大同ポリマーの創業当初、FRP防水は先進的な防水工法であり、順調に業績を拡大してきた。しかし、近年は新規参入企業が相次ぎ、コスト競争が激化。業績を維持するために、他社との差別化が急務だった。

事業の現状

　差別化を図るため、大同ポリマーが取り組んだのは、FRP防水よりも優れた新防水材の開発だった。そこで同社は、防水材メーカー2社（中小企業）と共同作業により、「樹脂モルタル系の新防水材」を開発した。材料費の低減、施工効率の向上を目指し、また業績回復をさらに軌道に乗せるために、当該建材の「飛び火性能評価」を取得。これはコスト競争力を強化するための戦略である。実施した主な取り組みの内容は、以下の通り。

①「商品共同契約書（案）」を2社に提示し、早期の契約を締結。これにより、その後の共同開発作業がスムーズになった。

②新防水材の開発作業については、当社と共同開発社の担当者が、共同開発社の研究開発工場で一緒になってブレンドなどに取り組んだ。その後の各種性能試験も、研究開発型企業であることから十分な事前自主実験が可能になった。

③当社の東京工場の駐車場にコンパネを設置しベランダ模型を製作、職人による試行作業を実施した。

　なお、コスト比較には、施工単価の半分以上を占める「職人の生産性」を予測することが重要であり、今回の支援期間（実質5カ月程度）では、従来の防水工事との比較はできなかった。これは今後の営業戦略～実施工事に向けて課題である。施工効率向上のためにさらなる材料のブレンド実験も必要になると思われる。

今後の展望

　今回の支援によって他社が活用できる教訓として、保有人材に限りがある「専門工事業者」であっても、関連する中小の研究開発型メーカーと使用する各種建材などを共同開発することにより、差別化を図ることができる。
　今後の展望については、「従来のFRP防水に比較しても、大幅なコストダウンが期待できる」こと。このメリットを顧客に売り込んでいくためにも、より「質の高い」プレゼンテーション用パンフレットなどの販促ツールの作成が必要であり、その点はこれからの課題となっている。