人材確保・育成

技能の継承を考える(技能五輪全国大会編)|ものづくりマイスター インタビュー

押し付けるのではなく、子供たちの感性に訴えるような指導を | ものづくりマイスター(造園)

ものづくりマイスター(造園)  (有)名和造園土木 吉井 正氏

 「技能五輪全国大会」(昨年11月22~25日開催)の出場に向け、母校の同窓会OBと協力し生徒を育成している。ものづくりマイスター(造園)吉井 正氏に「技能の継承」についてお話を伺いました。

押し付けるのではなく、子供たちの感性に訴えるような指導を

ものづくりマイスター(造園)  (有)名和造園土木 吉井 正氏

ものづくりマイスター(造園)

(有)名和造園土木 吉井 正氏

 35年前に訓練校の造園科を卒業し、現在、同校の同窓会の事務局長を務めています。同窓会OBからの会費を後輩の技能検定の練習会の財源などに充てるといったことをもう30年もやっています。私自身も昨年検定委員になり、技能五輪にも携わるようになりました。そんな経緯もあって、推薦を頂き「ものづくりマイスター」に申請・登録したのです。群馬県には3人の造園マイスターがおり、私はその1人です。造園業の世界でも慢性的な若手不足に悩んでおり、厳しい状況が続いています。技能五輪全国大会に出場できれば学校や会社の名誉にもなりますし、出たいと思っても簡単に出場できるものではないですからね。やりがいはありますよ。
 会社は、私の父が群馬県伊勢崎市で創業し、昨年で50周年を迎えました。二代目社長として、ものづくりマイスターとして、技能の継承について思うのは、職人の技能とは長年の積み重ねで出来上がるものであり、短期間で成り立つものではないということです。特に造園業の場合は、父の代に植えた植木を私が世話をすることもあって、まさに代々受け継がれていくものだと感じています。公園の巨木の植え替えなども行っていますから、子供と公園に行って「この木はお父さんが植え替えたんだよ」と、ちょっと誇らしい気分になることもあるんですよ。

 

 最近の子供は優しい子が多いので、決して押し付けずに「こういったやりかたもあるよ」といろんな方法を提示して、個々の感性に訴えるように指導しています。ただ、それだけではだめなので、時には「こういったときにはこのやり方にしたほうがいいよ」と教えたり、少しでも興味を引くような指導法を心がけています。先生と生徒という感じではなく、兄弟や友人のような関係ですね。
 植木屋の仕事は、お客様の庭や家の周りの植木の世話をすることです。昔から、お客様が「ちょっとお願いね」と鍵も締めずに外出するくらい信頼されてきました。現代でもその信頼関係を維持できるように、技能も含めて若手職人の指導に尽力したいと思います。

 

ものづくりマイスターの認定要件

 以下の3つのすべてに該当する優れた技能、経験を有する人。
(1)技能検定の特級・1級・単一等級の技能士、またはこれと同等の技能を有していると認められる方、技能五輪全国大会の成績優秀者(第3位まで)のいずれかに該当する方
(2)実務経験が15年以上ある方
(3)技能の継承や後進者の育成に関して意欲を持って活動する意思及び能力がある方
 申請資格は、
(1)募集時に、第三者からものづくりマイスターにふさわしい方として推薦を受けられること。
(2)認定を受けた場合、プロフィール・指導内容等の公表が可能であること。
 ものづくりマイスターが指導する対象職種は111職種であり、技能検定の職種のうち建設業に該当するのは、以下になります。
 造園、さく井、建築板金、冷凍空気調和機器施工、石材施工、建築大工、枠組壁建築、かわらぶき、とび、左官、築炉、ブロック建築、エーエルシーパネル施工、タイル張り、配管、厨房設備施工、型枠施工、鉄筋施工、コンクリート圧送施工、防水施工、樹脂接着剤注入施工、内装仕上げ施工、熱絶縁施工、カーテンウォール施工、サッシ施工、自動ドア施工、バルコニー施工、ガラス施工、ウェルポイント施工、塗装、路面標示施工、広告美術仕上げ
 なお、ものづくりマイスターの認定申請書類の受付や派遣に関するコーディネートは、各都道府県技能振興コーナーが実施しています。気軽に相談してはいかがでしょう。

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