人材確保・育成

東総工業高校 建設科で「測量技術講習会」を開催|キャリアレッスン助成事例

公益社団法人 千葉県測量設計業協会 技術研修委員会 学校研修部会
千葉県立東総工業高等学校 建設科

 講習は、専門的な技能・技術の習得のみならず、学生に建設業への理解を深めてもらうことを目的としており、職業観や勤労観、主体的な職業選択能力の育成を図っている。建設産業の人材確保・育成において、担い手不足が重要な課題となっているいま、建設業しんこう編集部では、千葉県立東総工業高等学校の小島先生に本講習会について話を伺った。

■5年後の自分をイメージできる「職業選択の日」

 建設の仕事を何も分からず入ってくる学生もいますから、炎天下の中で実習をさせると早い段階からリタイアする生徒も少なくありません。そのため、1年生の月曜は1限目〜6限目まで全て専門科目にするなど、あえて丸一日が実習の日を作っています。せっかく学んでも、職を理解させた上で就職させないと離職してしまうのです。

 屋外の作業で道を作ったり、ビルを建てたりすることだけが建設業の仕事ではありません。こういった講習へメーカーにも来てもらい、生徒たちには機器を扱うメーカーや建設資材を作る会社も建設業の一部として、講習で経験し学んだ知識が、例えばメーカーへ就職しても活かせるということを知ってもらい、就職先選択の裾野を広げてほしいと思っております。

とにかく5年後の自分がイメージできる様な大人との接点をつくることが大切なのです。

   

   

 私にとって講習は、技能を勉強する日ではなく、建設業界という社会の仕組みを学び、その中に人と人のネットワークの一端を感じさせる「職業選択の日」という位置付けで講習を組んでいます。こんなことでもしなければ、生徒たちは具体的な業種について知る事ができないのですから。
 建設科では女子生徒が多いので、女性の講師もお願いしたいという要望をしています。依然として男の職場という認識が強いですから、女子生徒に「女子の職場」として意識してもらうためです。リアリティがまったく違いますからね。昨年、測量業界に2人の女子生徒が就職しましたが、やはり結果として建設業で女性が採用されることが少ないのが現状です。学校として女子生徒を建設業に就職させるのは4人が限度です。そのため、基金さんの支援をもらって建設業経理事務士の特別講習もやっておりますが、なかなか難しい。こうした企業と学校の繋がりを通して、測量業界でデジタル調査などの求人がきてくれると有り難いのです。高校は求人票がないと動けないのです。だから企業の皆さんには求人票を出していただき、女子生徒を是非採用して欲しい。

■測量は全ての基本。徹底的に学ばせる

 当校はもともと土木科でしたが、20年程前に建設科になりました。9年前に私が赴任してから建設科のプログラムを作りましたが、土木と建築を別々にすることはしませんでしたので、土木と建築を抱き合わせた建設科としています。どちらも「計る」ことは基本となり、この学校がずっと続けてきた土木の教育「測量」はずっと続けていくことにしたのです。そのため、1年生には徹底的に測量を学ばせます。2年生になって初めて、土木と建築を分けて授業をしていくのですが、実習は共同で行わせます。実習まで分けてしまうと複雑になり、大掛かりな実習はできなくなりますから。
 本校の教員の中に、本校の卒業生がいます。今の彼ならその意味を理解しているのではないでしょうか。

卒業生の石井さん(現在は臨時任用的実習助手)
 私は4年前に当校を卒業し、教師になるため大学へ進学しました。この高校で基本をしっかりと学べていたので大学での勉強はスムーズでした。何度かインターンシップで現場体験をしていますが、技術者の方に接することができとても刺激的でした。現場を知らない教師にはなりたくなかったので、大学卒業後はゼネコンに2年だけ就職したのです。

 測量は現場での基本となります。数字として結果が出ますが数学とも観点が違い、数字から立体をイメージできなければなりません。時間をかけて覚えて身体で覚えていかないと自分のものにはならないです。
 

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