人材確保・育成

建設産業の人材確保・育成方針〜 連携強化による効果的な教育訓練体系の構築についての提言 〜 (最終報告)

建設産業の人材確保・育成方針〜 連携強化による効果的な教育訓練体系の構築についての提言 〜 (最終報告)

(一財)建設業振興基金

当財団では、「建設産業人材確保・育成方針策定会議」を設置し、5回にわたる会議での議論に加え、地域の建設産業界、各地の教育訓練施設、工業高等学校・専門学校等教育機関から現場の情報を収集してきました。今般、これまでの成果を最終報告としてとりまとめ、各方面に提言することとしましたので、公表します。

 

 

人材確保・育成に取り組む基本的姿勢

 若者が思う存分に力を発揮出来、一生を託せる職場であるために、キャリア形成の道筋を明確に示しつつ、段階を追って必要な技能・技術を身につけられる教育訓練体系を構築することが必須の課題です。
 働くことへの不安を抱えたまま学校から職業へ移行したり、社会や職場への適応に難しさを感じたりしている若者の存在に建設産業界は正面から向き合い、思う存分力を発揮出来る安定した就業の場を若者に提供するという決意を固める必要があります。
 また、そうした姿勢を他産業に先駆けていち早く明確に打ち出すことこそ若者を再びこの産業に呼び戻す確かな道筋となるものです。
 総合工事業者、専門工事業者、公共発注者、そして建設産業行政部局といった関係者が若年者の確保こそ建設産業界の最重点課題であるという認識を一つにしている今こそこうした取り組みを行う好機だと言えます。

教育訓練体系の構築

 インターンシップの受け入れなどを通じて、職業教育に積極的に関わり、学校から社会へ送り出された若者を積極的に受け入れ、職場の中で育てることを基本として、教育訓練の施設や機会を活用しながら育成していくことが急務です。

建設産業の人材確保・育成 ー 5つの検討課題 ー

❶OFF-JTを行う機関の充実と活用
● 各地域や団体、企業内で活動している認定職業訓練校相互の情報交換やプログラムの補完などを行う全国的ネットワークの構築
● 新入社員研修普及のための仕組みの構築
● 共通プログラム、テキストなどの開発
● 各地域の建設産業団体などによる訓練機関設立への支援等

❷キャリア教育、職業教育への協力体制の充実
● 各地域における教育機関と建設産業界の窓口の明確化と定例協議組織の設置
● 受入側の隘路となっている事項の摘出と解消方策
● 総合工事業団体と専門工事業者団体の協力体制の構築等

❸工業高校・専門学校等が行う実践的な学習活動への支援体制の充実
● 建設現場での実戦的な技能・技術に関する情報提供と教育現場で必要とされる資機材の確保への支援
● 現場実習、出前講座等の効果の検証と効果的な手法の開発・提案
● 地域の職業訓練施設と工業高校・専門学校などとの連携方策
● 教員に対する実践的な研修の機会の提供と参加への支援
● インターンシップへの協力の仕組みの確立等

❹キャリアアップの道筋の明確化
● 各職階に応じて求められる技能・技術や国家資格の明確化
● 各職階に対応する教育訓練体系の充実
● 若年者の入職と定着に資する国家試験受験資格とその基盤となる教育訓練等

❺建設産業界と教育機関等関係機関の連携強化
● 中核となる技能労働者や技術者を工業高校、専門学校から積極的に採用し、能力に応じた処遇をするなど、建設産業界との発展的な相互関係を構築するための仕組み作り
● 高校から企業に就職後、専門学校や大学へ進学しやすい環境づくり等

中核的なセンター機能の確立

 若年者の確保・育成には、学校・訓練施設と業界とのネットワークの構築とその推進、実践を担う「中核的センター機能」が必要です。

中核的なセンター機能の確立

1.体系的な教育訓練システムの提案
 各機関や団体、有識者が持つ経験、情報、知見を持ち寄って検討し、逐次成案をとりまとめて各機関や団体そして行政機関に提案すること
2.教育訓練の実践
 体系化した教育訓練の構築に向けて自ら実践的に教育訓練を行いながら、各教育訓練機関とのネットワークを広げていくこと
3.広報
 若者の入職を促進するために各機関、各団体が行う広報活動への情報提供、ツールの開発提供などの支援を行うこと
● 経験・情報・知見の収集・集約
● 関係団体・行政機関への提案・要請
● 教育機関と連携した職業・実践教育の実施
● 地域訓練施設との連携・ネットワークの構築
● 教育訓練プログラムの開発・テキストの作成
● 指導者の養成
● 教育訓練に関する情報提供
● 建設業の職業紹介ツールの開発

 中核的センターは、趣旨に賛同する各機関や団体、有識者が経験、情報、知見を持ち寄って検討、提案することを目的として組織される「協議会」及び「富士教育訓練センター」が担います。

 富士教育訓練センターは2.の「教育訓練の実践」について、この協議会のアドバイスを受けながら、実践面での拠点として教育訓練を実施します。
また、兵庫県で活動している三田建設技能研修センターにも近畿地区における活動の拠点としての参加を求めていきます。

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