2013.03.07
第15回 注文書、注文請書の請負金額の記載は、紛争の原因になることが多いので慎重に記載したい!
(公財)建設業適正取引推進機構
本件は、注文書、注文請書の契約金額について、架空の金額を記載したのか否かを巡って争われたものである。本件の注文書、注文請書は、工事が完成した後に下請契約の当事者を定めて作成されたというものであり、記載金額の決定についても複雑な交渉経緯があった後に記載されたものであるが、裁判所は、詳細な事実認定を行い、経費の粉飾のために行われた複雑な行為等を解明している。
もちろん、注文書、注文請書は、正式な契約書であり、これらの取り交わしにより、契約は有効に成立する。これらの契約書に架空の工事費を含めて金額を記載してしまうと、後々当該請求書に基づいて金額請求をされたときに、契約が虚偽であることの証明は、通常大変な作業になる。
本件では、その金額があまりに不自然なものであったこと等により、裁判所は民法上の通謀虚偽表示と認定し当該契約金額の記載を無効としたが、虚偽の金額を記載したものであったとしても虚偽であることの立証ができず、額面金額の支払いを余儀なくされることになってしまうことがあることを、忘れないようにしたい。注文書、注文請書の請負金額を、経費の粉飾のために虚偽に記載してはいけないのはもとより当然のことであるが、注文書、注文請書の請負金額は、慎重にかつ正確に記載しなければ、複雑な紛争に巻き込まれてしまうことの一例という観点からも、参考とすべき事例である。
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