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FOCUS |次世代の「技術力」継承の体制づくりに向け 専門工事業における女性職員の活躍に期待

向井建設株式会社 技術管理部

 向井建設(株)は、「CSサポートセンター」を発足し、新たな体制を2015年度からスタートする。専門工事業者としての技術力を次世代へつなぎ、現場力を発揮できるように「スマートシステム推進室」が管理・運用する「スマートシステム」は「CSサポートセンター」から現場の支援に利用される仕組みである。編集部では、新体制に向けて結成されたプロジェクトチーム『Team MUKAI』を取材、女性メンバーにお話を伺った。

次世代の専門工事業者として継続できる“現場力”が必要


キックオフミーティングの様子

 向井建設(株)は、今年で創業106年を迎える専門工事業者だ。同社はこれまでも多くの優秀な職人を育て、建設産業に大きく貢献している。専門工事業者にとって“技術力”とは、現場における課題を解決する力(チカラ)であり、継続した“現場力”の向上が、顧客(施主/発注者)満足度を向上させるといわれている。
 しかし、従来現場において課題を解決するには職人個人の能力、熱意、考え方に頼る部分が多く、個人への負担も大きかった。OJT/OFF-JTという技術継承は行われていたものの、現場での経験や技術などを、会社に蓄積し組織として全社員が共有できていないことが大きな課題でもあった。

 

現場施工を技術管理へフィードバックする新体制に向けて

 次世代の専門工事業者として、現場の経験や技術の情報を吸い上げ、会社の技術力としてフィードバックし残していくこと、その情報を共有活用して職人個人の負担をいかに軽減するかが重要になってくる。同社の技術管理を行う技術管理部 は、現場施工を担当する建築統括部に協力を要請し、現場プロジェクトの中に有機的組織『Team MUKAI』を実現させていくことにした。この新体制の仕組みを社内浸透させるべく、10月14日(火)、本社(千代田区)にてキックオフミーティングが行われた。
 2015年度から実施される新体制では、現場を管理する「コードマン」・「職長」を通じ、各現場の技術情報、リード工程、原価管理、設計情報、資料に至る全ての情報を収集しスマートシステム推進室が管理する「スマートシステム」へ蓄積する。「スマートシステム」の情報は必要に応じて社内の「CSサポートセンター」から施工現場へフィードバックされ、現場への支援活動が可能になるのである。

 

女性職員が積んできた現場経験を活かす事業に

 新体制の要になるのが「CSサポートセンター」である。この部署は同社の業務におけるほぼ全ての情報を把握し、なおかつ会社内部の体制も理解している優秀な人材が求められる。同社では、CSサポートセンターに現場経験のある女性職員を起用する。CSサポートセンターでは、女性職員の力(チカラ)が期待されている。

 

――CSサポートセンターのメンバーは「現場目線で魅せる技術提供をし、最大の顧客満足を獲得するため、工事担当社員や職長などの現場関係者をチームとしてまとめる使命を担う」ということですが、 “Team MUKAI”の一員として、皆さんの役割を教えてください。


技術管理部 建築技術支援課 CSサポートセンター 赤羽 理夏さん

赤羽 自身が経験してきた施工計画図のスキルが、CSサポートセンターのスタッフとして活かせるので、現場での仕事が安全に、スムーズにいくよう、元請け担当者、職長、現場担当社員と打合せ計画を行い、現場の意思や職長の意思が伝わるような施工計画図や資料の作成、支援を心掛けていきたいと思います。
鷹島 まだまだ分からないことが多いのですが、もっと現場に出てたくさんのことを吸収し、分かりやすく、見やすい資料・施工計画図の作成や、技術情報の活用に関わっていきたいです。
釆澤 私は「スマートシステム推進室」で、親しみやすいスマートシステムの開発・メンテナンス、ならびに現場と直結したヘルプデスク的な役割を担当します。会社の意思が“現場に伝わる”環境の整備に貢献したいと思いますし、スマートシステムをより多くの人に活用してもらえるよう、丁寧に説明していきたいです。
鷹島 私たち女性ならではの柔軟性を活かして、役割を果たしていきたいと思います。


――プロジェクトの始動で、社内にどのような変化があると思いますか?


技術管理部 建築技術支援課 スマートシステム推進室 釆澤 奈央さん

鷹島 部門を超えて関係者がチームとしてまとまりますので、得意先ニーズ、現場や職長の課題解決にタイムリーな対応ができるようになるのではないでしょうか。スマートシステムの存在は大きいと思います。
釆澤 スマートシステムが普及すれば、工事関係者相互のコミュニケーションが活性化し、知恵の共有機能による業務効率向上を図ることができると思います。
赤羽 そうですね。今まで以上に各現場のより良い施工に貢献できると感じています。
釆澤 新体制の中で、インターネットおよびモバイル機器(スマートフォンやタブレット)を活用した工事情報が共有化できるようになります。個人の能力を超えた課題解決が図れると思っています。


――男性が多い業界ですが、建設業界へ入職して人知れず苦労することはありましたか?


技術管理部 建築技術支援課 CSサポートセンター鷹島 里実さん

鷹島 私は高校の先生の紹介で就職をしました。入社して2カ月間は富士教育訓練センターで鉄骨や足場について教育を受けたのですが、力仕事ということもあり力がない私にとってはとても大変でした。
赤羽 私は建設業を希望したときから、男性が多い業界と理解していました。もともと、多くの人の記憶に残る建物の施工実績を知って、自分もそういった建設に携わりたいと思い就職しましたので、厳しい環境の中で仕事をしている皆さんをサポートして、一緒にものづくりができることに、それほど苦労と感じることは少なく、逆に男性が多い業界だからこそ支えてもらっているという思いの方が大きいです。
釆澤 私の場合は、大学の研究室に求人が来ていたので就職することにしました。その後、結婚をして2度の妊娠、産休、育休を経て、現在は仕事と育児の両立が一番の課題ですね。
赤羽 トイレでは苦労しましたね。現場に女性用のトイレがない場合は近くのコンビニなどを利用していました。
鷹島 建設業界だけではなく、女性が働きやすい環境の改善を国として早急に実施してほしいです。


――最後に、これから入職する女性に向けてメッセージがありましたらお願いします。

鷹島 「建設業」は男性ばかりで女性が働く業界ではないというイメージを持つ女性も多いのですが、最近は女性も活躍している現場が多くなっています。
釆澤 建設業には現場以外にも色々な職種があるので、結婚、出産をしてからも長く働き続けることができます。男女問わず、やりがいのある魅力的な仕事だと思います。心配せずに飛び込んできてください。
赤羽 まだまだ男性中心的なイメージのある建設業ですが、女性からの視点や想い、関わりからより良いものづくりができたらと思います。
鷹島 自分が施工に携わった建物が多くの人の記憶に残るよう、一緒に頑張りましょう。

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