人材確保・育成

技能の継承を考える(技能五輪全国大会編)|技術継承事例

伝統構法を理解した上で現代構法を追求することが重要 | ものつくり大学

 「技能五輪全国大会」(昨年11月22~25日開催)の出場に向け選手を育成する企業の教育者として、ものつくり大学 技能工芸学部建設学科 教授 三原 斉氏に「技能の継承」についてお話を伺いました。

伝統構法を理解した上で現代構法を追求することが重要

ものつくり大学  技能工芸学部建設学科  教授  三原 斉氏

 ものづくりの基本に立ち返って技能スペシャリストの養成を推進するため、2001年に開学したものつくり大学(埼玉県行田市)。技能工芸学部建設学科では、建設に関わる多様な要素をさまざまな実習を通じ、建設の「現場」を感じながら学んでいくことができます。

ものつくり大学 技能工芸学部建設学科 教授 三原 斉氏

 


 

 技能継承には、いろいろな継承の方法があり、構法を大きく分けると伝統構法と現代構法の2つになります。現代構法は、建設会社に入って仕事をするにしたがって何となく分かるようになるものですが、これを発展させたくても、それ以上の発展がないんですね。現代構法は、あくまでも伝統構法の上に成り立っているものですから、その土台を知らずにいると、技能や知識に広がりが出てきません。しかし、伝統構法をある程度学んでいると、さまざまな局面で応用が利くわけです。技能に磨きをかける上でも、知識を積み重ねていく上でも、伸び代が大きくなるといっても過言ではない。そんな観点から、ものつくり大学では、伝統構法を重視したカリキュラムを組んでいます。伝統構法を分かっていてこそ現代構法がよく理解できますからね。


 今回の技能五輪全国大会の左官の部に、ものつくり大学から2人の若者がエントリーしました。一人が3年生の二宮圭太くん。とても優秀ですよ。もう一人が女子で、1年生の金子美咲さんです。彼女は大宮工業高校建築科に在籍時に技能検定3級でたまたま左官を選び、やってみたら「楽しかった」と職人を志望するようになったそうです。その頃に彼女と出会って、やる気も才能もあったので、ものつくり大学への進学を勧めました。
 昨年の大会が終わった直後から1年がかりで準備してきましたから、練習時間は十分です。今回の大会でも頑張ってくれたと思います。
 二人とも、将来は職人の道に入ってもいいし、職人を管理する仕事に就いてもいいでしょう。とにかく大学4年間の中でじっくり将来設計を考えてほしい。大学生活を有意義に過ごし、貪欲に技能を学んでほしいと思います。

 

プロの技はすごい、真似してみたい!

左官職種/二宮 圭太選手 (21歳) 

左官職種/二宮 圭太選手 (21歳)

 実際に左官をやってみて、見た目よりも難しさを感じています。練習するうちにちょっとずつ塗れるようになってくると、楽しくなってきますね。プロの人は動きが速くて大胆な塗り方をしているのにきれいに仕上がっているところがすごいし、真似してみたいですね。今回の技能五輪全国大会では、今持っている自分の力を最大限に発揮できたんじゃなかいな。実は私の友人も出場を希望していましたが、その夢が叶わなかったので、出場できなかった友人のためにも頑張りました。

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