人材確保・育成

技能の継承を考える(技能五輪全国大会編)|技術継承事例

若い人たちが切磋琢磨して技能に磨きをかける場を提供したい | 有限会社金澤タイル

 「技能五輪全国大会」(昨年11月22~25日開催)の出場に向け選手を育成する企業の教育者として、都立城東職業能力開発センター講師であり、有限会社金澤タイル社長の金澤 久雄氏に「技能の継承」についてお話を伺いました。

若い人たちが切磋琢磨して技能に磨きをかける場を提供したい

都立城東職業能力開発センター講師  有限会社金澤タイル社長 金澤 久雄氏

 都立城東職業能力開発センターは、建設設備系及び事務・情報系を中心に9つの訓練科目を設置。住宅内外装仕上科では、建築物の仕上に関する下地から仕上までの一連の建築仕上施工について、タイル・左官・内装を中心とした実習をしています。

都立城東職業能力開発センター講師 有限会社金澤タイル社長 金澤 久雄氏

 


 

 私の専門は「タイル張り」ですが、過去に何度かこういった全国競技大会に出場経験があり、そのメリットは十分に分かっているつもりです。技能を競い合う大会に出場することは、技能を継承するための貴重な機会になりますし、練習で同じ作業を繰り返すことで技術がしっかり身に付きます。自分で考えることが多く、作業のペース配分も考えて集中力も養われ、一定の時間内に完了させるコツも身に付きます。その後の仕事にも大きなプラスになることは間違いないでしょうね。
 矢澤翔子さんは都立城東職業能力開発センターの生徒さんで、私はそのセンターで講師を務めています。タイル張り職人になりたいという希望を持っていて、その関係で2013年秋に弊社に入社しました。非常にやる気がありセンスもあって、女性ですがわが社のホープ的な存在ですね。
 最近のタイル張り業界の傾向として、若い人を育てるのが面倒だ、といった風潮があります。でもそれを敬遠していては技能継承ができません。それでは業界が沈滞化してしまうので、自分の会社だけでも何とかしたいと思って、弊社では積極的に若手を雇用するように心がけています。葛西工業高校(東京都江戸川区)のインターンシップを受け入れていますから、すでに今年4月に入社する学生もその制度で決まっているんですよ。その子も技能五輪への出場を宣言しているので、次回の大会では矢澤さんのライバルになるかもしれません。若い人たちが切磋琢磨して技能に磨きをかけるような状況になれば、この業界の未来も少しは明るくなるでしょうね。ぜひそうなるように、微力ではありますが頑張りたいと思っています。

 

厳しかったけどいろいろ学べてよかった

タイル張り職種 金賞/矢澤 翔子選手 (20歳) 

タイル張り職種 金賞/矢澤 翔子選手 (20歳) 

 都立城東職業能力開発センターに通っているときに先輩から技能五輪のことを聞いて、最初はクロス張りが志望でしたが、タイル張りのほうが面白いと思って方向転換しました。技能五輪への出場は自分の意志で決めました。先輩が銀メダルを取ったので、それ以上の色のメダルが欲しいと思って。練習は10月から始めて、大会直前の11月には現場から戻った後、勤務先(有限会社金澤タイル)にほとんど缶詰め状態になって、会社の先輩方から徹底的に指導を受けました。大変でしたが、いろいろと学べてラッキーでした。
 実際に参加した感想は、練習ではうまく行ったことも本番では思ったようにできず満足してはいませんが、今自分の持てる力は出せたかなと思います。

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