人材確保・育成

技能の継承を考える(技能五輪全国大会編)|ものづくりマイスター インタビュー

基本的な事柄を身に付けさせてから社会に出すのは教育機関の務め| ものづくりマイスター(とび)

ものづくりマイスター(とび) 片山 豊廣氏

 大学創立時から生徒を指導し続ける。現在も、ものづくりマイスターとして「技能五輪全国大会」(昨年11月22~25日開催)へ出場する向け選手を育成する。ものづくりマイスター(とび)片山 豊廣氏に「技能の継承」についてお話を伺いました。

基本的な事柄を身に付けさせてから社会に出すのは教育機関の務め

ものづくりマイスター(とび) 片山 豊廣氏

ものづくりマイスター(とび)

片山 豊廣氏

 私の場合、ものつくり大学の発足時以来13年間ほど非常勤講師としてお世話になっておりまして、学校の勧めもあって「ものづくりマイスター制度」に申請・登録しました。学生さんとは顔見知りだったので、スムーズにこの制度に取り組むことができました。私の役割は、大学生活4年間で、若者たちに「建設業における技能継承の大切さ」や「とびの技能の素晴らしさ」を伝えることです。この世界の理解度を深めてもらって、一人でも多くの職人を育てたいという気持ちでやっております。
 指導する立場で思うのは、ものつくり大学のように実地体験で教える学校が少なくなったことです。ゼネコンに入社した大卒の若者が、工具の名前、材料の名前一つを知らないといったことを耳にしますと、本当に残念です。学校教育の中でしっかり実習で学び、基本的な事柄を身に付けさせてから社会に出すのは教育機関の務めだと思うのですが、どうなんでしょうか。知っているかどうかは社会に出てから大きな差になりますからね。この点は関係各位にぜひお願いしたいところです。学校としても「ものづくりマイスター制度」を活用することで、いろいろと策を打てると思います。

 

 技能の継承の観点というと、私らが若い頃は「教わるのではない、見て覚えろ」という時代でした。徒弟制度、親方制度というものがあって、先輩や親方について彼らの技術を横目で見ながら学ぶわけです。一日も早く一人前になって恩返ししたい、といった思いで必死に働いたものです。しかし、今の時代は、成り手が少ないから大事にするのでしょうね。雇う側が早く戦力になってもらいたい一心で手取り足取り教えてしまいます。黙っていても教えてくれるので、自分で苦労してやろうという癖がつかない。言われたままに動き、考えてやるということが少なくなるので、結果、技術が身に付かない……。
 技能五輪といった制度があると、自分で考えるようになるのでいいですね。これからも「技能の継承」へ向けて尽力したいと思います。

「ものづくりマイスター制度」とは?

 若年技能者人材育成支援等事業(ものづくりマイスター制度)とは、ものづくりに関して優れた技能、経験を有する人を「ものづくりマイスター」として認定・登録し、これら「ものづくりマイスター」の人たちが技能競技大会の競技課題などを使って、高校や中小企業などに出向いて若年技能者への実践的な実技指導を通じてそれぞれが持つ技能を伝え、後継者の育成につなげようとする制度です。厚生労働省の主導で2013年夏にスタートし、現在同省では、ものづくりマイスターの募集と活用に力を入れています。

ものづくりマイスター制度の仕組み

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