人材確保・育成

建設業の海外展開 ベトナム編

建設業の海外展開 ベトナム編

国土交通省総合政策局国際政策課 国際市場整備推進官 中井 倫太郎
国際協力機構(JICA)
一般社団法人 海外建設協会 総務部長 松井 波夫
向井建設株式会社
柏倉建設株式会社

 建設産業においては、アジアをはじめとする諸外国の市場に進出し、その成長を取り込むことが重要な課題となっています。東南アジアの新興国では、空港や原子力・水力発電所、高速鉄道、地下鉄などの受注合戦が活発になっていますが、国土交通省では、中でもベトナム建設市場に日本式の施工方法を熟知する技能者を増やすため、業界横断でベトナムからの研修生の育成・指導に注力しています。そして、こうした有能な人材を、会員企業が参画する現地プロジェクトで円滑に活用できる環境の整備を進めていくために「ベトナム建設人材育成推進協議会」が設立されました。
 本号では同協議会の取り組みを踏まえ、当基金が監理団体を担当する「外国人技能実習制度」について紹介します。

 

 

海外建設技能実習生受入れ事業

1.海外建設技能実習生受入れ事業の概要

クリックで拡大

 建設産業分野における国際貢献の一環として、開発途上国の建設産業に貢献できる人材の養成及び確保を図るため、我が国で開発され培われた技能等の移転を図り、当該開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的としております。
 (一財)建設業振興基金(以下、基金)は、海外の公的派遣機関(以下、送出し機関)の間で締結された「建設技術・技能海外の公的派遣機関(送出し機関)の間で締結された「建設技術・技能者の派遣及び受入れ・技能実習事業に関する協定書」等に基づき、監理団体(基金)として技能実習生を受入れ、企業の皆さまは、技能実習生と雇用契約を締結し、実習実施機関として技能実習を実施するものです。

2.監理団体(基金)としての役割と責任

 当基金の事業は、海外の送出し機関の協力を得て技能実習生に日本語教育を中心とした入国前講習(1ヶ月)を実施しております。その後技能実習生は我が国に入国し、富士教育センター(静岡県富士宮市)において入国後の集合講習(1ヶ月)を受講します。ここでは、主に日本語教育、入国管理法・労働基準法の講義、安全衛生、日本の生活事情などの講習を受講します。この講習が修了した後に実習実施機関での技能実習が始まります。
 技能実習生が実習実施機関での技能実習を実施している1年目(技能実習1号ロ)の期間は、監理団体の基金は各実習実施機関を月1回以上巡回し、技能実習実施状況を監査します。
 技能実習生が2年目を迎えるには、在留資格の変更が必要になります。これは技能実習生が技能検定を受検し、合格しなければなりません。合格後に技能実習生は在留資格の変更許可を受け、技能実習2号ロ(2年目)となります。技能実習生の資格がこの2年目になると基金は監理団体として3ヶ月に1回以上巡回をします。
 また、監理団体として基金は、技能実習生の入国や出国状況を管理するだけでなく実習実施機関における実習状況・賃金の支払い等の在留状況を確認し、定期的に入国管理局に報告しなければなりません。

3.海外建設技能実習生受入れ事業の現状

クリックで拡大

 本年10月末現在は、ミャンマー33名、ベトナム34名、中国63名からの技能実習生を受け入れております。技能実習生の職種は、鉄筋技能(19名)、型枠技能(20名)、左官技能(13名)、内装技能(37名)、溶接技能(33名)、とび技能(8名)の6職種に別れて現在技能実習を実施しております。平成22年7月に新たな技能実習制度が開始されてから基金では3カ国151名の技能実習生を受け入れております。
 また、今年度から当基金ではベトナムから建設人材を受入れるために発足したベトナム建設人材育成推進協議会の事務局を担当しております。

4.監理団体としての主な支援・指導事業について

 当基金では、監理団体として海外技能実習生受入れ事業において適正かつ円滑に行われるため、受入れ企業に対して具体的な指導・支援事業を実施しております。

(1)出入国管理に関する手続き処理
技能実習生の入国に必要な在留資格認定証明書の交付申請に必要な書類の点検と手続き
技能実習移行希望申請、在留資格変更申請及び在留期間更新申請に必要な書類の点検と手続きその他出国等の報告手続き

(2)技能実習の実施管理
技能実習ガイドライン、カリキュラム、教科書・教材等の作成、提供
技能実習計画の総轄的実施管理
日本語講師の派遣
実習指導員等の養成
海外旅行傷害保険(海外建設技実習生用)加入手続き及び補償手続き
技能実習生証明書の発行
腕章・シールの配布 等

ページトップ

最新記事

最新記事一覧へ