企業経営改善

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建設業の経営革新 中小建設企業の経営改善の課題

建設企業のための経営戦略アドバイザリー事業
南関東エリア統括マネージャー 中小企業診断士 藤原 一夫

国土交通省では、中小・中堅建設企業の新事業展開、企業再編、転業、廃業などの経営戦略の実現を支援する「建設企業のための経営戦略アドバイザリー事業」を平成23年度に引き続き実施する。そこで今回、南関東エリア統括マネージャーである中小企業診断士の藤原一夫氏に、「中小建設企業の経営改善の課題」についてお話を伺った。

「建設企業のための経営戦略
アドバイザリー事業」について

1.事業の概要

 中小・中堅建設企業の新事業展開、事業承継、企業再編・廃業など建設企業が抱える経営上の課題に関する相談に対して、建設業に精通した中小企業診断士等の専門家が無料でアドバイスを実施します。

2.支援メニュー

【入口支援】(1企業あたり必要に応じて2回まで無料)
 当基金及び各地方整備局等に「経営戦略相談窓口」を設置し、建設業が抱える新事業展開、事業承継、内部管理の効率化、企業再編・廃業、経営革新など経営上の課題に、「エリア統括マネージャー」の総括のもと、各分野の専門家から構成される「建設業経営戦略アドバイザー」によるアドバイスを実施します。

【出口支援】(入口支援を実施した建設企業の中から選定)
 入口支援を実施した建設企業の中から、モデル性の高い取組を行う企業を選定し、中でも新事業展開、企業再編・廃業に関しては、支援チームを組成し、目標達成まで継続的に支援を実施します。  また、東日本大震災で被災した建設企業については、専用のホットラインを開設し、支援メニュー等の情報提供を行うとともに、エリア統括マネージャーに加え、弁護士が電話アドバイスを実施します。また、ご希望に応じて、建設業経営戦略アドバイザーを派遣することも可能です。震災関係の相談については、何回でも利用できます。

3.パートナー機関との連携について

 パートナー機関とは、都道府県(パートナー都道府県)と金融機関(パートナー金融機関)になり、本事業は、それぞれの機関と連携を図りながら実施されます。 具体的には、パートナー都道府県の要請に応じて、適切な建設業経営戦略アドバイザーを選定し、紹介します。パートナー金融機関については、顧客企業が出口支援企業として選定された企業の中に含まれており、パートナー金融機関が必要性を認めた場合には、可能な範囲で出口支援に協力します。

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パートナー金融機関の取り組み

●山口銀行(山口県)

 山口銀行の周知活動 事業パンフレットを全店に設置
 国土交通省は「建設企業のための経営戦略アドバイザリー事業」で支援する建設業者として、昨年12月に出口支援先(新事業展開や再編が見込まれる継続的支援)を35件選定した。その内の一つが山口銀行の取引先だったことから、同行は国交省とのパートナー協定を結び、取り組みをスタートさせた。具体的には、事業パンフレットを全店に設置して、顧客向けに周知活動を展開している。  また、行内への周知として、同事業にかかわる具体的な相談事例を記載した説明文書を作成。事例を明示することで取引先建設会社への相談イメージにあった対応ができるようにしている。さらに本部と営業店が一体となり、取引先への助言を行い、出口支援企業への選定に協力するように推薦企業の情報受付体制も整備した。

●たましん多摩信用金庫(東京都)

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 たましんは「中小建設企業のための経営支援セミナー」を開催
 一方、ここ10年ほど地域の中小企業の経営支援に注力してきたのが、東京・多摩地域を基盤とする信用金庫のたましんだ。その活動の一環として、同地域で前向きに事業を営む法人を対象とした、たましん独自のサービス「たましん法人総合サービスBOB」がある。多摩のビジネスマッチング情報誌「たまNAVI」を隔月で発行し、誌面上でさまざまな経営支援も行っている。価値創造事業部の長島剛部長は、次のように説明する。  「建設関連の企業を取り上げることも多いですよ。会員企業数は3,000社近くになり、その約20%あまりが建設関連の企業になります。建設業を含めた全体のビジネスマッチング件数は年間700件にも上り、お陰さまで好評を博しています」

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 また、2005年には中小企業に向けた支援策として『多摩ブルー・グリーン賞』を創設。年に1回、中小企業の優れた技術や製品、ビジネスモデルを表彰するもので、今年で10回目を迎える。詳細はP7を参照いただきたい。  「建設企業のための経営戦略アドバイザリー事業」は、こうした取り組みの一環に位置づけられ、今年3月8日に「中小建設企業のための経営支援セミナー」を開催した。第1部「建設産業行政の現状と支援施策について」では、建設産業行政と国土交通省の中小建設企業向け支援施策を紹介。第2部「最近の中小建設企業の課題」では、中小企業診断士の藤原一夫氏(本誌2~4ページ登場)が講演を行った。会場となった「Winプラザ多摩センター」には50名を超える参加者が集まり盛り上がりを見せていた。


●小嶋工務店 「多摩ブルー・グリーン賞」で活性化支援第9回「優秀賞」に建設業の小嶋工務店が受賞

 「多摩の木でつくる東京の家」がコンセプト
  たましんが2003年に創設した「多摩ブルー・グリーン賞」は、東京・多摩地域で活躍する中小企業の優れた技術や製品、新しいビジネスモデルを表彰するもので、ブルー賞「技術・製品部門」、グリーン賞「経営部門」の2部門から構成されている。これまで9回の開催で受賞者は延べ106社に上り、建設企業の受賞も少なくないそうだ。直近では、昨年の第9回の多摩グリーン賞の優秀賞に、小金井市に本社を置く建設業の株式会社小嶋工務店(昭和40年創業、小嶋智明社長)が選出された。「多摩の木でつくる東京の家」という地産地消をコンセプトにした家づくりが高い評価を得たという。

 多摩産材とソーラーサーキットの組み合わせ
   多摩地域で主に注文住宅を手掛ける小嶋工務店は、地元で伐採される「TOKYO WOOD(多摩産材)」を使い、さらにソーラーサーキット技術を駆使した「多摩の木でつくる東京の家」を展開。ここで多摩産材について少々説明をしておこう。  東京の総面積の約4割が森林という事実をご存じの方は少ないかもしれない。多摩の森(あきる野市、青梅市、八王子など6市町村)で育てられたスギやヒノキは、伐採後、都内唯一の原木市場である多摩木材センターに集められ、「多摩産材」の認証を得て多摩の製材所に送られる。  同社では、今春、住宅展示場「ハウジングワールド立川」(立川市泉町)内に東京都多摩産材普及拡大事業モデルハウス「SC-ZERO」をオープンした。地元の木材を使うことで輸送過程の二酸化炭素排出量を抑えるほか、ソーラーサーキットの外断熱・二重通気の技術で1年を通じて室温の調節が可能になる。多摩産材とソーラーサーキットの組み合わせは、エネルギー消費を抑え、環境に寄与することができるそうだ。  「現在、建築用木材は、外国からの輸入物が大半を占めています。しかし、寺院などの国宝級の建築物には100%日本の木材が使用されており、何百年という年月を耐えぬき現在に至っています。国産の木材は、日本の四季や風土により、中身の詰まった材質で日本の風土にあった木材というわけです。その中でも弊社は地元の多摩産材にこだわり、結果として多摩地区の森を守ることにもつながっています」(小嶋工務店販売管理部門 浅野所長) なお、モデルハウス「SC-ZERO」の営業時間は9時30分~19時。問い合わせは小嶋工務店立川第1展示場(TEL 042-527-4567)まで。

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