現在、地方・専門工事業の海外進出検討に関する相談が、特にベトナム、インドネシア、ミャンマー等東南アジア諸国を中心に相次いでいます。現実にここ数年で現地法人を設立した会社、また何らかの形で海外取引を開始した会社が増加しています。ここでは、私どもNPOCOSの知己の会社で、固有の技術や独自の海外展開手法をもって海外市場へ挑戦する会社を紹介します。
1.リース工場の建設・運営
同社は2006年ベトナムフンエン省にリース工場の設立を目的に設立、現在までに同省フォーノイA工業団地内(ハノイ市より東へ24Km:完成入居済)、及びハーナム州ホマック工業団地(現在建設、入居募集中)で同事業を展開中です。
ハノイは現在も政治的安定、人件費やユ-ティリティの安さ、チャイナプラスワンとしての位置づけなどを求め、製造業を中心とする多くの日系企業が進出を検討しています。その半面、工場建設に伴う多くの乗り越えるべき課題の前で立ち往生する企業も少なくありません。同社は次のような悩みを持つ企業へリース工場を提供すると同時に、ベトナム進出に関する投資検討から入居までの総合サービスを行っています。【図1】
❶初期投資を抑え段階的な進出を行いたい。
❷事業体として、既設の工業団地のような大きなスペースはいらない。
❸海外投資への専門スタッフがいない。
2.事業の経緯
同社の母体は静岡県富士市のイデシギョー株式会社で、ティッシュペーパー、テーブルナプキンなどを製造、全国販売する製紙業です。
ベトナムでのリース工場建設の経緯は、同社のマスク製造工場建設に際し、ローカル工事業者では十分な品質が満たせないことを痛感し、自力による建設を行ったところから始まります。その時の経験とノウハウから、日系企業のベトナム進出に際し、投資検討からから入居まで一貫した総合的サービス付リース工場があればどれほど進出しやすいであろうとの考えからその建設・運営を思いついたものです。
サービスの中には工事業者として工場建設、内装工事も組み込まれ、日本では建設業でない会社が、海外現地で建設業を開始した一例です。
◆ ホマック工業団地概要
所在地:ハーナム州、ハノイより南へ46Km、ノイバイ空港より75Km
敷地面積:2.2ha、物件:1500m2 X6棟、敷地内全設備・ユーティリティ完備
IDE International Co., Ltd.
General Director
AKIHIRO IDE (井出 暁宏)
206C-Vtower 649 Kim Ma Str.
Ba Dinh Dist, Hanoi ,Vietnam
+84-4-3766-6187
1.多段式粉粒体ろ過システム
同社は昭和44年に空調衛生工事業として設立され、山梨県を中心に公共・民間工事を請負い、設計施工から保守管理までの一貫したきめ細かいサービスをモットーに施主の信頼を勝ち得てきました。
平成8年に埼玉県越生市で発生したクリプトスポリジウムによる集団感染をきっかけに、体によくコスト効率の高い飲料水供給システムの自社開発を決意し、アルツハイマーの原因とも言われている凝集剤などを一切使用せずに、砂利・砂などの自然ろ過材だけをサンドイッチ式に圧力容器内に収めた上向流式ろ過装置「多段式粉粒体ろ過システム」の開発に成功しました。国内、海外共に特許取得済みです。【図1】
本システムの特徴は、主に次の点にあり、上水道・簡易水道のクリプト対策、工業・農業用水、キャンプ場などの浄水化、クーリングタワー水ろ過、廃水循環等広範な使用目的に採用可能です。
❶クリプト99.98%除去(厚労省基準クリアー)
❷容器内径により日量数㎥から数千㎥迄対応可能
❸高速ろ過により小規模水道では1坪でも設置可能
❹自動制御による無人化、メンテナンスが容易で、イニシャル・ランニングコスト共に減少可能。
2.BOPで海外を目指す
同社は現在バングラデシュ低所得者層への飲料水供給をBOP(Base of Pyramid)ビジネスとして検討中です。九州大学と連携し、バングラデシュ技術者を自社内で研修後、自国へ送り出し本システムの事業化を実現していく予定です。
同システムによると1m径のろ過機で発展途上国貧困層の飲料水を1日に3万人分賄うことが出来るそうです。
海外事業への根底にあるのは、社長の、自社の技術で貧困層の生活を向上させたい、ヒ素含有に悩む当国の水を浄化し健康的な水を子供たちに飲ませてあげたい、との強い思いです。そのために同システムは当初は無償でバングラデシュに提供され、直接的な利益獲得を目的としません。将来におけるBOPビジネス可能性の最初のステップとして、同国への貢献をめざすものです。
その事業展開を皮切りにタイ、インドネシアなどの東南アジア諸国や同様の事情にある多くの国々で水を浄化し貧困層に健康的な飲料水を提供していく「ソーシャルビジネス」を目指しています。
明和工業株式会社
代表取締役 小石 和典
山梨県甲府市徳行4丁目9-15
電話.055-220-6060(代))
1.独自開発工法
同社は独自に地盤改良工法を開発しました。これは従来の杭工法や、セメント、薬液による工法とは全く異なり、正方形の特殊土嚢を敷き詰めることにより、沼地などの超軟弱な地盤(N=0)でも表層改良により大きな支持力が得られるものです。
本工法は埼玉県内の国道125号線の沼地横断部に最初に用いられ、その後、滋賀県、山梨県、大阪府の道路敷設など、多くの実績を上げつつあります。
また、軟弱地盤の改良以外に、液状化防止や振動防止など多くの機能を有しており、振動対策としては滋賀県の道路の交通振動対策に使用され、顕著な効果が得られました。液状化防止については、東日本大震災の被害を受けた茨木県神栖市の沿岸道路の約10kmに渡る再液状化防止に採用されました。
建築関係でも多くの実績があり、特に、液状化が問題になった千葉県浦安地域では、傾斜家屋の修復や再液状化防止にも多数用いられています。
この工法は特殊な機械も必要なく、安価に施工出来、湿地帯などの超軟弱な地盤でも、高い支持力が得られることから、日本国内だけでなく、欧米や世界中にそのニーズがあると考えられます。そこで、同社は、国際特許を取得するとともに、本工法の海外への普及にも取り組み始めています。
2.海外展開
⑴韓国への展開
約2年前に、韓国の土木コンサルタント会社から強いオファーがありました。
同社はそのオファー対して、特許の実施権許諾契約を締結し、ロイヤリティと材料(DBox)を輸出することでのビジネスを考え、現在条件設定と契約内容について、相手側と交渉中です。
⑵インドネシアへの展開
NPOCOSが昨年、インドネシアに日本の建設技術の展開の可能性などについて調査に行った際、同国の政府(港湾局等)や建設コンサルタント会社、現地ゼネコンなどに本工法を紹介した結果、いずれからも興味を示されたそうです。
インドネシアは日本の約5倍の国土面積ですが、沼地や湿地帯の地域が多く存在します。
一方インドネシアでは著しい経済発展により、今後工業団地や大型プラント、住宅などの開発が予定されていますが、地盤の問題により開発地が限られているようです。本工法で軟弱地盤を容易にかつ安価に改良できれば、膨大な開発可能地域が広がり、同国の開発に多大な貢献が出来る可能性があります。
そこで同国については現地のゼネコンと連携するなどにより、本工法の普及を行うべく、取り組みを始めています。具体的なビジネスとしては、工事の受注、発注者へ対応は現地のゼネコンに任せ、同社は、工法の実施許諾契約と材料供給、設計のサポート、施工技術指導などにより、フィーを得て成立させる計画です。
メトリー技術研究所株式会社
代表取締役 野本 太
埼玉県加須市土手2丁目14-37
電話:050-3538-4688
本記事紹介3社に関する問合せ先
NPOCOS理事長 鐘江 敏行 (携)090-9963-8106