―――つい最近、TVで悪徳違法業者の手口と言った番組がありました。安心を売るというお話がありましたが、今日の参加者の皆様の中にも建設業協会に所属されている方が多くいらっしゃっています。私だけかもしれませんが、協会に所属されている業者というと、非常に古くからその土地で一生懸命やってきたという認識があります。これは私が建設業界に関わっているから、そういう認識があるのかとも思うのですが、一般の方は、建設業協会の会員であるというのは、どう評価されているのでしょうか。
小坂田氏 一般の方はやはりご存知ではありません。小さなまちで仕事をしているものですから、当然地域の方はうちの会社、小坂田建設を知っていると思っていました。しかし、自社PRイベントでアンケートを取ると、ほとんどの方にご存じなかったと回答されました。
いくら建設業協会に属していて、我々は信頼される施工をするのだという意識を持っていても、それをPRする場がなければ、地域の方々は会社の名前も知らない。当然他社との違いもわからない。建設業協会に属している会社と、新しいところとの差がわからないならば、所属する意味がありません。長くやっていても、(長くやっているからこそ、)そうした違いについて、これからどんどんPRしていく必要があると思っております。
―――PRというお話を頂戴しました。よく建設業はPR下手などと聞くわけですが、この点について、安達講師、藤原先生は、どうお考えでしょうか。
安達氏 今、小坂田さんがお話しされたこと、その通りと思います。地元の名士と言われながら、調べたら住民は会社の場所も知らなかった。まずそれを認識するところから始まると思うのですよ。
知って貰う方法は色々あると思います。住民を集めてイベントをする方法もあるし、場合によっては若い人をターゲットにSNSなどで情報発信する方法もあるでしょう。やはり現状を認識する、というところが一歩目になるのではと思います。
藤原氏 建設業協会、建設業っていうのは一般の人と馴染みがものすごく薄かったと思います。不動産業界では、不動産協会の保証という絡みもあるので協会に入らないと仕事もできないし、一般の人も、仲介を協会未加入の不動産会社に頼むことをやりません。建設業者が建設業協会に入っていることが、発注者にとってメリットになるのか。またなにか他の入ってない会社と差別化を図ることが出来ているのか、そこが無いのではないかと思いますね。これは、建設業協会からの脱退理由にも繋がっていると思います。
協会の目的・役割りは何かということを、もう一回再検討しなきゃいけない時期がかなり前から来ていたのではないか。企画力のある将来を見つめたような人たちが、協会のあり方、建設業協会のあり方を考えないと、ちょっと時代遅れになってしまうのでは無いかという気がします。
―――小坂田社長に伺います。災害をご経験されて、地域の抱える問題点への思いが強くなったと伺っています。今、小坂田建設さんのある地域に大体何社ぐらいいて、うち何社ぐらいが災害対応にあたっているのかを教えていただけますか。
小坂田氏 県の指名に入る業者は隣の地域併せて13社位、その中で我々2,300戸の地域にエリアを絞りますと7社です。うちの会社は社員が10人おりますが、他社は公共事業費削減の中で事業縮小を行っており、現在は3人4人の規模になっている所がほとんどです。
そんな中、私どもの所は、去年の7月、集中豪雨というかゲリラ豪雨ですね、この豪雨災害を受けました。実際に災害が起きてみますと、ある会社がどこかの現場に入ってしまうと、他所の対応は出来ないということで、しわ寄せがうちの会社に回って来るという例がかなり多くありました。
以前は他の会社が無くなってしまう、7社が例えば3社になっても、それは仕方がない事だと思っていました。しかし、その7社が日頃なにかしらの事業を行い、人員や車両、重機を維持しておかないと、この地域を災害時に救うことができないと(気づきました)。
ただ、やはり事業の継続というのは公共事業に頼るわけではなく、我々の自助努力によってなんとかしていかなければいけないなと非常に強く思っています。