人材確保・育成

取組紹介・企業編|「人材を人財に」をモットーに、育成方法を工夫し、働きやすい職場環境を作る

㈱KMユナイテッド

 建設業界でも「女性の活躍推進」の必要性が大きく問われている中、既に様々な取組を実践し、評価されている企業があります。
 本ページでは(公財)日本生産性本部が開催するワーキングウーマン・パワーアップ会議の「女性活躍パワーアップ大賞」を2016年2月に受賞した建設企業2社の取組のポイントをご紹介します。
 各企業の取組の詳細につきましては、 「女性活躍パワーアップ大賞」の受賞者発表のページ をご覧ください。


 
 
 
優秀賞
 ㈱KMユナイテッド


■本社:大阪府大阪市都島区都島北通1-2-14
■設立:平成25年1月
■社長/CEO:竹延幸雄
■従業員数:31人(男性:22人・女性:9人)※2016年8月現在
■事業内容:塗料および塗料関連資材の販売・コンサルティング、塗装工事業
 (特殊塗装含む)、左官工事業、熱絶縁工事業、防水工事業、建築工事業
■ホームページ: http://www.paintnavi.co.jp/kmunited/
 
 

 
新たな雇用形態を生み出すために新会社を設立
 

 関西の塗装業界を代表する創業66年の㈱竹延を親会社に持つ㈱KMユナイテッド(以下、「KM」)。親会社でさえ若年者の入職や定着に苦慮し、職人の高齢化が加速し技能の伝承も危惧される中、これまでの建設業界の雇用や処遇ではこの状況を打破できないと既存の人事制度を持つ親会社ではなく、建設業界ではほとんど前例の無い「性別・国籍・年齢を不問」「全員正社員」とする取組を行うために新会社を設立した。


 
工程に特化した育成方法で3年以内で一人前に育てる
 

 親会社の職人の仕事内容を分析し、①未経験者でも少しの経験ですぐにできる作業、②ある程度の職人としての能力があれば他職でも作業が可能な仕事、③専門職にしかできない作業の3つに分類。専門職種の割合は全体の40~60%程度で、それ以外の分野は職種の枠を超え横断的に仕事が可能と判断。その工程に特化した人材育成システムの確立を目指した。例えば、塗装においては本業の「塗る」ということを捨て、「養生」「パテ」「ペーパー掛け」の作業に限定し、「特化した仕事に集中させ」て「教え教え教え教え育て」ることで、この3 工程については平均18 カ月で習熟することが可能となった。未経験者の指導に親会社のトップクラスの技術を持つ65歳を超える職人5 名をインストラクターとして再雇用。一流の職人を育成する各種トレーニングプログラムの開発や「職業能力評価シート」に基づくインストラクターによる技量査定で、勤続年数を問わず昇給・昇格できる制度を確立した。
 さらに2 カ月間の「富士教育訓練センター」での再教育により、「漆喰塗」「プラスター塗」「土壁塗」「珪藻土塗」などの基本や左官工法を活用した内外仕上げ工法を習得させている。

妊娠出産しても仕事を続けたい
 
 一般の保育園よりも早い6時から子どもを預けられる託児施設を自社に開設
 
女性初の職長となってみたい
 
 職長教育を積極的に受講させ、小規模な施工チームのリーダーを実践して職長の誕生を支援
 
インストラクターとなり教えたい
 
 DIY塗料ショップをオープンさせ、一般の方をワークショップにて指導
 
仕事を世の中の人から認められたい
 
 大阪私立東高殿幼稚園の園児と一緒に幼稚園の校舎を塗り替え、園児たちの憧れの的に
 
周りのできない高いレベルの仕事をしたい
 
 経験年数2年の女性技能者を建材メーカー協力の下で教育を行い、有名建築物で従来単価の20倍以上の付加価値のある特殊塗装を自社施工

 
女性に生き生きと仕事をしてもらうために
 

 この独自の育成方法により育てた女性社員の声を(右図)のように業務に展開させている。


 
働く女性に着眼し新たな商品開発等を行い、
自社の利益にも反映
 

 働く女性自身の妊娠等の健康上の影響を真剣に考え、シンナー等の有機溶剤作業を水性塗料に完全に切り替えた。仕上がりの品質面を克服するため、刷毛・ローラーから塗装先進国で使用されているスプレーを導入、機械化により従来の3倍近い作業の効率化や臭気の少ない作業へ改善し、休日・夜間出勤や残業対応も激減し、コストも削減(60%カット)した。
 また、KMの女性登用がきっかけとなり親会社の㈱竹延が女性や高齢者が重量のある塗料の移動により腰痛等にならないよう、塗料の容器を通常の石油缶から、ビニール袋に入れ段ボールで梱包した荷姿を開発し実用新案を取得。その知的財産権を利用したオリジナル商品の開発。現在、ロイヤリティー収入も取得している。


 
離職率もゼロ! 各方面からも評価
 

 きめ細やかな職場環境整備、教育体制の確立により、離職率も現在ゼロ。第一線から退いた高齢の職人も、若手育成を担当し、生き生きと取り組んでいる。このような取組が各方面から評価され、この「女性活躍パワーアップ大賞」の他、「新・ダイバーシティ経営企業100選」(平成28年3月:経済産業省)、「経営革新計画承認企業」(同年4月:大阪府)、「女性技術者育成功労賞」(同年8月:(一社)技術同友会)を宮根佐永子氏(写真)が受賞。職人不足への対応だけでなく女性や未経験者を雇用し即戦力へと育成して活躍の場を提供する好事例として、業界内外から大きな注目が集まっている。

 
 

 

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