人材確保・育成

技能の継承を考える(技能五輪全国大会編)|技術継承事例

「逃げない」「人のせいにしない」「言い訳しない」 | 日本ガーデンデザイン専門学校

 「技能五輪全国大会」(昨年11月22~25日開催)の出場に向け選手を育成する企業の教育者として、日本ガーデンデザイン専門学校 名誉校長 滝本 隆雄氏に「技能の継承」についてお話を伺いました。

「逃げない」「人のせいにしない」「言い訳しない」

日本ガーデンデザイン専門学校  名誉校長  滝本 隆雄氏

 造園業の職人を目指す若者にとって最も大切なのは、実際に土や植物に触れて体で覚えること。日本ガーデンデザイン専門学校(神奈川県藤沢市)では、実習の場は学内だけにとどまらず、神奈川県立辻堂海浜公園や、国指定名勝「三溪園」など有名な庭園でも密度の濃い内容の実習を行っています。

日本ガーデンデザイン専門学校 名誉校長 滝本 隆雄氏

 


 

 若手の職人が減り、技能継承ができないという危惧感もあって、60歳の時に、現役引退を契機に鈴木校長とともに「日本ガーデンデザイン専門学校」(神奈川県藤沢市)を設立しました。指導におけるモットーは、うまくできないからといって「逃げない」「人のせいにしない」「言い訳しない」です。年季の入った職人さんでもうまく行かないと「土が悪い」「樹木が悪い」などと、自分以外に責任を転嫁しがちです。でも、誰かのせいにする癖がつくと向上心もなくなるし、チームとしてのコンビネーションも崩れてしまいます。自分のことは自分で責任を持つことが大事なんです。

 

 当校としては、今回が初めての技能五輪単独挑戦になりました。現在2年生の樋口睦樹くんが2012年大会を目指しましたが、パートナーが見つからずに断念。今回、同級生の田中大貴くんから賛同を得て、出場することになったのです。参加するからには上位の成績を残してもらいたいので、私ともう一人がコーチ役になり、徹底的に指導に当たりました。もちろん厳しいだけでは嫌になるので、なだめたり、すかしたり、怒ったり、褒めたり、それらをうまく組み合わせながら。この微妙なさじ加減が難しいですね。
 9月から大会直前まで、土日はすべて練習に当てました。私どもの指導だけでなく、時には石屋さんや大工さんに1日講習を頼むこともありました。それぞれ得意の分野がありますからね。
 今回は44名が参加しましたが、ほかの職人さんのやり方や技術を間近に見ることができるので選手にとっても得難いチャンスだったはず。当校から生徒が30人くらい応援に来ましたが、彼らの意識も高まったと思いますよ。

 

まだ自分の歩んでいる道の途中です

造園職種 銀賞/樋口 睦樹選手(24歳)

造園職種 銀賞/樋口 睦樹選手(24歳)

 銀賞という、輝かしい賞をいただいたことに感謝いたします。
 滝本先生の教えである「逃げない」「人のせいにしない」「言い訳しない」の精神で、日々厳しい鍛練に堪え、得ることのできた結果だと実感しています。ですが、技能五輪に出場して得た知識、技術は、今自分が歩んでいる道の一部でしかないと考えています。実際、この結果には満足していません。これから先、幾度となく押し寄せる困難・挫折に直面したとき、この悔しさを思い返し乗り越えていきます。
 応援して下さった方々に心の底から感謝を申し上げます。

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