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新・災害情報共有システム「ぐんケン見張るくん」の運用を開始

(一社)群馬県建設業協会

 (一社)群馬県建設業協会は、昨年12月、SNS※1を活用した新・災害情報共有システム「ぐんケン見張るくん」の運用を開始しました。平成20年、全国に先駆けて立ち上げた民意主導の「GPS携帯※2による災害情報共有システム」の改良版としてNTTドコモと提携し独自に開発した災害情報共有システムです。 12月18日、マスコミを招いたデモンストレーションが公開されました。群馬県建設業協会・青柳会長にシステム立ち上げの経緯、使い方などについてお伺いしました。

※1 SNS
ソーシャル・ネットワーキング・サービスの略。インターネット上で趣味嗜好が同じ、友人の友人といったつながりを通じて新たな人間関係構築の場を提供する会員制サービス
※2 GPS携帯
GPS(全地球測位システム)を搭載し、現在位置を知ることができる携帯電話のこと。この情報を利用した地図サービスやナビ(道案内)サービス、子どもの居場所を親が把握できるサービスなどもある
 


 

 建設業だからできること 災害から街を見張り、市民を守る

青柳会長

 「GPS携帯による災害情報共有システム」導入のきっかけは2つあります。1つは、平成19年に群馬県西毛地区南牧村などを襲った集中豪雨でした。災害時の情報量を少しでも増やすには、地域に精通した建設業ならではの情報収集・発信能力が利用できるのではないかということに思い至りました。もう1つは、台風などの災害時に建設業者が行う点検パトロールなどの自主的な活動の周知です。「地域に密着した建設業の役割」をもっと多くの地域の方々に知ってもらいたい。そのため、ITツールの情報発信を考えたのです。
 システム運用開始から6年、その間、2011年の東日本大震災時には情報収集で多大な力を発揮し、台風・大雪では位置情報と画像付きシステムが利用され成果を上げました。しかしながら、スマートフォン(以下スマホ)の普及・浸透に象徴されるように、この6年間にITを取り巻く環境は大きく変化し、動画や音声入力はもちろん、SNSでの情報のやり取りも当たり前になってきました。昨年2月の歴史的な大雪の際、除雪作業で収集した情報をTwitter(ツイッター)で発信したところ大反響を呼び、多くの地域住民から「地域に根付いた建設業界の役割を再確認した」というお声を頂戴し、SNSを駆使した業界の広報戦略の必要性を痛感したのです。

大雪をきっかけにTwitter投稿開始


続々と寄せられたメッセージ


孤立集落は霧積温泉が最後だったんだ! まずは安心しました。危険な状況の中ご苦労さまでした。
かっこいいな~ ☆群馬県建設業協会☆
群馬県建設業協会の奮闘ぶりに胸熱。わたしのふるさと、春はすぐそこまで来ているよ。
素晴らしい。その働きもそうだが、重機写真の多さがたまらん。
連日、最前線での雪との格闘がアップされている。これを機に有効な情報発信を期待。

 


 この仕組みをもっと多くの人に使ってもらいたい

 「ぐんケン見張るくん」の改良ポイントは、「操作性」です。これまでは、会員からシステムに届いた災害情報を基に、協会の担当者が内容を修正するなど煩雑な方法でTwitterへ情報を公開していました。これでは効率的で迅速な情報提供には無理があります。システムを見直してシンプル化し、携帯電話やスマホから位置情報や文字、画像に加えて、動画も直接送信できるようにしました。
 システムの特徴は、大きく分けて2つあります。まず、災害情報をいち早く発信するために、操作が分かりやすく、使いやすくなりました。スマホから情報入力も可能です。災害情報の投稿は、協会員が作業項目(「除雪」「災害」「パトロール」など)や、進捗状況(「開始」「作業中」「終了」)、項目の重要度(「高」「中」「低」)、発生日時を"選択する" だけです。地図上に災害発生地点がマッピングされ、時系列に表示されます。きちんと整理された情報をスマホなどから閲覧できることも特徴のひとつです。
 2つ目は、SNSの活用による円滑で迅速な情報発信。Twitter投稿機能はワンクリックで操作できます。災害情報には画像・動画も添付され、地域住民も即時性のある情報を共有できるようになりました。
 災害対応能力を有する当協会員340社の信頼できる災害情報を広く地域住民に発信することにより、災害対応能力も高まってくることと思われます。頻発する災害への対応、国土強靭化政策を災害情報というソフト面から支えるシステムです。今後あらゆる地域で展開され、このシステムを核として災害時には地域の防災能力の向上に役立つことを期待いたします。

システムの概要

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