----建物や設備面に関する取り組みがあればお聞かせください。
 日々の維持管理や建物と設備面の改修は不可欠と考えています。35年経過した建物では、特に設備面においては改修工事が必要な箇所が多くあります。工事を行うと振動や騒音が出てしまうこともあって、施設を利用しながらの工事は難しいのですが、利用者にご不便をかけないように計画的に実施しています。平成25年の大規模改修工事の実施に当たり振興基金の債務保証を利用させていただきました。数千万円の工事の場合、自己資金だけでは難しく、やはり銀行からの融資が必要となります。債務保証を利用することで、利率の引き下げが可能となり、また、利子補給で実質無利子の借り入れとなるため、大きな工事を行う決断ができました。その後、銀行借入を伴う改修工事等を行った際、2回利用させていただき、資金調達の面において大変助かっています。

----債務保証を利用した率直な感想やご意見をお聞かせください。
 債務保証は私どもには大変ありがたい制度です。保証内容のわりに提出書類や手続きは煩雑さもなく、利率引き下げや利子補給などのメリットがあります。今後、研修センター棟のエレベーター設置工事やオフィス棟の空調工事などの計画がありますが、また利用したいと考えています。

 講習・イベント会場等お探しの方は、ぜひ研修センターホームページをご覧ください
 

 
 埼玉建産連研修センター(一般社団法人埼玉県建設産業団体連合会) http://www.sfcc.or.jp/
 
 金融支援事業について、ご質問等ございましたら下記宛てにご連絡ください。
 金融支援課 ▶︎ TEL 03-5473-4575
 
 

 

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