
2012.05.25
第6回 注文者の責めに帰すべき事由により仕事の完成が妨げられた場合には報酬は確保したい!
(財)建設業適正取引推進機構
 請負契約においては、仕事の完成・引渡しの後でなければ、報酬を請求することが出来ない(民法633条)とされている。そうだとすると、建設工事において仕事が未完成の状態で契約関係が終了した場合には、たとえ注文者にその責めに帰すべき事由があるようなときでも、請負人は報酬請求ができないのだろうか。
 今回紹介するのは、動力電気工事請負契約に基づく請負人の仕事は完成していないが、その原因は主として注文者の責めに帰すべき事由によるものであり、そのため契約上の信頼関係が崩壊し、請負人は契約関係の清算を望み、注文者もまた請負人による仕事の続行を期待しないような状況になった場合において、請負人の報酬請求権が認められた事例である。
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 Xは、自動旋盤機25台の電気配線工事及び配電設備工事をほぼ終えたとして、㈱Yに対し40万円の手形金支払iを求めた。㈱Yは、Xが施工したのは配電設備に関する一部工事だけであり、15万円を和解により支払済みであり、また、Xに対し工事の続行を督促したがXは応ぜず工事は完成しなかったので、本件手形金支払の義務はないとして争った。
 Xは、自動旋盤機25台の電気配線工事及び配電設備工事をほぼ終えたとして、㈱Yに対し40万円の手形金支払iを求めた。㈱Yは、Xが施工したのは配電設備に関する一部工事だけであり、15万円を和解により支払済みであり、また、Xに対し工事の続行を督促したがXは応ぜず工事は完成しなかったので、本件手形金支払の義務はないとして争った。

 控訴人Xは、各工事を完了し被控訴人㈱Yによる自動旋盤機25台の据付を待つばかりの完成直前の工程まで施工した。控訴人Xが手形訴訟を提起するに至ったが、控訴人X、被控訴人㈱Y間の請負契約上の信頼関係は既に崩壊していた。したがって、既に本件請負契約の合意解除があったと同視しうる状態にあるものといえる。しかも本件工事の出来高は約73万円相当であり、被控訴人㈱Y主張の手形及び約束手形金額合計額55万円を優に超えている。結局、被控訴人㈱Yには、注文者が報酬支払義務の履行を拒絶することを許容することができない特段の事情があるものというべきである。
 控訴人Xは、各工事を完了し被控訴人㈱Yによる自動旋盤機25台の据付を待つばかりの完成直前の工程まで施工した。控訴人Xが手形訴訟を提起するに至ったが、控訴人X、被控訴人㈱Y間の請負契約上の信頼関係は既に崩壊していた。したがって、既に本件請負契約の合意解除があったと同視しうる状態にあるものといえる。しかも本件工事の出来高は約73万円相当であり、被控訴人㈱Y主張の手形及び約束手形金額合計額55万円を優に超えている。結局、被控訴人㈱Yには、注文者が報酬支払義務の履行を拒絶することを許容することができない特段の事情があるものというべきである。





 
 
	









