金融支援の事業期間延長について
国交省が進めている「地域建設業経営強化融資制度」並びに「下請債権保全支援事業」が平成25年3月末まで延長されました。ここでは、その概要を紹介します。
地域建設業経営強化融資制度の仕組み
公共工事の受注に伴い、保証人・不動産担保なく、融資を受けたいときは「地域建設業経営強化融資制度」を活用しよう!
「地域建設業経営強化融資制度」とは、中小・中堅建設企業が、公共工事等の発注者に対して有する工事請負代金債権を担保に事業協同組合、または一定の民間事業者から出来高に応じて融資を受けられるとともに、保証事業会社の金融保証により、工事の出来高を超える部分についても金融機関から融資を受けることが可能となる制度です。平成 20年11月より実施しています。 この制度の特徴は、請負金額から前払金等を差し引いた金額の範囲内で融資を受けられることにあります。例えば、受注した公共工事などの出来高が5割を越えた場合、請負代金債権を譲渡担保に、出来高に応じて低利で融資を受けることができ、貸付金利は、事業協同組合などへの助成措置により低利となります。また、未完成部分の施工に要する資金も、保証事業会社の金融保証により、融資を受けることが可能となります。 公共性のある民間工事を受注した場合や東日本大震災の被災地域における災害廃棄物の撤去等(がれきの処理など)を受注した場合も対象となります。
下請債権保全支援事業の仕組み
取引先(元請企業)からの支払を保証する「下請債権保全支援事業」
「下請債権保全支援事業」は、中小・中堅下請建設企業等(資材業者を含む)の経営・雇用安定、連鎖倒産の防止を図るため、ファクタリング会社が、当該下請建設企業などの有する工事請負代金などの債権(手形を含む)の支払いを保証する仕組みです。下請建設企業等が保証を利用しやすくするよう、保証料負担に対し助成するとともに、ファクタリング会社のリスクを軽減する損失補償を実施し、下請建設企業等の債権保全を支援します。 具体的なサービス内容としては、下請建設企業・資材業者が元請建設企業に対して有する債権(手形を含む)について、ファクタリング会社が支払保証を行うことにより、下請建設企業などの債権保全を支援します。 当事業を利用することにより、取引先が倒産しても、確実に工事等代金の支払いを受けることができます。
資金繰りや債権保全で業界を支える
東日本建設業保証グループの一員として、建設業に特化した金融サービスの提供を通じ建設企業の経営基盤の強化(資金繰りの改善、債権の保全)を支援しています。 国土交通省の施策に対応した金融サービスとしては、①地域建設業経営強化融資制度に基づく「KKS 出来高融資」(工事の出来高に応じて低利で資金調達できる仕組み) ②下請債権保全支援事業に基づく「KKS 保証ファクタリング」(売掛金や受取手形の回収を保証する仕組み。ご要望に応じて手形割引による資金化も可能。)を提供しております。 我々は建設業経営のベストパートナーとして、今後も建設企業の経営革新を支援して参ります。
下請債権保全支援事業を利用する企業の声
Case.1/A社 保証額累計:5億円以上 完工高:50億円以上(2011年7月現在)
債権回収の心配をせずに営業し、施工できるので助かっている。新規となる元請企業との取引、あるいは久しぶりの取引などは、信用調査の側面資料があるだけなので元請企業の状況が正確に分からない。そのため、財務状況に不安がある元請企業については、下請債権保全支援事業を活用することにより、債権回収の心配をしないで積極的に営業(支払条件の交渉など)ができる上に、安心して施工することができた。 ファクタリング会社に保有債権に係る保証の審査を打診し、保証の可否を得、保証を付すかどうかを社内で検討することにより、営業、事務担当者の債権保全への関心が高まり、意識が向上している。収支管理の面で利益を確定することができるため、貸倒引当金などの計上において迷わず決算処理ができることにもメリットを感じる。
Case.2/B社 保証額累計:約40百万円 完工高:50億円以上(2011年8月現在)
本制度のおかげで損失を最小限に止める事ができた。当社は取引先が数千社に及び、取引先の債権管理が重要な経営課題だった。債権管理については、主に保証ファクタリングを利用しリスクの軽減に努めてきたが、業績が芳しくない取引先は、保証ファクタリングの利用も難しく取引をあきらめざるを得ないケースも多々あった。 このような状況の中で、地元の建設新聞にて下請債権保全支援事業の事を知り、早速利用している保証ファクタリング会社に詳細を確認したところ通常の保証ファクタリングより利用しやすいとの説明を受け、本制度を利用した。これにより受注した工事が400万円以上あり、業績面にも好影響がでた。また、予測していない先の倒産時に、本制度のおかげで損失を最小限に止める事が出来た事案も発生し大いに感謝している。今後も、売上増強とリスク軽減のために本制度を上手く利用し、会社の業績向上に役立てたいと思っている。
下請債権保全支援事業を利用する企業の声
Case.3/C社 保証額累計:約3百万円 完工高:1億円以上5億円未満(2011年7月現在)
手続きは簡単で、元請建設企業倒産による被害を回避できた。この制度を知ったきっかけは、国土交通省のホームページを見たこと。地元地域において元請建設企業の倒産が頻発していたことから、ある元請建設企業の業況にも不安を抱き、保証ファクタリング(手形保証)を利用した。併せて、保証手形においてそのファクタリング会社で提供する手形割引を利用した。その後、保証を引き受けてくれた元請建設企業が倒産。ファクタリング会社から手形不渡りの連絡が入り、保証金請求書のみの提出を求められた。手続きは簡単で、保証ファクタリングを利用したことで当社としては元請建設企業倒産による被害を回避でき、非常に感謝している。
下請債権保全支援事業を利用する企業の声
Case.4/H社 保証額累計:約14百万円完工高:5億円以上10億円未満(2011年8月現在)
当社は、元請の倒産リスクに備えて、中小企業倒産防止共済法に基づく経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に加入している。この共済制度は毎月の掛け金を支払い、取引先(元請)の倒産等により売掛債権が回収困難となった場合、貸付を受けられるというものであるが、あくまで「貸付」であるため、返済する必要があることから、返済の必要性のない他の制度を探していたところ、業界新聞で下請債権保全支援事業のことを知った。早速、ファクタリング会社からの説明を受け、すでに2回ほど利用してみたが、以下のメリットを感じることができた。 ①元請が倒産しても保証金を受けられるので、安心して取引ができること。 ②サイレント保証(元請に知られずに保証してもらえる)なので、その点でも安心できること。 ③ファクタリング会社の手続きが速かったこと。(申し込んでから保証を受けられるまで数日間程度だったので思ったより速かった。) 聞くところによると、10 社のファクタリング会社が競争しているため、保証料率の金利も低下しつつあるという。今後も、下請建設企業にとって使い勝手の良い制度になることを望むとともに、当事業の建設業界への定着を望む。