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建設企業へ新たな3つの経済対策

国土交通省等行政施策の紹介・解説

国土交通省は、建設企業への新たな経済対策として、地域建設業経営強化融資制度、下請債権保全支援事業、建設業災害対応金融支援事業を平成26年度末まで、期間延長することを決めました。

地域建設業経営強化融資制度

 国や地方公共団体などが発注する建設工事、あるいは公共性のある民間工事を受注した元請建設企業に、資金繰り対策として融資を行う制度です。融資を受ける企業が、融資事業者に「工事代金債権」を譲渡すると、受注した工事の出来高分を対象として随時資金化することができます。

融資の4つの特徴

1. 工事出来高に応じた融資
工事出来高が50%を超えた時点から利用できることとなり、前払金などを除いた差分を対象として融資されます。その後さらに融資を受ける場合には、前払金と融資済額を除いた出来高分が対象となります(工期中何度でも利用可)。また返済は、発注者から工事代金債権の譲渡先である融資事業者に支払われる当該工事代金によって、自動的に清算されます。

2. 金利・手数料の助成
国から助成金が支給されます。

3. 簡易・迅速な融資
保証人・担保が不要な上、工事出来高査定後、概ね1週間以内に融資が受けられます。

4. 経審Y評点のアップ(改善)
本制度における借入金は、経営状況分析「負債回転期間」の負債合計額から控除できるため、Y評点のアップにつながります。

 

下請債権保全支援事業

 中小・中堅下請建設企業などの経営・雇用安定、連鎖倒産の防止を図るため、ファクタリング会社が、下請建設企業や資材企業が保有する工事請負代金や資材代金の支払いを保証するものです。また下請工事契約を締結した時から保証を受けることも可能です。万が一、元請建設企業の倒産などにより工事請負代金や資材代金を受け取ることができなかった場合、元請建設企業に代わってファクタリング会社が保証金を支払います。下請建設企業などが保証をより利用しやすくするよう、下請建設企業などがファクタリング会社に支払う保証料の2/3(上限4%)を助成いたします(ただし受益者負担として別途1%の利用料が必要です)。また、被災地域の工事請負代金や資材代金については買取も行っているため、資金繰りにも活用できます。さらに、被災地域に本社のある下請建設企業などに至っては、全国どの地域の工事請負代金や資材代金であっても買取を行っています。

建設業災害対応金融支援事業

 建設機械の保有を促進し、地域社会の災害時における応急復旧活動などの防災力を向上させるために、建設企業が災害時に使用される一定の建設機械を金融機関からの借入や割賦販売で購入するにあたって、建設企業が負担する初年度1年分の利息(手数料)の2/3(上限4%)を助成するものです。県、市町村などと災害協定を直接締結している中小・中堅建設企業や、災害協定を締結している建設業団体に加盟している中小・中堅建設企業(これらの協力会社を含む)であれば利用できます。対象となる機種も3機種から41機種に大幅に拡充されましたので、より多くの建設企業が利用できます。
 対象機種や申請に必要な書類は、下記リンクから確認ください。

■建設業災害対応金融支援事業

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